ほぼ全メーカーが参入を試みた北米市場
アメリカで売れるクルマを開発することは、海外メーカーにとって簡単なことではない。20世紀における最大規模の市場へ、ほぼすべての自動車メーカーが参入を試みてきた。だが、プジョーやルノー、スズキなどのように、撤退を余儀なくされた例は少なくない。
【画像】運命を分けた2台 ダットサン240Z トライアンフTR6 TR4とTR8、最新フェアレディZも 全133枚
フィアットとアルファ・ロメオは、近年になって再び挑戦することを決めた。アメリカ人の共感を呼びつつ、現地のモデルとは異なる魅力を提供するという、微妙なバランス感覚が求められる。
日本のダットサン、現在の日産は、1960年代にスポーツカーで北米市場の足がかりを築こうとした。同時期には、英国のトライアンフもさらなる成功に向けて挑んでいた。
輸出するか死するか、という境地に1度は立たされていたトライアンフ。しかし1950年代以降は、アメリカでのブリティッシュ・スポーツカー・ブームの中心的な存在になっていた。排気量の大きい、TRシリーズが彼の地のドライバーの気持ちを捉えた。
特に1967年にリリースされ、英国ではTR5として知られる、2.5L直列6気筒エンジンを搭載したTR250が人気を集めた。生産終了となった、オースチン・ヒーレー3000への需要も満たした。そして1969年にはブランド最大のヒット作、TR6が生み出される。
TR6のエンジンは、TR250のキャリーオーバー。大きいことは良いことだ、というアメリカ的な嗜好に不足ない排気量が備わっていた。特に難しいチューニングを与えずとも、充分なパワーを得ることができた。
同時期に投入されたTR6と240Z
カリフォルニア州の排気ガス規制をクリアできないという理由で、欧州市場で提供されていた燃料インジェクションは当初見送られた。アメリカのディーラーは、メンテナンスが難しい新技術に対して否定的だった。
近所のディーラーが自宅から数100kmも離れた場所にあるとしたら、キャブレターの方が安心なことは間違いない。単に保守的だったわけではない。
トライアンフは、TR4の時代から2種類のリア・サスペンションを設定していた。欧州では独立懸架式が選ばれたが、北米ではTR6でもシンプルなリーフスプリングにセミトレーリング アームという組み合わせが継投となった。
スタイリングは、クラシカルなTR5から一皮むけ、1970年代感を漂わせていた。しかし、ドア付近はジョヴァンニ・ミケロッティ氏が手掛けたTR4と基本的には不変。前後の処理でイメージを一新しており、フェイスリフトの成功例といえる。
そんなトライアンフを横目に、日本の自動車メーカーも北米市場へ挑んでいた。1969年のS30型240Z(フェアレディZ)で。
10年ほど前には、オースチンの技術から派生したダットサン110型系を由来とする、スポーツ1000をアメリカで販売。1960年にフェアレディ1200へ進化するが、合計で1464台の販売に留まった。
1962年にはS310型のフェアレディ1500 ロードスターを投入。MGBやTR4とは違うスポーツカーとして、一定の支持を集めることに成功した。そして1967年の510 ブルーバードで得た認知度を高める存在として登場したのが、S30型の240Zだ。
繊細で現代的なダットサンのL24ユニット
トライアンフが証明したように、アメリカで成功を掴むスポーツカーに求められたのは、余裕のある排気量とシンプルなメカニズム。直列6気筒エンジンを積んだ240Zも、日本のフェアレディZは2.0Lだったのに対し、北米仕様として2.4Lが与えられた。
このL24型ユニットは、トライアンフの6気筒エンジンと多くの特徴が共通している。どちらもサルーン用をベースとするスチールブロックのシングルカムで、リバースフローの燃焼室を備える。排気量は95ccしか違わない。
だが、エンジンから得られる体験は大きく違う。今回のブリティッシュ・グリーンのトライアンフには、後に北米仕様で提供されたルーカス社の燃料インジェクションが組まれており、チョークをいじるとアイドリング時から勇ましい。
クラシカルな英国製エンジンらしく、プッシュロッドのロングストローク型。排気量の拡大はストロークの増長でまかなわれ、トルクが太い。無骨で荒々しい雰囲気と盛大なエグゾーストを放ちながら、気難しいところなく発進できる。
レッドが眩しいダットサンの6気筒エンジンは、ずっと繊細。ドラマチックさは薄いのの、遥かに現代的なユニットに思える。セルモーターと同時にすぐに目覚め、落ち着いたアイドリングを始める。
実用型といえるSOHCエンジンながら、低回転域でも滑らか。ノイズも小さく、静止時は冷却用ファンが送る風音が目立つ。発進直後から印象的なほど力強く、リニアにパワー感を高めていく。BMWのストレート6を彷彿とさせる。
50km/hでの運転ですらチャレンジング
高回転域に迫るほど、L24型ユニットは充足感のある咆哮を放ち始める。パワーがスムーズに生成され、ドライバーの気持ちをそそる。
オーバースクエアなシリンダーを備え、意欲的に走るにはトライアンフより高い回転域を必要とするが、むしろそれがうれしい。4000rpm以上で響く爽快なサウンドを長い時間堪能できる。
5速MTは、トライアンフの4速MTと同じくらい扱いやすい。変速が心地よく、6気筒エンジンの活発な回転域を保ちやすい。
比較すると、TR6は1950年代のモデルからの進化形なのに対し、240Zはまっさらな状態から設計されている。スポーツカーとして、設計思考や仕上がりは面白いほど異なる。
TR6は、50km/hでの運転ですらチャレンジング。パワーの高まりが線形的ではないうえに、硬めのサスペンションが路面の凹凸に反抗し、跳ねるような乗り心地が続く。
小径のステアリングホイールが取り付けられ、操舵にはかなりの腕力も求められる。路面変化に対して直接的に反応するため、ラインを外れないようにしっかり握っている必要もある。
とはいえ、典型的な英国郊外の道を飛ばせば、自ずと夢中になり運転へ陶酔していく。パワーは豊かだから興奮には事欠かない。挙動は完全には予想できないとしても、威勢のある加速で楽しさは巨大だ。
この続きは後編にて。
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