連載/石川真禧照のラグジュアリーカーワールド
ふだんは、アメリカ車に興味のない人でも「コルベット」の名は耳にしたことがあるだろう。1954年に初代がデビュー、以来、アメリカで現存する唯一の2シータースポーツカーとして君臨するクルマだ。
フォルクスワーゲングループは昨年、前年比で3倍となる23万1600台の電気自動車を販売
その「コルベット」の新型モデルがようやく日本に上陸した。ようやくと書いたのは、本国でのデビューは2019年7月だったから。2020年式として新型「コルベット」が発表された(アメリカでは「コルベット スティングレイ」。日本ではスズキがかつて「スティングレイ」という軽スポーツを発売しており、商標権を持っている)。その時の内容の中に日本仕様のことが書かれていた。
「コルベット」初の右ハンドル車を生産、日本市場に導入する。「コルベット」の販売台数で右ハンドルが占める割合は少ないが、シボレーはそこを認め、右ハンドルの生産に踏み切ったのだ。2020年8月、日本での価格が発表され、クーペに続き、コンバーチブルの販売も決定。予約を開始したものの、納車は2021年5月まで待たなければならなかった。それもコロナ禍の影響で遅れ気味に。そして、ようやく今年の夏に第1陣が上陸。グレードはクーペが2LTと3LTの2グレード。コンバーチブルは1グレードの計3グレード。クーペのグレードの違いは主に内外装の材質の違いなど。室内は完全に2人乗りでタイト感のある運転席は、戦闘機のコクピットをイメージしたものだという。助手席に座っても包まれている感覚になる。
8代目にあたる新型「コルベット」で大きく進化したのがパワーユニットだ。これまでの「コルベット」は、フロントに大排気量V8エンジンを搭載し、後輪を駆動するというアメリカンマッスルカーの伝統を継承してきた。スタイリングの特徴は、長いボンネットと短いトランクスペース=ロングノーズ、ショートデッキだった。新型は、V8エンジンはそのままに、フロントから乗員のすぐ後ろ、ミッドシップに移された。エンジンはV8、OHVで、排気量は6153ccの自然給気エンジン。このスペックは先代から変わっていない。
ボディーサイド、空気取り入れ口に埋め込まれたドアノブを押し、運転席に座る。助手席との間の仕切りにはタテ1列にエアコンなどのスイッチがズラリと並ぶ。操作性よりもデザイン的に圧巻のレイアウトだ。
ドライビングモードも疑っている。レーストラック/スポーツ/ツーリング/マイ/悪天候のモードが選べる。さらに中央の画面表示でステアリング/サスペンション/エンジン・シフト/ブレーキフィーリング/エンジン音/PTMが調節できる。モード表示の違いでドライバー正面の液晶メーターの表示も変わる。モードにより、加速度計まで表示される。
ミッドシップのエンジンは、クーペでは車外から見ることができる。コンバーチブルはルーフを収める部分の下になるため、カバーが貼られており、見ることはできない。「コルベット」が他のスーパースポーツと異なるのは、実用性の高さだ。これはアメリカ車の考え方が受け継がれている。
例えば、トランクスペースは車体の前後にあるが、前部は深さが45~56cmと深い。これはミッドシップスポーツのフェラーリやポルシェにも採用されている。凄いのはリアのスペース。ここにゴルフバッグが小型サイズなら2セット入る。フルセットのバッグでも1セット収納ができるのだ。
しかも、トランクリッドはオートクロージャーを採用。クーペの場合、このスペースに外したタルガルーフが収納できるのだ。タルガルーフは3か所のフックを外し、大人2名で扱うことができる。クーペもタルガルーフなので、コルベットにクローズドルーフのモデルは存在しないのだ。これも新型の特徴といえる。
そしてクーペ3LTから試乗。この後、コンバーチブルも試乗した。V8、6.2ℓ自然給気エンジンは502PS、637Nm。クーペの車両重量は1670kg。コンバーチブルより30kg軽い。ミッションは8速電子制御AT。シフトは電気式なので、センターに並ぶシフトレバーはミッションと機械的にはつながっていない。V8エンジンは走行状況によりV4の気筒休止も行なう。V8、V4はメーターパネル内に表示される。燃費は実走行で5~8km/Lだった。
いよいよスタート。エンジン始動で爆音系の咆哮が1回。そのあとは大人しくアイドリングする。街中では60km/hは6速1200回転と大人しい。その後、高速道で100km/h巡航すると8速1300、7速1500、6速は2000回転をキープする。音に関してはツーリングモードは4000回転、スポーツモードでは5500回転から爆音モードに入る。0→100km/h加速はストップウォッチでも4秒台前半をたたき出した。OHVエンジンも6500回転まで、スムーズに上昇する。
高速道路を疾走するのも、安定感があり楽しいが、なんといってもワイドで低い車体は コーナーで楽しさ(と恐怖!?)が倍増する。手首の動きで俊敏に反応するコーナリングはまさにスポーツカー。しっかりと体を支えてくれるセミバケットシートが有難い。
しかし、乗り心地は決してソリッドな硬さでなく、突き上げも少ない。この乗り心地のよさは欧州のミッドシップスーパースポーツでは味わえない部分。見た目のスーパースポーツ感とは異なり、信じされないかもしれないが、新型「コルベット」は、乗り心地も悪くなく、街中でも運転しやすく、ラゲージスペースも十分、というのが試乗した印象。この素晴らしさは実際にハンドルを握ってみないと、理解ができないかもしれない。
◆ 関連情報
https://www.chevroletjapan.com/cars/all-new-corvette/model-overview.html
文/石川真禧照(自動車生活探検家)
雑誌「DIME」の連載「カー・オブ・ザ・ダイム」を長年にわたり執筆。取材で北米、欧州、中東、アジアをクルマで走破するなど、世界のクルマ事情に詳しい。国内外で年間に試乗するクルマは軽からスーパーカーまで200台以上。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)副会長。日本モータースポーツ記者会(JMS)監事。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。
撮影/萩原文博(静止画)、吉田海夕(動画)
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