英国アストンマーティンは2024年9月2日(現地時間)、同ブランドの新世代フラッグシップスポーツカーである新型「ヴァンキッシュ(Vanquish)」を発表した。生産は年間1000台以下の限定で、注文の受付はすでに開始。デリバリーは本年第4四半期にスタートする予定である。
ヴァンキッシュを名乗るモデルとしては2001年デビューの初代、2012年デビューの2代目に続く第3世代、また2018年に登場したDBSの実質的な後継を担うV12スーパースポーツモデルの新型ヴァンキッシュは、メーカー自ら「アストンマーティンの111年の歴史の中で最もパワフルなフラッグシップモデル」を標榜する。
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注目のパワーユニットは、シリンダーブロックとコンロッドの強化、再加工したカムシャフトを組み込む再設計のシリンダーヘッド、新設計のインテークポートとエキゾーストポートを採用するとともに、スパークプラグの位置変更や大流量の燃料インジェクターの導入、そしてコンプレッサーホイールの慣性を低減しつつ最大回転速度を15%向上させたターボチャージャーを組み込んだ進化版の5.2リットルV型12気筒DOHC48Vツインターボエンジンをフロントミッドに搭載。最高出力は835ps/6500rpm、最大トルクは1000Nm/2500~5000rpmを発生する。いかなるパーシャルスロットル開度でも通常必要とされるターボブースト圧より高く圧力を高めておき、フルスロットルが必要となった場合にすぐに応答できるブーストリザーブ機能も新たに採用した。組み合わせるトランスミッションは、専用セッティングのZF製8速オートマチックギアボックスをリアミッドに配備。リアドライブの駆動系には、改良版のカーボンファイバー製プロペラシャフト付アロイトルクチューブのほか、フルオープンから100%ロックまで135ミリ秒の速さで移行する電子制御リアディファレンシャル(e-diff)を新たに組み込み、低中速域のコーナリングでの敏捷性を高めると同時に、オーバーステア時や高速域でのレーン変更時のコントロール性を向上させる。性能面では、最高速度が345km/h、0→100km/h加速が3.3秒を実現した。
基本骨格については、接着アルミシャシーに前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式で構成したサスペンションを組み合わせたうえで、Aピラーとフロントアスクル間およびホイールベースの延長(約80mm)やエンジンクロスブレースの追加、アンダーボディの強化などを実施してねじれ剛性と横方向の剛性を向上。サスペンションには専用のキャリブレーションを施したビルシュタインDTXダンパーを配し、同時にクロスメンバーの強化を行って乗り心地とハンドリング性能を引き上げる。シューズには21インチ鍛造アロイホイールと専用セッティングのピレリP Zeroタイヤ(サイズは前235/30ZR21/後275/35ZR21)を装着。制動機構には前Φ410mmディスク+6ピストンキャリパー/後Φ360mmディスク+4ピストンキャリパーのカーボンセラミックブレーキを標準で装備した。ドライブモードに関しては、ドライバーが任意に設定できるインディビジュアルのほか、ウエット/GT/スポーツ/スポーツ+を設定している。
エクステリアについては、カーボン材を多用した2ドアクーペスタイルを継承したうえで、よりロングノーズ&ショートデッキを強調したスタイルへと進化する。各部のアレンジにもこだわり、フロント部はV12エンジンに空気を送り込み、独特な潮流のような凹型のフォルムで仕立てたフロントグリルやサーモルバーを配したボンネット、統合型スプリッターを備えたワイドバンパー、そして6ブロックのデザインパターンを配した新開発のDRL付マトリクスLEDヘッドライトなどを採用してアグレッシブなマスクを創出。一方でサイドセクションは、Aピラーとフロントアクスル間の延長によるロングノーズや彫刻のように形作られたインフィルパネルに収められるV12刻印入りのサイドストレーキ、折り重なったセクションによって筋肉質なフォルムを強調したフェンダーおよびドアラインなどによって、ドラマチックなフォルムを実現する。フレームレスのドアミラーや自動で開くドアハンドルを配して空力特性を高めたこともトピックだ。そしてリアセクションは、フロントグリルを反映した7本のライトブレードや、パノラマガラスルーフに滑らかに統合されるリアスクリーン、新しいシールドをあしらったカムテール、中央と外側にブレードを備えた攻撃的なディフューザー、四角形と円形を組み合わせたエッジを持つ4本の排気管などを採用して、スポーティかつ印象的な後ろ姿を演出する。ボディサイズは全長4850×全幅2044×全高1290mm/ホイールベース2885mmに設定。外装色はイメージカラーのスーパーノヴァレッドやアルミナイトシルバー、ニュートロンホワイト、イプシロンブラックといった魅惑的なカラーを用意している。
内包する2シーター構成のインテリアは、既存のDB12などのデザインをベースに最高級のラグジュアリーと革新の頂点に立つヴァンキッシュならではの演出を施したことが訴求点である。コクピットとしてはセンターパネルの中央に10.25インチの大型タッチスクリーンを配したことがトピックで、この画面を通じてインフォテインメント機能や空調、車両の一般設定などの操作を行うことが可能。センターコンソールには、ガラス製のスタート/ストップボタンや金属製のドライブモード切り替え用ロータリーダイヤルを設定した。一方でシートについては、独自のキルトとパーフォレーションパターンを施し、かつサテンまたはグロス仕上げの2×2ツイルカーボンファイバーで仕立てた16方向調整スポーツプラスシートを装着。シート後方は荷室スペースにあてがい、専用のラゲッジセットなども用意する。2つのアンプと15個のスピーカーで構成するBowers&Wilkinsオーディオシステムも装備した。内装色としては、センティナリーサドルタンやコートダジュールブルー、フォレストグリーン、オニキスブラックなどを設定。車両とスマートフォンの間でシームレスな操作とコントロールが可能な最新のコネクティッド機能も組み込んでいる。
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