「カローラ」といえば、一般的には2019年に発売された新型のカローラセダンとツーリング(ワゴン)を思い浮べるが、バリエーションはさらに多い。
2018年に発売されたカローラスポーツ(5ドアハッチバック)のほか、従来型のカローラアクシオ(セダン)とフィールダー(ワゴン)も継続的に生産されている。
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従って国内で売られるカローラは、新旧含めて5タイプのボディによって構成される「カローラシリーズ」になるわけだ。
新型の発売から1年が経過した後も従来型を販売するのは極めて異例なこと。なぜ旧型カローラは今も併売されるのか。
文:渡辺陽一郎、写真:トヨタ
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旧型のカローラアクシオ&フィールダー 売れ行きは?
2019年にフルモデルチェンジした現行型カローラ、カローラツーリング。同時にカローラスポーツの一部改良も行った
2020年におけるカローラシリーズの登録台数は、コロナ禍の影響を受けながらも月平均で7000~8000台に達する。ボディタイプ別の販売比率は以下の通りだ。
・カローラセダン:19%
・カローラツーリング:58%
・カローラスポーツ:9%
・カローラアクシオ:6%
・カローラフィールダー:8%
継続生産型のカローラアクシオ&フィールダーは、両ボディを合計すると、カローラシリーズ全体の14%を占める。登録台数に換算すると月平均で1000台前後だ。
2020年に平均で1000台を登録した車種には、カムリやCX-8が該当するので、軽くは見られない販売規模だろう。
カローラアクシオとカローラフィールダーは、継続生産型とあってグレードは低価格の「EX」に限られている。それでもエンジンは、1.5Lのノーマルタイプとハイブリッドがあり、前者には4WDも用意した。
なぜ旧型カローラを今も売るのか
現行型カローラが発売してもなお、販売継続しているカローラアクシオ
それにしても、なぜ継続生産型のアクシオ&フィールダーを今でも用意しているのか。販売店に尋ねると以下のような返答だった。
「新型のカローラセダン/ツーリング/スポーツは、すべて全幅が1700mmを超える3ナンバー車になりました。プラットフォームが刷新されて走行安定性と乗り心地が優れ、内外装も上質ですが、歴代カローラは基本的に5ナンバー車です」
「そこで従来の5ナンバーサイズにこだわるお客様のために、アクシオ&フィールダーも残しました」
3ナンバーになった現行型カローラと違い、カローラフィールダーとアクシオは、5ナンバーサイズに収まる。コンパクトで価格も安いため、法人などの一定数の顧客に需要があるという
どのようなユーザーが5ナンバーサイズに収まる従来型のアクシオ&フィールダーを選ぶのか。
「最も多いのは、社用車として使う法人のお客様です。社内的な規則で購入できるクルマが5ナンバー車に限られたり、予算の制約がある場合もあります。そこでコンパクトで価格の安い従来型のベーシックグレードを残しました」
「レンタカーなどの需要もあります。それから数は少ないですが、一般のお客様でも、車庫のスペースが狭いといった理由でアクシオ&フィールダーを選ぶことがあります」
そうなると法人のユーザーは、大半がアクシオ&フィールダーを買うのか。
「すべての法人様がアクシオ&フィールダーを選ぶわけではありません。新型のセダン&ツーリングを社用車として使うケースも多いです。アクシオ&フィールダーを選ぶのは、一部の5ナンバーサイズにこだわるお客様です」
カローラ販売の約半数を支える法人ユーザー
そこでカローラの商品企画担当者に、法人ユーザーのボリュームについて尋ねた。
「カローラセダンの場合、法人のお客様比率は、3ナンバー車になった今でも約半数に達します。継続生産のカローラアクシオは、ほぼすべてが法人のお客様です」
また、ワゴンのカローラツーリングも、約25%は法人のお客様が使われます。ワゴンは小さな荷物の運搬に便利で、商用車に比べると、商談のために長距離を移動する時でも疲れにくいです」
カローラツーリングを活用している約25%は、法人だという。小さな荷物の運搬にも使うことができ、長距離移動も疲れにくい理由もあり、ビジネスでも重宝される
つまり、カローラは、今も昔も個人ユーザーと併せて、ビジネスを支えるクルマでもあるわけだ。法人が機能の新しい3ナンバーサイズのカローラを買うことも多いが、一部は5ナンバー車が社内的な購入条件になる。そこでアクシオ&フィールダーも残した。
ただし、アクシオ&フィールダーは、走行安定性、乗り心地、安全装備の設計などが古く、運転支援機能も採用されない。いつまでアクシオ&フィールダーを売り続けるのか。この点を販売店に尋ねた。
アクシオ&フィールダーはいつまで売り続ける?
「今のところメーカーから、アクシオ&フィールダーの生産を終了する話は聞いていません。法人のお客様が対象なので、定期的な乗り替えもあり、需要が安定しています。
販売店としても失いたくないクルマです。売れ行きが大幅に下がったり、規制に抵触しない限り、生産を続けると思います」
顧客層が法人であるため、定期的な乗り替えもあり、需要が安定している点から、生産終了しないという。
事情は分かるが、アクシオ&フィールダーは前述のとおり設計が古い。特に安全面で遅れが見られるため、5ナンバー車を求めるユーザーでも、アクシオ&フィールダーは推奨できない。
カローラセダン&ツーリングも、今のセダンとワゴンではコンパクトな部類に入るので、可能な限りこれを選ぶのが良い。5ナンバー車にこだわるなら、後席と荷室は狭いものの、安全装備を大幅に充実させたヤリスを推奨する。
今の状況を考えると、カローラアクシオ&フィールダーの後継になる5ナンバーサイズの新しいセダン&ワゴンが欲しい。
ヤリスと基本的な機能を共用しながら、ホイールベース(前後輪の間隔)は50mm伸ばして、アクシオ&フィールダーと同じ2600mmに設定する。この拡大分を後席の足元空間に充当すれば、5ナンバーサイズの魅力的なセダン&ワゴンを開発できるだろう。
せめて、セダンだけでも造れば、カローラアクシオ、プレミオ&アリオンのユーザーを引き継げる。
カローラアクシオとフィールダーは設計が古く、安全面に不安要素がある。ヤリスの基本的な機能を共用しつつ、5ナンバーサイズの魅力的なセダン&ワゴンが生産されるだろうか
トヨタは長年にわたり、5ナンバーサイズのセダンを定期的かつ大量に購入する日本のユーザーに育てられた。かつてのヴィッツをベースにしたセダンのプラッツとベルタは、5ナンバーサイズのカローラセダンと一緒に売られたから売れ行きは伸び悩んだが、今は状況が違う。
ラティオやグレイスも廃止され、輸入車にも皆無だから、5ナンバーサイズのセダンは前述のカローラアクシオ、プレミオ、アリオンだけだ。
今はSUVでもコンパクトな車種が人気だから、5ナンバーサイズのセダンにも意欲を見せてほしい。
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みんなのコメント
今日本がそういう立場になっただけ。