国土交通省および自動車事故対策機構(NASVA)は11月29日、新型車の安全性能を評価する2018年度前期自動車アセスメント(JNCAP)の結果を発表。今年度より追加された「対歩行者被害軽減ブレーキ(夜間街灯あり)」と「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」評価試験のデモンストレーションも同日、日本自動車研究所(JARI)城里テストセンター(茨城県東茨城郡)で実施した。PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
JNCAPでは1995年度の開始以来、徐々に評価項目が追加されており、予防安全性能評価が開始された2014年度以降はこちらの項目拡充にシフトしている。今年度は「対歩行者被害軽減ブレーキ(夜間街灯あり)」と「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」、「高機能前照灯」の評価試験追加が大きな目玉といえる。
これに伴い、予防安全性能評価の満点が79点から126点に増えるとともに、合計点が86点を超えた車種に「ASV+++」の格付けを与えることとしている。
また、衝突安全性能評価も、従来の208点満点から100点満点に変更。各試験項目の配点も、人への被害軽減効果がより高いものへ多く配分するよう見直されている。
今回発表された2018年度前期JNCAPでは、予防安全性能評価10車種、衝突安全性能評価4車種の試験を実施。予防安全性能評価では、トヨタ・カローラスポーツが最高得点の122.4点をマークしたうえ、「対歩行者被害軽減ブレーキ(夜間街灯あり)」と「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」でそれぞれ満点の40点、2点を獲得した。
また、カローラスポーツのほか、スズキ・ソリオ/三菱デリカD:2、スバル、フォレスター、ホンダN-VAN、マツダ・アテンザ、三菱eKスペース/日産デイズルークス、三菱エクリプスクロスが「ASV+++」にランクインされている。
衝突安全性能評価は三菱エクリプスクロスが最高得点の89.7点をマーク。そのほかトヨタ・カムリ/ダイハツ・アルティス、スズキ・クロスビー、ホンダ・オデッセイも「衝突安全性能評価ファイブスター賞」を獲得した。
「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」評価試験のデモンストレーションは、スバル・フォレスターを用いて前進・後退とも実施。ターゲットを車両の1m手前または後ろに置き、車両が停止した状態からアクセルペダルを全開にするが、車両はわずかにゆっくり動いたのち、ターゲットへ衝突する手前で自動的に急制動し停止した。
夜間に歩行者が車道を横切る状況を想定した「対歩行者被害軽減ブレーキ(夜間街灯あり)」評価試験は、見通しの良い状況と、歩行者が対向車の陰に隠れた状態から車道を横切る状況の2パターンで、車両を30~60km/hで歩行者のダミーに接近させるが、今回のデモンストレーションは後者の状況で、車両の走行速度は40km/、歩行者ダミーの歩行速度は5km/hで実施された。
午後5時を回り、日が沈んだJARI城里テストセンターは、夜間の住宅街と同様に街灯だけが道路を照らす薄暗い状況。その中を試験車両のカローラスポーツは、対向車を想定したホンダN-BOXのヘッドライトを浴びて直進する。この際カローラスポーツのカメラでは蒸発現象が起きていると思われるが、その直後にN-BOXの後ろから歩行者ダミーが出現すると、即座にその姿を捉え自動的に急ブレーキ。歩行者の直前で完全停止した。
各デモンストレーション後には、再現性を確保するための自動操縦用機器と計測機器を満載した試験車両の内部が一部公開されるとともに、「対歩行者被害軽減ブレーキ(夜間街灯あり)」評価試験の体験乗車も実施。見通しの良いコースを30km/hで、機器類を載せず各社のテストドライバーが手動で運転する状況で行われた。
筆者が同乗したホンダN-VANは、一般的なドライバーなら高い確率で、発見が遅れるかブレーキを充分に踏めずに轢いてしまうようなタイミングで歩行者のダミーが現れても、発見するやいなや即座に自動でフルブレーキ。無事に歩行者ダミーとの衝突を回避した。
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