初回 革新的な技術が盛りだくさん
BMW最新のフラッグシップ・バッテリーEV(BEV)、iXに関しては、フロントマスクを中心にデザインへ話題が集まりがち。だが、それ以外にも触れるべき多くの特徴が備わっている。
【画像】BMWの最新フラッグシップBEV iX iX3とi4 生産終了のi3とハイブリッドのi8も 全139枚
特に、革新的な技術には余りスポットライトが向けられていない。アップルの新製品だとしたら、SNSで話題になるであろう多くの機能が実装されている。
iXというモデルの位置づけも注目に値する。BMWは7シリーズと8シリーズ、X7といった大型のモデルを長年提供しているが、ライバルブランドほどの成功は収めてこなかった。
しかし、大きなボディのiXは静かでパワフル。製品として洗練され、乗り心地も快適で、レンジローバーと直接的に比較できる仕上がりにある。もちろん、50年という歴史を持つ英国製の高級SUVに、一日の長があることも間違いはないが。
どうしても目がいくキドニーグリル部分には、運転支援システムのセンサーやカメラなどが集約されている。多少の擦り傷なら自己修復できる、特殊な素材で表面はコーティングされている。
確かにグリルは大きく目立つが、クロームメッキ部分をブラックアウトしてボディカラーと馴染ませれば、そこまで目立つ存在でもない。意見を二分する大胆な処理ながら、iXで味わうべき仕上がりは、そこではないだろう。
競合のBEVと一線を画す走り味
iXは、シティカーのi3の遠い親戚といっていい。同社2番目のBEV専用モデルとして、i3と入れ変わるように市場へ投入された。どちらも「カーボンケージ」と呼ばれるボディシェルで構成され、環境に配慮された軽い素材で内装が設えられている。
iXの全長は4953mmと長い。英国価格は約8万ポンド(約1320万円)もする。i3との違いは大きいけれど。
英国のiXには3種類が存在する。71kWhの駆動用バッテリーを搭載する、xドライブ40が航続距離は最も短く413kmがうたわれる。105kWhのM60では、560kmまで伸びる。
その間に位置するのが、長期テストにやって来たxドライブ50。M60と同じ105kWhの駆動用バッテリーを搭載し、パワーは劣るものの航続距離は37km多い。
xドライブ50が搭載する駆動用モーターは2基で、合計の最高出力は523ps。カーボン製の構造を採用していても車重は2.5tを超えるため、BMWとして必要な馬力といえる。
ステアリングホイールを握りアクセルペダルを踏めば、競合のBEVと一線を画すことが明らかになる。内燃エンジンの時代にお別れを告げ、新しいモデルを生み出そうという決意がみなぎっている。
加速時は宇宙船のようなサウンドが車内に響く。これは著名な作曲家、ハンス・ジマー氏によってデザインされ、音質やボリュームは右足の加減で変化する。
内燃エンジンでは一般的な聴覚的変化といえるが、BEVでこれほど成功させている例は現在では唯一。SF映画を実体験しているような音響で楽しい。BMWの仕事を喜びたい。
従来の枠を超えたワクワクする暮らし
iXに用意されるオプションは数多く、長期テスト車にも少なくない量が盛り込まれている。トリムグレードはMスポーツだ。
パノラミック・グラスルーフを獲得できるスカイラウンジ・パッケージは、3500ポンド(約58万円)。無数のカメラが追加されるテクノロジープラス・パッケージは、5000ポンド(約83万円)なり。
深みのあるアベンチュリン・レッドIII塗装は1890ポンド(約31万円)。ボディトリムがブロンズカラーになる、チタンブロンズは550ポンド(約9万円)。モノトーンではない、新鮮味のある色の組み合わせだと思う。
3900ポンド(約64万円)のコンフォートプラス・パッケージには、座り心地のいいスポーツシートも付いてくる。心が躍るようなiXが、一層快適になる。
インテリアにも唸らされる。視覚的に心地よく、触り心地の柔らかい、高品質な素材で内装が仕立てられている。全体的なコーディネートも素晴らしい。操作系はタッチモニターへ集約されておらず、実際に押せるボタンやノブが残されている。
ワクワクする、といった表現は今後も何度か用いるだろう。イチから開発されたBEVとして、既存の枠を超えた内容だからだ。従来とは異なるアプローチで設計され、BEVのベンチマークといえる完成度にもある。
今後しばらくはBEVの初期の傑作として、何度も振り返る存在になるだろう。長期テストを通じて、そのワクワクを1つづつ体験していきたい。
セカンドオピニオン
2022年初頭の試乗で感心させられたのが、従来の型を破ったといえる内容だった。スタイリングは美しいと感じないにしても個性的であり、大きな高級車の形式張った重々しさを適度に軽減させている。
数時間も乗れば、iXへ自然と強い好感を抱くはず。幅広い能力を備え、堅苦しくない印象を抱くと思う。静かでしなやかで穏やかな乗り心地は、日常的な移動手段として素晴らしい。 Matt Saunders(マット・ソーンダース)
テストデータ
テスト車について
モデル名:BMW iX xドライブ50 Mスポーツ(英国仕様)
新車価格:9万4825ポンド(約1564万円)
テスト車の価格:11万6965ポンド(約1929万円)
オプション装備
テクノロジープラス・パッケージ:5000ポンド(約83万円)
コンフォートプラス・パッケージ:3900ポンド(約64万円)
スカイラウンジ・パッケージ:3500ポンド(約58万円)
インテリアデザイン・スイート I アミド:3250ポンド(約53万6000円)
ビジビリティ・パッケージ:2000ポンド(約33万円)
アベンチュリン・レッドIII メタリック塗装:1890ポンド(約31万2000円)
クリア&ボールド・インテリア・アプリケーション:1050ポンド(約17万3000円)
バイカラー・エアロ ・アルミホイール:1000ポンド(約16万5000円)
チタンブロンズ・エクステリアトリム:550ポンド(約9万円)
テストの記録
航続距離:515km
電費:5.4km/kWh
故障:なし
出費:なし
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みんなのコメント
中古車として流れてるね
これは個人でも企業でも早く手放しておきたいだろう。