優れたセンスで居心地いいインテリア
新しいメルセデス・ベンツCLEクラスは、従来のCクラス・クーペとEクラス・クーペを置き換えるモデル。2ドアのクーペは、近年は数をさばけないカテゴリーで、合理化が図られたといえる。
【画像】たおやかな雰囲気へ合うディーゼル メルセデス・ベンツCLEクラス 競合クラスのクーペは? 全111枚
今回試乗した英国仕様は、2.0Lディーゼル・ターボエンジンを搭載したCLE 220D。正直なところ、ディーゼルエンジンも最近は支持者が少ないため、20年ほど昔のパッケージングに思えてしまう。
トランスミッションは9速オートマティックで、後輪駆動。エンジンには、電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが組まれている。
英国仕様の場合、ベースグレードがAMGラインで、価格は4万9060ポンド(約908万円)から。プレミアム・グレードではインテリアが高級になり、5万2810ポンド(約977万円)へ上昇する。
今回試乗したプレミアムプラス・グレードは、5万6810ポンド(約1051万円)。インテリアは、視覚的にも触覚的にもなかなか高級。とはいえ、Eクラスではなく、Cクラスから派生したモデルであることも感じ取れる。
駆動用モーターが載らないクルマを運転するのは久しぶりだったが、車内はとても居心地がいい。インテリアデザインのセンスと、華やかなカラーコーディネートで、アウディやBMWには及ばない内装の質感を巧みに包み隠している。
とはいえ、組み立て品質自体は高い。フロントシートはサイズにゆとりがあり、しっかり体を支えてくれる。疲れにくそうだ。
たおやかな雰囲気へ合う2.0Lディーゼル
ダッシュボードの中央には、例によって巨大なタッチモニターが鎮座。多くの車載機能のインターフェイスとなるが、操作は難しくない。アイコンは大きく表示され、入力への反応は素早く、実際に押せる物理ボタンの減少を巧みに補っている。
制限速度の警告は、音声操作システムでオフにできる。反面、車線維持支援システムは、タッチモニターを介して切り替えることになる。
ステアリングホイールにはタッチセンサーが並ぶが、こちらの反応は今ひとつ。従来のデザインのアイテムが欲しくなるところだが、操作が煩雑ということはない。
ヘッドライトやフォグライトのスイッチは、従来どおり。これが正しい。
リアシート側は、上下方向に若干ゆとりがないものの、大人でも座れる。荷室容量は420L。従来のCクラス・クーペより60L拡大した。
英国では、ディーゼルターボ人気はすっかり冷めており、直近の新車販売の割合は僅か5%に過ぎなかった。それでも、マイルド・ハイブリッドの220Dは、たおやかなCLEの雰囲気へ合っているように感じた。
エンジンの最高出力は199psで、最大トルクは44.8kg-m。スターター・ジェネレーター(ISG)が、23psと20.8kg-mをアシストする。0-100km/h加速は7.5秒と悪くない。ブースト圧が高まるまでISGがトルクを追加し、瞬発力は数字以上に鋭い。
気付かないほど滑らかな電動アシスト
走行中の車内は驚くほど静かで、アイドリング時や低速域では、エンジンの燃焼音がまったく聞こえない場面も。バッテリーEVの方が静寂性や滑らかさでは勝るとはいえ、平穏に数100kmを延々と運転したい場面では、望ましいパワートレインだといえる。
2.0Lガソリンターボを積むCLE 200と、速さとしては同等。現実的な利用環境でも、引けを取らないくらい柔軟なはず。マイルド・ハイブリッドのアシストもシームレスで、仕様を知らなければ気付かないかもしれない。見事に統合されている。
9速ATは、マニュアル・モードも選べるが、あえて手を煩わせる必要はないだろう。状況判断も、変速マナーも素晴らしい。スポーツ・モードを選ぶことはできるものの、エンジンを少し引っ張りすぎる印象。頻繁に使いたいとは感じないかもしれない。
全体的な運転体験は好印象。市街地では、ややゴツゴツ感が目立っていたため、20インチ・アルミホイールはサイズダウンしても良いかもしれない。それ以外、姿勢制御と乗り心地のバランスは優れる。
ステアリングホイールは軽め。セルフセンタリング性は控えめだが、重み付けは一貫しており、反応は正確。4シリーズ・クーペの方が一体感は高いかもしれないが、洗練され落ち着いた2ドアクーペの性格を考えると、強い不満は抱かないはず。
優れた快適性 洗練された動的能力
ボディサイズは全長が4850mmあり、従来のEクラス・クーペより15mm増えている。BMW 4シリーズ・クーペより約80mmも長い。全幅は1860mmで、新しいCクラスより40mm広い。確かに成長したものの、駐車に困るほど大きいわけではない。
燃費は、カタログ値で20.9km/L。今回の試乗でも、これに近い数字を達成できた。
新しいCLE 200Dは、優秀な快適性と、洗練された動的能力が魅力。パワートレインは扱いやすく、インテリアは心地良く上品だ。
メルセデス・ベンツのクーペの存在感は、近年すっかり低くなったように思う。それでも筆者は、CLEが好きだ。読者の多くにも、うなずいてもらえると思う。
メルセデス・ベンツCLE 200D クーペ AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック
英国価格:5万6810ポンド(約1051万円)
全長:4850mm
全幅:1860mm
全高:1428mm
最高速度:238km/h
0-100km/h加速:7.5秒
燃費:20.9km/L
CO2排出量:125g/km
車両重量:1870kg
パワートレイン:直列4気筒1993cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:199ps/3800rpm
最大トルク:44.8kg-m/1800-2800rpm
ギアボックス:9速オートマティック(後輪駆動)
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初めて知ったわ