現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 速く走るならMTよりAT! レーシングドライバーが語るイマドキATの完成度と最強の2ペダルとは

ここから本文です

速く走るならMTよりAT! レーシングドライバーが語るイマドキATの完成度と最強の2ペダルとは

掲載 更新
速く走るならMTよりAT! レーシングドライバーが語るイマドキATの完成度と最強の2ペダルとは

 F1やスーパーGTもパドルシフトが増えてAT化に近づいている

 何度も書いてきたが、僕自身はどちらかというとAT(オートマチックトランスミッション)派だ。3ペダルのMT(マニュアルトランスミッション)車のほうがスポーティだというのが世の一般的な考え方だが、そうは思わない。

【2ペダルMT】シングルクラッチとツインクラッチの違いとは?

 たとえばハイスピードでコーナリングしながらシフトチェンジが必要になった場合、MTだと左足をフットレストから外してクラッチペダルを操作し、ステアリングからは片手を離してシフトレバーを操作しなければならない。サーキット走行など高速走行時に正確にライントレースしながらシフト操作するには、バケットシートに5点式以上のシートベルトで身体をガッチリ固定していなければならない。普通乗用車の快適なシートにゆるゆるの3点式シートベルト装着状態で、正確なライントレースとシフト操作を両立するのはかなり無理があるのだ。

 近年のレーシングカーは速い上級カテゴリーになるほど2ペダルのステアリングパドルが当たり前。スーパーGTマシンもF1もWRCのラリーマシンだって2ペダル化されている。ただこれらはATではない。ギヤ選択はパドル操作でドライバーがマニュアル操作するという意味では、MTに分類すべきなのかもしれない。

 だが、じつはこうしたレーシングマシンも本当は完全なATにすればもっと速くなる。ドライバーからパドル操作も排除すれば、よりステアリング操作に集中でき速く走れる。エンジンのパワーバンドやトルク伝達効率も、コンピュータ制御したほうが圧倒的に有利になる。どのカテゴリーにおいてもそうなっていないのは、レギュレーションによりAT化が抑制されているからにほかならない。

 もしAT化が自由選択制となれば有力チームはいち早くAT化するだろう。だがプライベーターや弱小チームでは、対応が追いつかず不利になる。そこでイコールコンディション化を保つためにマニュアル操作をするよう定めているわけだ。

 ポルシェは走行状況も考慮して変速を行う

 逆にいえば市販車レベルではレギュレーションがない。ATでもMTでもメーカーが思うように装備することができる。ではモータースポーツでも使いたいくらいに完成度の高いATはあるのだろうか? 現在市販されたもののなかかからピックアップすると、それはポルシェが装備するATのPDK(ポルシェドッペルクップリング)ということになる。いわゆるツインクラッチのトランスミッションで、Dレンジでは完全ATとして扱え、ステアリングパドルを使ってマニュアルシフトも行える。

 PDKが優れているのは、そのメカニズムもさることながら変速制御プログラミングに表われている。たとえばDレンジで走行していてもコーナーでGが高まると、ギヤポジションが固定され無闇に変速しない。これはRR(リヤエンジンリヤドライブ)で、リヤの慣性質量の大きさからコーナリング姿勢が不安定になりやすい911の経験則から活かされた制御。PDK以前のトルコンATであったティプトロニックの時代にも、すでに採用されていた制御だ。

 またアクセル操作に応じてギヤを1~2速シフトアップしたりシフトダウンしたりする「キックダウンスイッチ制御」が取り入れられていたり、ブレーキペダルの操作量と減速Gに応じてシフトダウンを機能させるなどドライバーの自由度が高い。ほかにも80km/h以上でクルージングしていると、自動的にクラッチを切りクルージングさせて燃費を向上させるコースティング制御、ゼロ発進加速で最高性能を引き出せるローンチコントロール機能も備える。

 PDKに準じるのはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)車で、国産モデルでは三菱ランサーエボリューションXが初採用。現状では日産GT-RやホンダNSX、ホンダ・フィット、ホンダ・ヴェゼルなどが搭載している。ただGT-RやNSXといえどもポルシェPDKほどの完成した制御は与えられておらず、制御プログラミングの特許もからんでPDKの優位性は当分代わらないだろう。

 またスーパーカーとして名高いランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテやメルセデス-AMGの各モデルに採用されているDCTやMCT(マルチクラッチテクノロジー)も高い完成度を誇っている。とくにレースモードでのプログラム制御はサーキットに特化され、マニュアルシフト操作より確実に速く走れるよう設定されている。

 多くの人はトルコン式ATを嫌うが、その理由はトルコンのスリップ感とそれに伴うエネルギーロスに起因しているのだろう。だが最新のトルコンには1速のスタート直後からオーバードライブまで全段に渡りロックアップクラッチを作動させ、直結感を保つものもある。その制御が荒くシフトショックが大きいものは避けたいが、今やMTにこだわらなくても走りで満足でき、あえて選択する価値のあるATが存在するということを知っておいてもらいたい。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
くるまのニュース
BMW、ディーゼルエンジン車8車種のリコール…最悪の場合は車両火災に
BMW、ディーゼルエンジン車8車種のリコール…最悪の場合は車両火災に
レスポンス
近藤真彦率いるKONDO RACINGを応援する2名の「リアライズガールズ」はだれ? 王道のコスチュームをカッコ可愛く着こなす2人にも注目です
近藤真彦率いるKONDO RACINGを応援する2名の「リアライズガールズ」はだれ? 王道のコスチュームをカッコ可愛く着こなす2人にも注目です
Auto Messe Web
ラリージャパンでアルピーヌA110RGTに同乗試乗! まったく別モノかと思ったら量産モデルに通じる走りだった
ラリージャパンでアルピーヌA110RGTに同乗試乗! まったく別モノかと思ったら量産モデルに通じる走りだった
WEB CARTOP
ラリージャパンで競技区間進入の一般車、スタッフの制止振り切り検問突破していたことが明らかに。実行委員会は被害届を提出予定
ラリージャパンで競技区間進入の一般車、スタッフの制止振り切り検問突破していたことが明らかに。実行委員会は被害届を提出予定
motorsport.com 日本版
ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
motorsport.com 日本版
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
レスポンス
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
WEB CARTOP
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
WEB CARTOP
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
AUTOSPORT web
角田裕毅、ラスベガスで躍動し予選7番手「ミスター・ガスリーには離されたけど……アタックには満足。良いフィードバックもできている」
角田裕毅、ラスベガスで躍動し予選7番手「ミスター・ガスリーには離されたけど……アタックには満足。良いフィードバックもできている」
motorsport.com 日本版
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
くるまのニュース
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
レスポンス
「日産 GT-R  プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
「日産 GT-R プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
Webモーターマガジン
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
THE EV TIMES
ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
レスポンス
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
LE VOLANT CARSMEET WEB
今週、話題になったクルマのニュース4選(2024.11.23)
今週、話題になったクルマのニュース4選(2024.11.23)
@DIME

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索
911の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村