現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > FRならなんでも有り難がるクルマ好きよ真実を知れ! レーシングドライバーが語る「ドリフトできる」ガチもののFR車とは

ここから本文です

FRならなんでも有り難がるクルマ好きよ真実を知れ! レーシングドライバーが語る「ドリフトできる」ガチもののFR車とは

掲載 145
FRならなんでも有り難がるクルマ好きよ真実を知れ! レーシングドライバーが語る「ドリフトできる」ガチもののFR車とは

 この記事をまとめると

■FFが大半を占めるようになった現在でもいまだFRレイアウトを好むユーザーは多い

【1口に4WDといっても2つの素姓がある!】FFベースとFRベースの違いをレーシングドライバーが解説

■最近のFRはスライドを電子制御しているモデルが多く、FRなら何でもドリフトできるとは限らない

■国産FR車はコスト制限やノウハウの不足からFRらしい走りができないモデルも多い

 FRでもドリフト走行を楽しむにはいくつかの条件がある

 FR(フロントエンジン/後輪駆動)レイアウトには長い歴史と多くの名車があり、FF(フロントエンジン/前輪駆動)が大半を占めるようになった現代でも、なおFRレイアウトを好むユーザーは多い。

 FRの美点はエンジンを縦置き搭載することでエンジン搭載部となる前輪左右の重量配分が均等化されやすいこと。水平対向4気筒エンジンを縦置き搭載するほとんどのスバル車が「シンメトリーレイアウト(左右均等重量配分)」をメリットとして謳っているが、多くのFR車は同様にシンメトリカルな前輪重量配分になっている。

 また、直列エンジンであればエンジンルーム内の左右スペースにゆとりがあり、タイヤハウスを大きく取れ、フロントハブにはユニバーサルジョイントが無いので前輪操舵角も大きく取れる。これで最小回転半径を小さくできるので実用性が高い。FRでは後輪をパワースライドさせてドリフト走行が理論上可能になり、その際のカウンターステアアングルも大きく取れるので深いドリフトアングルが可能になる。

 ただ、最近のモデルでは電子制御でテールスライドを抑制しているモデルがほとんどで、ドリフト走行を目的とするならFRならなんでも良いというわけにはいかない。電子制御をカットしても、サスペンションが柔らかすぎて内輪がリフトしてしまうような車種では、LSD(リミテッドスリップデフ)が装備されていないとパワースライドを上手くコントロールすることもできないだろう。

 FRであればシンメトリーで左右重量配分は良くなるが、パワースライドによるドリフト走行を楽しむためにはいくつかの条件が必要になるのだ。

 FRの弱点として挙げられるのは重いプロペラシャフトをキャビン中央床下に通さねばならないこと。重いプロペラシャフトが高速で回転するので振動やノイズが発生しやすい。また、生産工程においても手間がかかりコスト効率が悪い。プロペラシャフトをカーボン製にして軽量化するスーパースポーツもあるが、コスト増加を免れない。

 また、室内中央を前後にフロアトンネルが通ることで室内スペースが狭くなる。

 FRはリヤアクスルにデファレンシャルユニット(デフ)を備え、エンジンの回転方向はここで90度転換され後輪を回転させる。その際に5~15%ほども動力伝達効率が悪化すると言われている。直線スピードだけを競り合うならFFのほうが速いといわれる所以だ。

 リヤアクスルに駆動系を配置するため車体後部の剛性確保も重要だ。頑丈なクロスメンバーを備えているか、その車体への取り付け点やブッシュなど取り付け剛性は強化されているかなど、検証する課題は多い。

 ドリフト走行できないFR車ばかりでもFR信奉は根強い

 長い歴史がFRの走りをFRらしく仕上げるノウハウを育み、BMWやメルセデス・ベンツなど欧米の多くのメーカーは、製品化する際に妥協なく仕上げることが多かった。国産車はというと、コストの如何、ノウハウの有る無し、妥協点も多く、FRでありながらFRらしい走りができないモデルが過去にもいまでも多い。

 車体やサスペンションの剛性が低く、サスペンションジオメトリー的にもリヤロールセンターを高くして対角(ダイアゴナル)ロールを発生させている。これでは、コーナーでリヤのインリフト(内輪の浮き上がり)を引き起こし、駆動力を伝えなくなってしまう。コーナーでの速度を抑制してスピンなどを起こさないように配慮したものだが、こうした設定ではパワースライドは行いづらい。

 加えて、デフもフリーにして旋回時の内輪差を吸収することに特化している。同じFRでもクルマの根幹に対する設計の基本やハンドリング、ドライビングの経験則や理論的アプローチが国産車と欧州車では圧倒的に異なっていた。国産FR車をFRらしく走らせるには、チューニングやセットアップの変更が不可避になってくる。そんな過程からドリフト競技が生まれ、専用チューニングが根付いたと言っても過言ではない。

 ドイツのメルセデス・ベンツやBMWなら、LSDを装備していなくても質の高いパワースライドコントロールが可能だ。多くの国産FR車の場合、前輪に大きなネガティブキャンバー角を設けてLSDを装備させ、大トルクのエンジンを搭載しないと自在にパワースライドさせられない。

 過去に自在に操れた国産FRを紹介すると、三菱自動車のスタリオンターボくらいしかなかった。スタリオンはBMWからリヤセミトレサスペンションのピックアップポイントに対する特許を取得して採用していた。

 初代カローラレビンやスプリンタートレノ、86時代のレビン/トレノやセリカなど、雪道であればドリフトを楽しめたが、乾燥舗装路面ではリヤアクスルが暴れてLSDなしではほぼ不可能だった。そうした事実を知る世代は国産FRに過剰な期待を持っていないが、それでもFR信奉者は根強く存在する。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

平凡な男が突如、何百万人もの夢の中に現れる!?『ドリーム・シナリオ』
平凡な男が突如、何百万人もの夢の中に現れる!?『ドリーム・シナリオ』
バイクのニュース
「悪くはないが、良くもない」勝田貴元、シェイクダウンは入念に走行。改善のカギと戦略は/ラリージャパン
「悪くはないが、良くもない」勝田貴元、シェイクダウンは入念に走行。改善のカギと戦略は/ラリージャパン
AUTOSPORT web
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
THE EV TIMES
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
レスポンス
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
バイクブロス
インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
インディカー初体験の角田裕毅、インディ500への挑戦に現状関心ナシも「もう少し歳をとって考えが変われば……」
motorsport.com 日本版
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
ベントレーCEOの旧私邸を改装。ベントレー本社近隣の特別な顧客体験スペース「The Mews」を発表
LE VOLANT CARSMEET WEB
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
スズキ「最上級SUV」新発表! トヨタ「ヤリスクロス」サイズの“豪華仕様”! 精悍顔もカッコイイ「グランドビターラ ドミニオンE」印国に登場
くるまのニュース
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
アドベンチャースタイルの“軽二輪スクーター”ホンダ「ADV160」に2025年モデル登場! ふたつの新色をプラスした「全3色のカラバリがスポーティ」
VAGUE
「RS」最新モデル日本上陸!! アプリリア「RS457」発売
「RS」最新モデル日本上陸!! アプリリア「RS457」発売
バイクのニュース
「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
LE VOLANT CARSMEET WEB
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
モーサイ
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
「シボレー コルベット E-Ray」は4WD化の恩恵が絶大!もっと刺激的な電気エイの襲来に喝采を【新車試乗】
Webモーターマガジン
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
バイクブロス
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」  理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」 理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
くるまのニュース
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
レスポンス
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
AUTOSPORT web

みんなのコメント

145件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1680.02480.0万円

中古車を検索
FFの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1680.02480.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村