■世界初のロータリーエンジンを搭載した「コスモスポーツ」
日本が世界に誇る歴史的な技術のひとつに「ロータリーエンジン」があります。
【画像】超カッコイイ! マツダ「コスモ21」を画像で見る(26枚)
ロータリーエンジンは、マツダが1967年に登場させた「コスモスポーツ」に市販車世界初搭載した、上下運動するピストンではなく”おむすび”型のローターを筒内で回転させる方式の内燃機関です。また、ロータリーエンジンを搭載した市販車を量産販売したのはマツダのみとなっています。
ロータリーエンジンは通常のエンジンと比較して、非常になめらかに高回転まで回る低振動性・低騒音性に優れる特徴があります。燃費が悪いというデメリットはありますが、独特なエンジンフィールは爽快そのもので、今でも根強い”ロータリーファン”が多く存在しています。
1967~72年の間に販売されたコスモスポーツは、総排気量約1リッターの2ローターで、最高出力は前期型で110PS、後期型で128PS、最大トルクは前期型13.3kgf・m、後期型14.2kgf・mというスペックを持ち、トランスミッションは前期型が4速MT、後期型は5速MTを組み合わせていました。
ボディサイズは、全長4140mm × 全幅1595mm × 全高1165mm(後期型)と現行モデルのマツダ「ロードスター」に近いコンパクトな大きさとなっています。
”夢のエンジン”を載せたこのクルマは、宇宙を意味する”コスモ”にちなんでコスモスポーツと命名され、約5年の間の生産台数はわずか1176台でした。その希少性もあり、現在の中古車相場価格は1500万円以上となっています。
■マツダスピードがコスモスポーツを復活させた
コスモスポーツは、1975年に「コスモ」の名称で2代目へとバトンが渡され、1990年にフルモデルチェンジを受けて「ユーノス コスモ」として発売、1996年に生産が終了し、コスモの歴史に幕が下りました。
しかし、2002年開催の東京オートサロンにおいて、当時のマツダのモータースポーツ部門会社「マツダスピード」が、3代目NC型「ロードスター」をベースにコスモスポーツをコンセプトカーとして復活させました。
そのコンセプトカーは、初代コスモスポーツが現代によみがえったらどうなるのか、というコンセプトで開発され、21世紀の幕開けだった当時にちなんだ「コスモ21」という名称が与えられました。
コスモスポーツの最大の特徴のひとつ、リアバンパーを上下に挟むように配置されたテールランプは再現され、クロームメッキのアイアンバンパーは、ボディ同色の樹脂製一体型のものへと現代風にアップデートされています。
また、コスモスポーツのフロントフェンダーからリアエンドに向かって、ボディボトムライン一直線に伸びるラインと、前輪上部後方のエアインテークフィンも再現されています。
フロントマスクは、コスモスポーツと同じ風防付きの丸目2灯ヘッドライトとなり、リアと同様にクロームメッキのアイアンバンパーは、樹脂製一体型のものとなっています。また、コスモスポーツのヘッドライトのアウトラインを縁取ったクロームメッキも省略され、現代風にアレンジされています。さらに、オリジナルの左ヘッドライト脇に「Cosmo21」と筆記体で書かれたエンブレムも再現されています。
クローズドボディのクーペだったコスモスポーツに対し、ロードスターがオープンカーだったところについては、ロードスター用のハードトップを思わせる形状となっていますが、オリジナルと似た雰囲気をしっかりと演出しています。
インテリアは、NC型ロードスターの形状が残っているものの、コスモスポーツと同じ千鳥格子模様をシートにあしらって再現されています。
コスモ21のエンジンは、翌年のデビューを控えていた「RX-8」に搭載された最高出力250PSを発生する「RENESIS」2ローターエンジンが搭載されています。
当時、コスモ21は市販化の可能性があるとされ、台数限定で300万円台の価格で発売されるという話もありましたが実現せずに現在に至っています。
ちなみに、ロータリーエンジンは、厳しくなった環境性能基準への対応が難しくなり一旦幕を下ろしましたが、2023年1月にデビューしたマツダ「MX-30 ロータリーEV」の発電用エンジンでロータリーが復活しています。
ひょっとすると、ロータリーEVを搭載したコスモが現代によみがえるのかも、という淡い期待が持てます。
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みんなのコメント
この文で、やはりくるくるパーのニュースなんだと再認識しました。