■トヨタ「プリウス」は危険なクルマなのか?
最近は、トヨタ「プリウス」が関係した交通事故が多いです。痛ましい交通事故の加害車両を見ると、確かにプリウスになっていることがあり、そのためにプリウスの安全性が疑われるのでしょう。
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SNS上でもプリウスの事故原因を追及するような投稿が見受けられますが、なぜプリウスは危険といわれるのでしょうか。
プリウスを疑いの視線で見ると、ほかの車種とは違う操作上の特徴として、シフトレバーが挙げられます。インパネに装着された小さなレバーですが、常に中立の位置にあるため、どこのレンジに入っているのか分かりにくいです。
同じトヨタのハイブリッド車の「アクア」は、前後方向にジグザグに動かす一般的なシフトレバーを前席中央の床に装着しています。これに比べると、プリウスのシフトレバーは使い勝手が分かりにくく、誤操作を招きそうな印象も受けます。
ただしこのシフトレバーは、最近になって採用を開始したわけではなく、2003年に発売された2代目プリウスから装着されています。また日産「ノートe-POWER」や「リーフ」には、丸い形状のシフトレバーが装着され、これもレバーは常に中立の位置そのままです。
クルマのデザインにはさまざまな可能性があるため、否定的な見方をするときは慎重になる必要がありますが、基本的な運転操作に違和感が生じるのは好ましくないです。
プリウスやノートe-POWERなどのシフトレバーは、今後検討が必要な機能ではあるでしょう。それでもプリウスの交通事故原因に直結するものではないと考えられます。
では、プリウスが交通事故の加害車両として目立つのは、どのような理由があるのでしょうか。
2009年から2015年に販売された3代目プリウスは、登録台数が多いです。約6年間に日本国内だけで112万台を登録しました。4代目にフルモデルチェンジされる直前まで含めて、1か月平均で1万6000台を販売しており、現行の4代目プリウス、アクアや2018年に小型/普通車の国内販売1位とされるノートと比べても圧倒的に多い台数です。発売直後には1か月に国内だけで約3万台を登録していました。
好調に売れた背景には、3代目プリウスが動力性能や燃費を大幅に向上させ、なおかつ、当時のライバルとされたホンダ「インサイト」に対抗する目的もあって、価格を割安に抑えたことがあります。
また、販売系列も新たにトヨタカローラ店とネッツトヨタ店を加えて全国の約4900店舗で扱われるようになり、売れ行きを急増させました。
プリウスを初代モデルから扱ってきたトヨタ店によると「3代目プリウスは物凄い人気でした。発売直後には、納期が最長で約10か月まで伸びています。工場はフル生産でしたが、それでも追い付かない状態でした。お客様も幅広く、法人から高齢の方までおられました」と振り返ります。
子育て世代のユーザーには、ミニバンや背の高い軽自動車が人気です。子供が成長するとSUVに移行するユーザーも増えました。
その一方で、高齢者は購入するクルマに悩んでいます。若い頃から慣れ親しんだセダンは車種数を減らし、設計も全般的に古くなっています。
トヨタ車であれば、ミドルサイズセダンの「プレミオ」「アリオン」は2007年の発売です。以前から設計の古さが感じられ、魅力を欠いていました。「マークX」の登場も2009年で、2019年末には生産を終えることが決まっています。
そうなるとミニバンやSUVが好みに合わない高齢のユーザーが、落ち着いた雰囲気の車種を求めた場合、プリウスが有力候補として浮上します。ベストセラーカーだから安心感も高いでしょう。
先のトヨタ店によると「高齢のお客様を含めて、一度はハイブリッド車に乗ってみたいと思っている方は意外に多いです。ただし新しいメカニズムなので、不安もあります。その点でプリウスは人気車ですから、お客様の背中を押す効果が高いです。
街中で頻繁に見かけられ、親戚や知人も買われたとすれば、ご自分も購入に踏み切れます。このような波及効果もあり、3代目プリウスは、新しいメカニズムが苦手だと感じているお客様にも買っていただきました」とコメントしています。
■暴走事故を食い止める対応策とは?
高齢のドライバーが加害者になった事故を含めて、プリウスが多く関係しているのは、大量に売られる車種で高齢ドライバーの比率も高いからでしょう。
プリウスの事故率は、損害保険料率算出機構による型式別料率クラスからも判断できます。
型式別料率クラスとは、保険料を決めるための参考データで、保険を使った過去の事故事例から各車種が事故の加害者になる危険度を判定しています。
対人賠償、対物賠償、搭乗者傷害、車両という項目に分かれ、それぞれ9段階で示されます。数字が増えるほど、各項目の事故を発生させる危険性も高いと判断されます。
この評価では、プリウスはほとんどの項目が「5」となり、事故発生のリスクが低いとはいえませんが、危険度の高い評価ではありません。プリウスが事故の加害車両として目立つのは、やはり保有台数が多く、高齢ドライバー比率が高いためです。
問題は、頻発する暴走事故を防ぐ今後の対策でしょう。緊急課題なので、考えられる複数の対策を迅速に講じる必要があります。その内容は以下の通りです。
■衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)を装着したクルマのさらなる普及
65歳以上の高齢ドライバーが、緊急自動ブレーキの充実した車種を購入するときは、補助金の交付も考えて良いでしょう。プラグインハイブリッド車やクリーンディーゼルの補助金は終了させ、安全装備を優先して補助すべきです。
■後付けのペダル踏み間違い加速抑制機能の普及
トヨタやダイハツは、後付けできるペダル踏み間違い加速抑制機能を販売しています。停車、あるいは車庫入れなどのために徐行しているとき、障害物があるのにアクセルペダルを素早く深く踏み込むと、エンジンの出力を絞って急発進事故を防ぎます。
価格は3万円から6万円ですが、これも高齢ドライバーを対象に補助金を交付すると良いです。高齢ドライバーの多い車種を中心に、なるべく多くのクルマに装着できるようにします。
■ペダル配置の見直し
今に始まったことではありませんが、車内の広さを重視する前輪駆動車の場合、ペダルと右側前輪の間隔が近づきます。車内を広く使うため、運転席を前寄りに設置した結果ですが、この設計では前輪の収まる部分を避けてペダルが左寄りに配置されやすいです。
そうなると運転席に座って自然に足を伸ばし、本来はブレーキペダルが位置するところに、アクセルペダルが配置される場合があります。アクセル/ブレーキペダルをしっかりと右側に寄せる車両開発も、ペダル踏み間違いの事故防止に役立ちます。
■MT(マニュアルトランスミッション)車の推奨
MT車では、アクセル/クラッチペダルをデリケートに連係させて操作しないと、発進や変速ができません。アクセルペダルを踏むだけで単純に発進するAT車に比べると操作が複雑です。ペダルを踏み間違えたら発進できないので、急発進事故も必然的に防げます。
また、クラッチを踏むことで駆動力をカットできることをドライバーが体で覚えているため、仮に走行中にアクセルペダルが戻らないといった問題が発生した時でも、即座にクラッチペダルを踏んで暴走を防げます。
今は緊急事態なので、MT車を推奨することも、急発進事故を防ぐ対策に含めて良いでしょう。考えられることは、すべてチャレンジすべきです。
多くの人達が、いろいろなアイデアを出し合って、不幸な事故を減らしたいものです。
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