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試乗シボレー・カマロZL1 魅力は価格 英国/日本で買えぬ点「残念」

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試乗シボレー・カマロZL1 魅力は価格 英国/日本で買えぬ点「残念」

もくじ

どんなクルマ?
ー ニュル7分16秒の、究極のポニーカー
ー 全身をステロイド剤で増強

シボレー・カマロ6.2?V8 2017年型に試乗 古典的マッスルカーの性格は健在

どんな感じ?
ー ストレートだけじゃない、マッスルカー
ー ハードコアとは一線を画す乗り心地
ー 6速マニュアルか10速ATか

「買い」か?
ー イギリスで入手できないのが恨めしい

スペック
ー シボレー・カマロZL1のスペック

どんなクルマ?

ニュル7分16秒の、究極のポニーカー

コルベットZR1の6.2ℓのスーパーチャージドV8エンジンと、若干窮屈ではあるが、とても実用性の高い4シーターのキャビンを合体させたクルマが、カマロZL1。

現段階では、究極のポニーカーだと思う。

彼の地アメリカなら、通常のZL1が6万2500ドル(688万円)、サーキット走行に焦点を当てたZL1 1LEの場合は、7万1300ドル(785万円)という、ディスカウントプライスで販売されている。

エンジンはマスタングのトップモデル、GT350から116psも上回る、650psを発生する無敵のV8エンジンを搭載。

それ以上にGMのエンジニアにとって意味を持つ数字は、2017年に打ち立てた、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでの7分16秒というラップタイムだろう。

同等のパフォーマンスを発揮する他のモデルよりも圧倒的に安価なうえ、マニュアルギアでその記録を達成したのだ。

全身をステロイド剤で増強

6速マニュアルの他に10速ATも存在し、われわれはZL1のATと、 ZL1 1LEのマニュアルを、ミシガンの一般道でテストする機会を得た。

どちらのスタイリングも、スタンダードのカマロにステロイド剤で更にアグレッシブにしたような風格で、巨大なフロントスプリッターと、カーボン生地が見えるボンネットのパワーバルジがとてもたくましい。

ZL1 1LEには更にウイングレット類も追加され、トランクには巨大なリアウィングがそびえる。加えて調整可能な、サーキット用サスペンションも標準で装備される。

思いつくような激しさを表す形容詞は、加速にも使えそうだが、その他の荒々しい部分にも使えそうだ。

その増強ぶりを確かめてみたい。

どんな感じ?

ストレートだけじゃない、マッスルカー

V8エンジンは望めばすぐに、衝撃を伴うほどの加速を与えてくれる。

2500rpm付近からスーパーチャージャーは激しい過給を始め、うなり響くエグゾーストのサウンドトラックに、映画マッド・マックスを連想させるメカノイズを重ねてくる。6500rpmに向けてひたすら強力に回り、トップエンド付近まで容赦ない。

つまり、常識的な使用範囲なら、ほとんど高回転域まで回す機会はないだろう。

GMの発表では、0-100km/h加速は3.5秒。アメリカの雑誌が試した1/4マイル(0-400m)のタイムは、11秒以下だった。

しかしこのクルマは、ストレート加速性能だけのマッスルカーではない。サーキットでの走行機会はなかったが、標準のZL1は、ミシガンの路面が荒れて酷くうねった一般道でも、何の問題もなく走破する。シャシーはこの馬力にして十二分のグリップを発揮し、印象的なほど高いトラクションを得ている。

ハンドリングバランスは予想通りリアタイヤが主役で、トラクションコントロールがONの状態でも、パワーの掛け方によっては後輪が暴れたがる。しかし、カマロに気まぐれな部分はなく、そのポテンシャルの上澄み部分だけでも、充分にエキサイトさを味わうことができる。

ハードコアとは一線を画す乗り心地

例えアダプティブダンパーの設定を最も柔らかい「ツアー」にしても、乗り心地は予想通り硬いが、ZL1はやみくもなハードコアとは一線を画す、素直な脚さばきを披露する。

そしてエンジンに勝るとも劣らない、カマロの特徴となるのがステアリングフィール。アルカンターラが巻かれた肉厚なステアリングホイールの感触は重く、路面の凹凸や質感を手に取るように伝えてくれる。ZL1の野生に隠れた本性を、明確に示している側面と言える。

一方、ZL1 1LEはサーキットを住処とする更にハードコアな仕上げで、手懐けるのは難しい。

サーキット前提のサスペンションは、標準のZL1が持っている柔軟性を失い、最も一般道に向いているセッティングにしても、あらゆる路面の凹凸を直接ドライバーに伝えてくる。サーキットでは頼もしいと感じるのだろうが、わたしなら、一般道では標準モデルのZL1を選びたいと思う。

6速マニュアルか10速ATか

またマニュアルギアの存在も、ZL1を購入する際の悩ましいポイントになる。

適正な重さと、機械的な高い精度を感じさせるマニュアルギアは最高のできで、操作する喜びは高い。ただし間違いなく、ATよりもスピード違反の回数は増えるだろう。

10速ATは穏やかにドライブしている範囲では、トルクコンバーターがスーパーチャージド・エンジンからのパワーを丸く制御してくれるが、多段なゆえ、常に変速を繰り返すところは気になる。

しかし、ペースを早めればATの性格は変わり、ツインクラッチに匹敵する速さで変速し、スポーツモードとトラックモードでは変速ショックも強くなる。シフトアップする時の燃料カット制御で、4本出しのマフラーから弾けるようなノイズを発する。

マニュアルにこだわる好き者にとっては、特に慣性の強いフライホイールを持つV8で、シフトダウン時にスロットル・ブリッピングシステムを使わずに回転数を合わせる難しさも、また一興となるだろう。

「買い」か?

イギリスで入手できないのが恨めしい

もし、ZL1を購入できる地域に住んでいるなら「すぐにディーラーへ」と言いたい。そして、このクルマのもつ能力を存分に楽しんでほしい。1馬力1万円で買える、世界でも類を見ない、ハイパフォーマンスカーだと思う。

残る地域の人は、残念だが並行輸入が唯一の選択肢となる。

イギリスのディーラーでは(日本でも)、直列4気筒2ℓターボとV8仕様のカマロを購入できるが、左ハンドルだし、アメリカの販売価格と比較すると、だいぶ上乗せされた価格設定になっている。

カマロZL1は、ここイギリスでは入手しがたい、甘美な禁断の果実。そんなクルマに違いない。

シボレー・カマロZL1のスペック

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