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【小さくても良い車!!】 軽&コンパクト 人気トールワゴン 3選の長所&短所

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【小さくても良い車!!】 軽&コンパクト 人気トールワゴン 3選の長所&短所

 最近、生活のかけがえのない相棒として小さくても質のいいクルマたちが増えてきた。

 そこで今回はトール、タント、N-WGNの3台を、自動車評論家としてクルマのコストパフォーマンスを厳しく評価する渡辺陽一郎氏が試乗。それぞれの「いいところ」「ダメなところ」そして「なぜ人気なのか」を徹底チェック&評価してもらった!

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●【画像ギャラリー】 もはや「新御三家」!? N-WGN、トール、タントの姿をギャラリーでチェック!

※試乗日は9月27日です
チェック&評価する人:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年11月10日号

■ホンダ N-WGN

●ニーズを研究し尽くして開発した渾身の2代目。カタチにもこだわりあり

ホンダ N-WGN。なお試乗車(写真)は標準モデル

■主要諸元:全長3395×全幅1475×全高1675mm。直3DOHC、658cc、58ps/6.6kgm。WLTCモード燃費23.2km/L
■価格:129万8000~182万7100円


●N-WGNの〇なところ
・自転車の検知と全車速追従が可能なホンダセンシング
・サイドや後方の視界も優れた水平基調のボディスタイル
・後席の下側に装着された傘などが収まる大きなトレイ

サイド側や後方の視界に優れた水平基調のボディスタイル。大きなポイントだ

●N-WGNの×なところ
・座面が少し短い前席
・後席の前後スライドは左右一体でシートアレンジが単純


大柄な人が座ると短く感じる前席シートの長さ。残念だ…

●意外にも走りに余裕があり!

 全高が1600~1700mmに収まる軽自動車。プラットフォームはN-BOXと共通で、入念に作り込んだから、乗り心地に粗さがなく上質な小型車に乗っているような感覚だ。

 足回りの動きが柔軟だから、カーブではボディが相応に傾くが、挙動の変化が穏やかに進んで不安を感じにくい。

 試乗車のエンジンはNAだが、重いN-BOXを意識して開発されたこともあり、実用回転域の駆動力が高く走りに余裕がある。また視界は後方を含めて良好だ。ボンネットが少し見えるために、ボディの先端位置もわかりやすい。

 後席の足元空間はN-BOX並みに広く、居住性も軽自動車の最高峰。後席の下には傘などが収まるワイドなトレイが備わり、荷室は上下2段使える工夫を施している。

 一般的な使い方ならN-BOXでなくともN-WGNで充分。“よくできた”小さいクルマだ。

■ダイハツ トール

●3兄弟合わせて大ヒットモデル。みんなが望んだハイトカー!

ダイハツ トール

■主要諸元:全長3725×全幅1670×全高1735mm。直3DOHC、996cc、98ps/14.3kgm。JC08モード燃費21.8km/L
■価格(トール):149万500~204万6000円

●トールの〇なところ
・後席を畳み、床のシートを反転させると汚れ防止にもなる
・短いボディと優れた小回り性能により車庫入れも簡単
・全長が短いのに後席の足元空間はタップリ広い

トールのリアスタイル。“プチ・アルファード”といってもいい佇まいがある

●トールの×なところ
・車両重量のわりにエンジンの性能が乏しくノイズも耳障り
・走行安定性と乗り心地は軽自動車のタントよりも悪い


乗り心地が悪く、ロードノイズが耳障り。残念!

●取り回しがいい超実用車

 トールは全高が1700mmを超える背の高いコンパクトカー。トヨタのタンク/ルーミーの登録台数も加えると、1カ月平均で1万6000台以上を販売し、プリウスやノートを上回る相当な人気車だ。

 登録台数はタンク/ルーミーが多いが、今回の取材では開発と製造を行うダイハツブランドのトールを試乗してみた。

 トールはダイハツが持っている軽自動車のノウハウを投入して開発された。空間効率が優れ、全長は3700mm(カスタムは3725mm)と短いが、車内は広い。

 後席の足元空間にも余裕があり、後席を畳むと自転車も積める広い荷室になる。

 後席を畳んだ状態で床のシートを反転させると、汚れ防止の加工が施されているので自転車などを運んだ後、簡単に清掃できる。

 ボディがコンパクトだから、最小回転半径は4.6~4.7mに収まる。スタイルは水平基調だから、ボディの四隅もわかりやすい。

 サイドウィンドウの下端が低めだから、視界も前後左右ともに良好だ。運転のしやすさと優れた実用性を両立させたことが大ヒットの要因だろう。

 しかし動力性能、走行安定性、乗り心地、後席の座り心地には不満があり、今後改善すべき。その暁にはさらに優れたコンパクトカーになる。

■ダイハツ タント

●8月の軽販売“ほぼ1位”。新開発DNGAプラットフォームがキモ!

ダイハツ タント

■主要諸元:全長3395×全幅1475×全高1755mm。直3DOHC、658cc、64ps/10.2kgm。WLTCモード燃費20.0km/L
■価格:124万3000~190万8500円

●タントの〇なところ
・プラットフォームの刷新で高重心のわりに安定性がいい
・左側のドアを前後ともに開くと開口幅が大きく広がる
・運転席を後方にスライドさせると車内の移動も簡単!

タントのリアスタイル。今回の取材車はカスタムでシャープな雰囲気もある

●タントの×なところ
・路上の大きなデコボコでは大きめの突き上げ感が発生
・チルトステアリングなどは現行型ではオプション設定


チルトステアリングはオプションに変更。なぜ?

●目玉はロングスライドシート!

 タントはスーパーハイトワゴン軽自動車の先駆的な存在。2003年に初代タントが発売されて人気車になり、ライバルが追随した。

 背の高い軽自動車だから車内が広く、後席を畳めば自転車も積める。そのうえでタントは、左側のピラーをスライドドアに内蔵したから、前後のドアを開くと開口幅が1490mmに達する。

 ベビーカーを持って車内に入ることも可能。これが最大の武器。

運転席が最大540mmもスライド。乗降がホントにラク

 助手席を前方に寄せると左後席の足元空間が大幅に広がり、子供をチャイルドシートに座らせる作業もしやすい。

 現行型の大きな魅力は運転席のスライド量を拡大したこと。後席へかなり近づけるから、後席の乳児などの対応もすぐにでき、乗る際、運転席へ移動しやすくなる。

 ワイドに開く左側の開口部と、運転席のロングスライドシートにより、車内の移動と過ごし方がかなり快適になったわけだ。

●座り&乗り心地を向上

 先代型の欠点潰しも現行型の特徴。先代の座面の柔軟性が乏しい後席を見直し、新型は座り心地を向上させた。

 走行性能では、先代型は操舵に対する反応が鈍く、峠道ではカーブで曲がりにくかった。そこで現行型はプラットフォームを刷新して、高重心のボディでも自然に曲がれる。

 装備では緊急自動ブレーキ、サイド&カーテンエアバッグ、フルLEDヘッドランプが全車に標準装着され、充実度を高めた。

 ただしかぎられた価格でこれらの装備を優先して装着したから、チルトステアリングと運転席の上下調節機能は、従来の標準装着からオプションに変更された。

 ライバル競争が激しいカテゴリーだけに人気の装備を割安に標準装着しないと販売合戦で負ける。装備と価格のバランス面でやや苦労している感がある。

■総括! 3モデルヒットのワケはココだ

 今の若い世代は見栄や贅沢への欲求が高くない。背伸びせず自然体で生きることを好む。このスタイルがかつて贅沢を求めた中高年齢層にも広がってきたと思う。「出来のいいものがあれば、それで充分じゃないか」と。

 クルマでも「背伸びしなくていい」という、そのニーズをうまくとらえた上質な「小さなクルマ」が増加中。ユーザーが小さなクルマに関心を集めるワケだ。

 その代表が今回登場の3車種だ。全車に共通するのは、ボディサイズのわりに車内が広く、家族で使えて安全装備や燃費も優れていること。

 各車種には個性的な特徴もあり、N-WGNはNAエンジンでも動力性能に余裕を感じる。

 先代からさらに使い勝手の工夫に磨きをかけており、ボードにより二重ラックになる荷室がその代表格だ。また緊急自動ブレーキは、自転車や夜間の歩行者も検知できる。

 タントは懐刀である左側のBピラーレス効果によるワイドな開口部と、大胆&便利なシートアレンジを取り入れ実用性が高い。

 トールは背の高い軽自動車の空間効率を、コンパクトカーで実現したモデル。これら個性的な機能の集まりが、3台の売れる要因だろう。

●【画像ギャラリー】 もはや「新御三家」!? N-WGN、トール、タントの姿をギャラリーでチェック!

【番外コラム】 まだまだあるゾ! 渡辺陽一郎オススメの「小さなクルマ」

 小さなクルマの売れ筋は家族で使える車内の広い車種だが、個性的で楽しいクルマも多い。その筆頭がジムニー。

●スズキ ジムニー(価格:148万5000~187万5500円)

 頑丈なラダーフレームと足回りに、後輪駆動をベースにした4WDシステムを搭載する。軽自動車でありながら、悪路の走破力は日本で買えるSUVのなかで最も優秀だ

●ホンダ N-BOX(価格:141万1300~211万8600円)

 車内は広く内装も上質。シートの座り心地にボリューム感があり、静粛性も優れている。運転支援機能も備わり、最も快適な軽自動車に仕上げた。販売台数も1位だ

 悪路走破力は抜群に高い。小さなボディは狭く曲がりくねった峠道に最適だから、悪路走破性能を競えば、大柄な高級SUVもジムニーに勝てない。

 走りの優れた車種ならマツダ2がある。低重心のボディは安定性が高く、ディーゼルは実用回転域の駆動力が強い。内装は上質で、緊急自動ブレーキや運転支援機能も充実している。

●マツダ マツダ2(価格:157万3000~266万7500円)

 比較的背が高く、車内も広い上で挙げた3台に比べ、マツダ2は後席と荷室が狭い。その代わり前席は快適で気持ちいい走行を楽しめる。ディーゼル車があるのも◎だ

●日産 ノートe-POWER(価格:193万7100~268万9500円)

視界の優れたボディによって運転しやすく、空間効率も高いために後席の居住性も快適だ。e-POWERは加速が滑らかで、ワンペダル運転も味わえる。静かで上質な走りだ

 上記で並べた4台のほか、軽自動車では本格スポーツカーのS660もあり、小さなクルマの魅力は無限の広がりを見せている。

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