オフロードを全開で駆け抜けるなんてことは実車ではなかなかできないが、ラジコンならそんな夢も実現可能だ。
今回は、2020年12月19日に発売された、タミヤの90年代オフロードバギー「バンキッシュ」の復刻・改良版となる「VQS」をご紹介しよう。
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「アバンテ、イグレス、バンキッシュ」この3つの言葉を聞いて「ピクッ」と反応する方は、70年代もしくは80年代生まれのお兄様方だろう(筆者もその世代ドンピシャだ)。
アバンテとイグレスは既に、2011年、2013年に復刻されていたが、バンキッシュだけは再販がなされておらず、「もしや、復刻はないのでは?」とも言われていた。
「VQS」と名前は変わったが、そのメカニズムやスタイリッシュなデザインは当時のまま(ボディサイドのロゴはVQSに変更)、ファン待望のバギーがまた一台復刻することとなった。
ステイホームに最適なラジコンキット、バンキッシュの復刻版「VQS」を紹介しつつ、「いま復刻版RCカーが人気な理由」について、迫りたい。
文/吉川賢一、写真/タミヤ
【画像ギャラリー】ファン待望!!タミヤ復刻シリーズの新作バギー、バンキッシュ2020を写真でチェック!!
■ファン待望の90年代バギー、「バンキッシュ」が復活した!!
1988年3月に登場したアバンテはFRP製ダブルデッキ構造、ダイヤフラム式オイルダンパー、4輪ダブルウィッシュボーンサス、絞りこんだノーズが特徴的だった(写真は2011年の復刻改良版)
今から30年ほど前、クルマ好きの子供や大人がハマった趣味の一つが「RC(ラジオコントロール)カー」だ。
かつてRCカーと言えば、オフロードを走るバギーが主流であり、タミヤからは、毎月のように新作のオフロードバギーが登場していた。なかでも、タミヤを代表する一台が「アバンテ(1988年3月登場)」だ。
FRP製ダブルデッキ構造、ダイヤフラム式オイルダンパー、4輪ダブルウィッシュボーンサスなどの凝ったメカや、オフロードカーとは思えないほどに絞り込まれたフロントノーズなど、アバンテは、いまでも評価が高い。「美しい」という言葉が当てはまるRCカーは、後にも先にもこの一台だけだと、筆者は思う。
だが、当時の定価は34,800円と、ちょっと高額(しかも、送信機やサーボ、スピードコントローラー、バッテリーなどは別売)。そのため、タミヤが、ファンの期待に応えるべく、アバンテ登場から9カ月後の1988年12月、「アバンテの廉価版」として登場させたのが、オリジナル「バンキッシュ」だ。
フォーワードコクピットのシャープなボディと大型リヤウイングは、復刻・改良盤VQSではブラックで塗装済だ
FRP製ダブルデッキをABS樹脂製モノコックフレームへ、金属パーツをプラスチック等に置き換えてコストダウンしたことで、アバンテより1万円も価格を下げながらも、アバンテで浮き彫りになった直進安定性不足の改良として、ホイールベースを15ミリ延長するなど、フィードバックも織り込まれている。
軽量で強度が高く、RCメカの保護や整備性にも優れた樹脂製モノコックフレームを採用している アバンテよりもホイールベースが15ミリも長い
フォーワードコクピットのシャープなボディと大型リヤウイング(復刻盤のVQSではブラックで塗装済)、アバンテ譲りのシャフトドライブ4WDの駆動系、さらにはセンターにボールデフを装備した3デフ構成、フレームには軽量強固なABS樹脂製モノコックを採用。
この辺りは、改良・復刻版の「VQS」にもそのまま採用されている。
アルミ削り出しのアップライト(金色のパーツ)は復刻・改良モデルの特徴。オリジナルモデルはスチール製で耐久性が低かったため、2011年の復刻アバンテのタイミングで新設された
さらに、スムーズなパワー伝達と、脱落の心配がないユニバーサルドライブシャフトを前後に採用、フロントアップライトはゴールドのアルミ削り出しパーツ、スタビライザーも前後に装着するなど、耐久性、信頼性は折り紙付きだ。
リヤサスペンションは、ロワアームをボールマウントした実車のセミトレーリングアーム形式に近い なおアッパーアームの長さを調節すれば、キャンバー角の調整も可能
2021年に再びバンキッシュ(VQS)を手にする機会がくるなんて、何ともノスタルジックで感動的だ。現代のレーシングバギーに比べれば、マシンは重たく、空力性能も弱く、走りのポテンシャルは低いことは否定できないが、そうしたことを含めて、愛らしく感じられる。
憧れのマシンを手にいれ、楽しみながらじっくりと作り、そして自由に走らせる、ただそれだけでも「VQS」を買う価値は、十分にあるだろう。
■「ステイホーム」で人気に火が付いた
タミヤの公式YouTubeチャンネルで行われているLive配信。プロドライバー・前住氏と若手・砂原氏による掛け合いも面白く、ためになる情報が多い
ホーネット、グラスホッパー、ホットショット、そしてアバンテ、イグレスなど、オフロードの走りが楽しいバギーカーや、ブラックフット、ブルヘッド、モンスタービートルなどのビッグタイヤマシンまで、魅力あふれるフォルムそのままに、当時人気があったタミヤのRCカーの多くが復刻再発売を果たしている。
コロナ禍の影響で、自宅にいても時間を持て余す方を中心に、いまRCカーやミニ四駆、プラモデルが再び注目され始めているのだ。
商品のターゲットは、当時RCカーを走らせていたユーザーや、RCカーに憧れていた当時の子供達だろう。筆者もその一人だ。当時の子供は大人になり、今度は、自分の子供が、当時の子供と重なることになる。走行させて楽しいことは当然だが、懐かしさを味わいながら作る楽しみも、RCカーのひとつの魅力だ。
タミヤのYouTubeチャンネルでは、RCカーの新商品の紹介や、タミヤサーキットでのイベントリポート、タミヤグランプリの攻略方法など、定期的にLive放送がなされている(土日メイン)。新型車開発のウラ話も聞くことができるかも知れない。タミヤファンでなくとも要チェックだ。
タミヤ公式YouTubeチャンネル(リンク先)
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