現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 初の総合優勝を獲得した高木真一「雨寄りのセッティングしかできなかったことが逆に良かった」【スーパー耐久第1戦富士24時間】

ここから本文です

初の総合優勝を獲得した高木真一「雨寄りのセッティングしかできなかったことが逆に良かった」【スーパー耐久第1戦富士24時間】

掲載 更新
初の総合優勝を獲得した高木真一「雨寄りのセッティングしかできなかったことが逆に良かった」【スーパー耐久第1戦富士24時間】

「24時間レースというのは、十勝24時間にはARTAから出ていましたし、去年も途中までトップ争いしていましたが、総合優勝というのは50歳にして初ですね!」

 9月5日から6日にかけて富士スピードウェイにおいて開催されたピレリ・スーパー耐久シリーズ2020第1戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』。山脇大輔、ショウン・トン、根本悠生とともにHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3のステアリングを握り、チームの主要ドライバーとして総合優勝を支えた高木真一に、24時間の戦いについて話を聞いた。

出火トラブルを乗り越えたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3がデビューウイン【スーパー耐久第1戦富士24時間】

「このクルマに乗らないかという話をいただいたのは7月中旬だったかな? 当初予定していたミュラーが新型コロナウイルスの影響で来日できなくなったので呼ばれました。それで7月のテストで初めてメルセデスAMG GT3に初めて乗ったわけです」

 2020年シーズンからスーパー耐久シリーズに参戦を開始したMercedes-AMGTeam HIRIX。当初は山脇とトン、台湾出身の女性ドライバーのベティー・チェン、メルセデスAMGパフォーマンスドライバーのディルク・ミューラーの4名での参戦を計画していた。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、チェンとミューラーの来日が叶わず。代わりに、今年ランボルギーニ・スクアドラコルセGT3ジュニアプログラムに選出された根本、そして昨年も富士24時間をST-Xクラスで戦った高木がチームに加わることとなった。

「メルセデスはスーパーGTでもライバルなのですごく興味はあって、ピレリタイヤとのマッチングもすごく楽しみでした。でも不幸な事に僕はテストではハーフウェットでしか乗れなかったので、ドライで乗った山脇選手やショウンらのコメントを聞いてエンジニアの加藤博さんとセッティングを探っていきました。正直、このクルマの性格がつかめなくて、今まで乗ったクルマで一番怖いクルマと思ったほどでした。4人のうち誰一人としてレースでこのメルセデスAMG GT3をドライブしたことはありませんでしたし」と高木。

「それでも若いドライバーのコメントを大事にしながら、加藤さんも僕の意見を的確に入れてセット出しをしていきましたが、レースウイークも晴れたり雨だったりのコンディションの中、良くクルマを仕上げてくれたと思います。というか、雨寄りのセッティングしかできなかったことが逆に良かったのかもしれません。決勝レースもそんなコンディションでしたから」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でAMGのスタッフが現地入りできない状況のなかでデビューレースを迎えたMercedes-AMGTeam HIRIXだったが、マニュファクチャラーのAMGのカスタマーサポートにも助けられたと高木は話す。

「メルセデスはスーパーGTでも強力なライバルですし、高いポテンシャルを持っていることは十分に理解していましたが、このクルマのことを理解しているドライバーやスタッフは誰もいなかったんです。でもカスタマーサービスがしっかりしていました。リモートでオーストラリア常駐のAMGスタッフがスタビライザーやウイングなどについていろんなアドバイスをくれました。自分たちはウイングの角度をつけてもっとダウンフォースを稼ぎたかったけれど、それではダメなので他のことで対処しろ、とかですね」

 9月4日に行われた公式予選では山脇と高木のアタックで3番手を獲得。スタートは高木が担当し、3番手のポジションを守ったまま41周を走り、山脇にドライバー交代した。その後、山脇が38周を走り、給油と根本へのドライバー交代を行うためピットに入った際、給油システムを支えるホースの接合部分が外れ、噴出した燃料がエギゾーストに触れてマシンが出火するアクシデントに見舞われた。

「正直レースは、運が良く表彰台の末席に滑り込めればいいなという感じで優勝なんて全く予想していませんでした。僕が休憩中にガソリンに引火するというすごいことも起きましたしね。でも車両的にはゼッケン用照明のハーネスがダメになっただけで、ガレージでその交換をしていたんですが、直後にレースは赤旗中断になって。実質ロスタイムって3~4周分ぐらいだったんです。そこから流れが変わりました」

「レース再開後はドライバー交代時の天候の変化がピッタリと一致して、その時点でのコースコンディションに合ったタイヤを履くことができました。もちろん加藤さんもそこはちゃんと計算していたんですが、彼の戦略がなければ優勝はできませんでした。ドライバーもちょっと追突してフロントグリルを壊しちゃった程度で済んだし。まぁ24時間レースなので気をつけていても小さいアクシデントはどうしても起こります。でもあの程度で済んだのは幸いでした」

 終盤フロントグリルを破損するトラブルもあったものの、最終スティントを担当した根本のドライブにより、HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は過酷な24時間レースのトップチェッカーを受けた。Mercedes-AMGTeam HIRIXはチームのデビューレースである富士24時間の総合優勝を獲得するという、新チームにとってこれ以上ない形でスーパー耐久シリーズ初戦を終えた。

「天気が味方をしてくれたというのはとても大きかったです。ドライセッティングなんて全然決まっていませんでしたからね。でもスーパーGTでも今年はそうですが、自分の子どもみたいな若いドライバーと一緒になって、レースを走れるというのは夢があって良いですね。特に耐久レースは自分の経験を若手に伝えられるし。若手もそれを次の世代に伝えていって欲しいです」

 富士24時間レースの翌週、9月12日~13日にはツインリンクもてぎで開催されるスーパーGT第4戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』に参戦する高木。

「来週はスーパーGTもてぎ? ホンダNSX GT3はブレーキ踏むのが大変で足が痛くなるんですけど、今週のレースではその一番のトレーニングができたので良かったのかな?(笑) スーパーGTでも優勝を狙います!」

こんな記事も読まれています

スポーティな新クロスオーバー登場 キア「EV6」航続距離延長 改良実施
スポーティな新クロスオーバー登場 キア「EV6」航続距離延長 改良実施
AUTOCAR JAPAN
昭和レトロなダイハツ「ハイゼット」はトヨタ「カローラ」よりも古い歴史を持っていた! 唯一の角目は3代目のみ、パーツ探しもひと苦労です
昭和レトロなダイハツ「ハイゼット」はトヨタ「カローラ」よりも古い歴史を持っていた! 唯一の角目は3代目のみ、パーツ探しもひと苦労です
Auto Messe Web
6/20申込締切 モビリティ業界の新規事業のつくり方~ヤマハ発動機の成功と失敗に学ぶ~
6/20申込締切 モビリティ業界の新規事業のつくり方~ヤマハ発動機の成功と失敗に学ぶ~
レスポンス
フェルスタッペン、大荒れのF1イモラ初日ではお馴染み“GP”がレースエンジニアを担当せず。その理由をレッドブルが説明
フェルスタッペン、大荒れのF1イモラ初日ではお馴染み“GP”がレースエンジニアを担当せず。その理由をレッドブルが説明
motorsport.com 日本版
これは便利!ソフト99が特殊構造の繊維を採用した全長57cmのホイールブラシ「奥洗王」を発売
これは便利!ソフト99が特殊構造の繊維を採用した全長57cmのホイールブラシ「奥洗王」を発売
@DIME
プジョーの全EV、モーターなどに最長8年保証…欧州メーカー初
プジョーの全EV、モーターなどに最長8年保証…欧州メーカー初
レスポンス
違反になったりする? 時々見かける愛犬とのツーリング
違反になったりする? 時々見かける愛犬とのツーリング
バイクのニュース
【人とくるまのテクノロジー展2024】ボルグワーナーは車両の性能・効率向上を目的に設計された電動化ソリューションを展示
【人とくるまのテクノロジー展2024】ボルグワーナーは車両の性能・効率向上を目的に設計された電動化ソリューションを展示
Auto Prove
「Hyundai Mobility Lounge富山」がオープン! すべてのヒョンデ車に試乗できるイベントも開催
「Hyundai Mobility Lounge富山」がオープン! すべてのヒョンデ車に試乗できるイベントも開催
THE EV TIMES
VWの新型EVは500万円以下となるか? 中国シャオペンとの共同開発EV、その姿とは
VWの新型EVは500万円以下となるか? 中国シャオペンとの共同開発EV、その姿とは
レスポンス
まるで純正品のクオリティー! パイオニアから三菱「デリカD:5」「デリカミニ」などに適合のトゥイーター取り付けキット登場!
まるで純正品のクオリティー! パイオニアから三菱「デリカD:5」「デリカミニ」などに適合のトゥイーター取り付けキット登場!
くるまのニュース
3つ星シェフの夢のガレージで「ムルティストラーダV4パイクスピーク」を公開! ドゥカティ・ユニカ・プログラムから生まれた特別モデル
3つ星シェフの夢のガレージで「ムルティストラーダV4パイクスピーク」を公開! ドゥカティ・ユニカ・プログラムから生まれた特別モデル
バイクのニュース
2030年に向けたスズキのカーボンニュートラルへの取り組みとは...人とくるまのテクノロジー展 2024予定
2030年に向けたスズキのカーボンニュートラルへの取り組みとは...人とくるまのテクノロジー展 2024予定
レスポンス
エクストレイルとキックスが黒金フェイス!! 特別仕様車が激アツ!! しかも一部改良で充実機能で勝負
エクストレイルとキックスが黒金フェイス!! 特別仕様車が激アツ!! しかも一部改良で充実機能で勝負
ベストカーWeb
スバルがスーパー耐久参戦へ向けた新型車両を公開! WRX S4をベースにしたマシンをスーパー耐久第2戦に展示予定
スバルがスーパー耐久参戦へ向けた新型車両を公開! WRX S4をベースにしたマシンをスーパー耐久第2戦に展示予定
WEB CARTOP
【独占速報】ヤマハXSR900GP試乗「デザインも走りも、バイクが最高にアツかった80年代を思い出す!」
【独占速報】ヤマハXSR900GP試乗「デザインも走りも、バイクが最高にアツかった80年代を思い出す!」
モーサイ
【欧州市場投入】「マツダCX-80」高性能と最大7人乗りのゆとりある室内空間を実現
【欧州市場投入】「マツダCX-80」高性能と最大7人乗りのゆとりある室内空間を実現
AutoBild Japan
名古屋~浜松「無料で信号ゼロ」秒読み段階!? 国道23号バイパス「名豊道路」全通は”1年以内” 東名の南側「完全スムーズ化」まであとわずか
名古屋~浜松「無料で信号ゼロ」秒読み段階!? 国道23号バイパス「名豊道路」全通は”1年以内” 東名の南側「完全スムーズ化」まであとわずか
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1518.02233.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.01930.0万円

中古車を検索
Sクラスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1518.02233.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

48.01930.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村