ひと頃のキャンプブームも一段落した昨今だが、外遊びに適したSUVの人気は留まるところを知らない。ガソリンやディーゼル、あるいはハイブリッドやモーターによる純電気駆動など、動力源が何であってもたくましさや万能性を感じるSUVがもてはやされ続けている。そんな〝ヨンク〟の代名詞たる存在は、なんといってもジープ・ラングラーだろう。四角い箱を組み合わせたような無骨なスタイルに、丸型のヘッドライトとそれに挟まれて配置されるグリルの特徴的なフェイスは、源流である1941年登場のウィリスの時代から変わっていないようにも見える。
6年ぶりの新モデル、どこが進化した?
今後の自動車市場、主導権を握るのはEVか?それともPHEVか?
無骨さは唯一無二のラングラーのスタイル。
もっとも、それは単純に一瞥しただけの印象であって、実際の最新型ジープはデザイン面、機能面でも、細部に至るまで練りに練られた仕立てとなっている。
先頃発表された新型「ジープ・ラングラー」は通称JL型と呼ばれるモデルで、ラングラーの系譜でいえば4代目にあたるもの。JL型は2018年に登場しているから、今回の2024年モデルは6年ぶりに化粧直しが行われたというわけである。その進化を見ていこう。
まずフェイス部分は伝統のセブンスロットグリルの意匠が変更になった。具体的にはグリルの天地方向がわずかに狭まり、開口部周辺のフィニッシュがグレードによって変えられるなどして凝縮感が強調された。
グリルの意匠変更とともにフロントガラスも機能面が進化している。
加えてフロントガラスがスマートフォンなどにも採用されている強化タイプの〝コーニング ゴリラガラス〟に変更されたのもトピック。マストアンテナが廃止されてフロントウィンドシールドに内蔵されたことも含め、オフロードなどでの飛び石や木などへの引っ掛かり防止に役立つ備えが充実した。これらは決してひと目みてすぐにわかるような変更ではないが、いずれも悪路走破に主眼を置くジープのアイデンティティを守るには重要なポイントである。
ホイールデザインも変更されている。
インテリアではセンターコンソールの一等地にワイドタイプの12.3インチ・タッチスクリーン・ディスプレイが配置されたのが目を引く。プロセッサーも一新され処理能力は大幅に改善。アイシン製のナビゲーションシステムで快適なルート案内が受けられるほか、スマホ接続派には嬉しいApple CarPlayもワイヤレス対応型となっている。
見晴らしの良いコクピット中央に大型モニターが据えられたのがトピック。
また、シートの設計を見直してフロントシートが電動化を果たし、さらにはスポーツバー部分にサイドカーテンエアバッグが備わるなど、快適・安全性の面でも大幅な進化を果たしている。
12ウェイの電動調節とランバーサポートが加わったフロントシート。
そんな装備の充実を図りながら、競争力の高い価格設定とされたところも見逃せない。改めて復活したエントリーグレード「スポーツ」は上級グレードに劣らない装備ながら799万円のプライスタグを掲げ、中間グレードに昇格した「サハラ」もこれまでの31万円減となる839万円に設定。悪路走破性に磨きをかけた「ルビコン」は889万円となるなど、装備の充実を含めてみるといずれも70万円分くらい買い得になっているという。
シルバーのグリルアクセントが施されるサハラは上質な雰囲気も漂わせる。
しかもこのローンチ記念の特別仕様車が用意されたり、特別色をまとった「アンリミテッド・ルビコン・ハイベロシティ」が5月10日から1週間という限られた期間のみ受け付けられるなどのニュースも目白押し。来る5月18日、19日はデビューフェアが行われるから、気になる向きはぜひとも近くのジープ正規ディーラーに足を運んでみることをお勧めする。
蛍光イエローのボディカラーが印象的な「アンリミテッド・ルビコン・ハイベロシティ」は10台限定の特別仕様車。
文/桐畑恒治
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