2018年11月27日、レクサス待望の小型SUV、新型UXがついに発売!
C-HRやヴェゼルなどコンパクトSUVに人気が集まるなか、全長4.4m台とレクサスのSUVで最も小型かつ価格も390万円からとレクサス車ではCT200hに次いでリーズナブルとあって、注目度はかなり高い。
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新型UXはトヨタのC-HRをベースに開発された小型SUV。レクサス史上最もリーズナブルなSUVは、どれほどの実力を持っているのか? 人気・実力ともに高い“ベース”のC-HRとどれだけ違うのかも含めて、その魅力と立ち位置を解説!
文:松田秀士
写真:編集部、TOYOTA
C-HRで「今一歩」だった乗り心地&静粛性は?
レクサス UXが日本市場でも販売開始された。実は米国市場ではすでに販売されていて、筆者自身WCOTY(ワールドカーオブザイヤー)試乗会が開催された米国・ロサンゼルスで試乗していた。この時の印象は室内の静粛性が非常に高く、なおかつ乗り心地の良い車という印象だった。
その後、日本での試乗会に参加したわけだが、乗り心地に関しては日本よりも米国の方が路面が悪いので評価には適している。また、ロードノイズも路面の表面が粗く、コンクリート舗装や継ぎ接ぎのアスファルトなど様々な路面があり、こちらも評価するには絶好の場所。
WCOTY試乗会では日本で販売されていないモデルも多数準備されていて、それらと直接比較することができ参考になる。ロードノイズに関しては、粗い路面では若干室内音の高まりを感じるが、細かいサーフェスの路面ではかえって他車ライバルと思しきモデルよりも静粛性が良かった。
まず、何故この「室内静粛性」や「乗り心地」を先に挙げたかというと、UXのベースモデルとなるC-HRはこの2点に於いてそれほど優秀ではないからだ。特に、ラゲッジルームから後部座席の走行音が気になっていた。
このあたりはレクサスブランドとして、アーバンライフにターゲットを置きながらもSUVとしての機動性を併せ持つモデルの最低限は達成している。
ただ乗り心地に関しては、開発に当たって常にLSと乗り比べて進化させたというだけあり、クラスを超えた快適性を達成している。この点は先のWCOTY試乗会で試乗した海外他モデルと比較しても明らかだった。
インテリアデザインにレクサスらしさは感じられる?
もうひとつ、インテリアデザインに注目してもらいたい。レクサスブランドらしく、視界に入る隅々まで詰め込んだ内容だ。
どういうことかというと、どこか隅の方にぽっかり穴が開いたような「ここは捨てます」みたいな諦めのエリアがない。とにかく隅々まで気を抜かずにデザインしている。そのインテリア全体が目の保養になっている。
ナビディスプレイの位置とダッシュボード周辺のデザインも、違和感なく視界に飛び込んでくる。ダッシュボード両端からボンネットに繋がる盛り上がりのデザインが、特に左フロント端への距離感をわかりやすくしている。
また、ドアミラーをAピラーマウントとせずドアマウントとし、Aピラー周りの側方視界を確保しているので交差点の右左折時も視認性が良く安全だ。
コンパクトSUVの限られたキャビンスペースのなかで、センターコンソールとアームレストの一体化は若干押しの強さを感じるが、スイッチ類の操作性もちょうど良く、デザイン性と機能性のバランスがとれていると感じる。
車体はベースのC-HRとどこが違う?
では、車全体の骨格の話をしよう。ベースとなるC-HRはトヨタのニュープラットフォーム「TNGA」を使用するが、レクサスではこれを基にさらに進化させた「GA-Cプラットフォーム」を採用している。
具体的には車体剛性のアップを狙ったレーザースクリューウェルディングを10.8m、構造用接着剤を22.6mと合計33.4mの追加補強と、リヤハッチ開口部周辺のリングストラクチャーを追加してねじり剛性を強化している。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤはダブルウイッシュボーン式で、前述したようにコンフォートな乗り心地だ。
そのフィーリングを突っ込んで説明すると、荒れた凸凹路面からタイヤへの入力に対して滑らかにサスペンションが動いて処理している。
ただ、柔らかいだけでは初期入力はいなせたとしても、そのあとの余韻を処理できずハンドリングそのものも不安定になる。ほんの初期の減衰をしっかりと立ち上がらせて、その後をスムーズに処理できるダンパー性能が求められるのだ。そして、この動きを支える強いプラットフォームが求められる。
このあたりをUXはしっかり達成している。米国で感じた乗り心地とハンドリングのバランスは、路面状況がさらに良い日本ではより確かのものだ。
また、軽量化も見逃せない。てこの原理で車体中心より離れた位置にあるボンネット、フロントフェンダー、前後ドア、リヤハッチ枠をアルミニウム製としている。かかととヒップの高さ差が275mmとSUVでありながらちょっとしたスポーツカーのような低いドラポジを感じさせる。
実際にはSUVゆえにアイポイントはそれなりに高いのだが、なんとなくスポーツカーに乗っているかのようなクーペライクなドラポジだ。
ハンドリングにもボディ剛性の高さが寄与
もう一度ハンドリングをまとめよう。ステアリングを切り始めた初期はスッとロールを感じ、ロールが深まると共に腰のあるグリップ感がしっかりと立ち上がる。
切り始め初期の応答は早く、そのヨー方向(横方向)への動きを初期ロールで吸収させ、過敏な動きを抑制している。ボディ剛性があるからこの動きを具現できる。
また、UXはフロントヘビーなFFベースモデルだが、フロント前端に横置き配置されるエンジン+トランスミッションのマウント剛性もしっかりしていることが想像できるのだ。高速道路を含む一般走行での気持ち良さと快適性はかなり高い。
また、安全面では最新の車線内中央維持支援機能「LTA」を採用したレクサス・セーフティーシステム+を装備。自転車や夜間の歩行者にも対応する緊急自動ブレーキを採用している。前方、側方、後方をモニターに映し出すパノラミックビューモニターは背の高いSUVの死角をフォローしている。
パワートレーンは2種! C-HRプラス150万円超の価値はある?
最後にパワートレーンだが、用意されるエンジンは2種類。直4自然吸気2L直噴エンジンと、2L直噴+ポート噴射エンジンと組み合わせた新開発のハイブリッドシステムだ。
どちらも熱効率40%以上を達成している高効率なパワーソースだが、ハイブリッドシステムの加速感はスーパーチャージャーとターボを組み合わせているかのような加速感があり、全く不足を感じない。
また、もう一つの2LエンジンのCVTには、1速ギアが追加された新システムが採用されていて、こちらも発進加速がCVT特有の滑り感がなくダイレクトで気持ちの良い加速だ。多人数乗車でも問題ないだろう。
この1速ギアをプラスしたシステムによって、CVTのプーリー径をコンパクト化でき、軽量化を達成している。また、車は発進時に大きなエネルギーを消費するが、この時CVTでは油圧ポンプ圧を上げてプーリーへの圧力を強くする必要があり、それが燃費への足かせとなっていたが、このシステムでは発進をギアで行うので加速と燃費の両面で良くなっている。
最後にヒットモデルであるC-HRと比較してみよう。これだけの高級感ゆえ価格はそれなりに見なくてはならないが、両車を比較試乗すれば間違いなくレクサス UXが欲しくなるだろう。
個人的にはオーディオの充実度がかなり気に入っている。米国試乗で感じたことと同じ感動が日本でもあった。
■レクサス UX250h
全長×全幅×全高:4495×1840×1540mm
ホイールベース:2640mm
パワーユニット:2L直4DOHCエンジン+モーター
最高出力:146ps/6000rpm
最大トルク:19.2kgm/4400rpm
システム出力:184ps
JC08モード燃費:27.0km/L(FF車)
価格:425万円(FF車)
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