2021年8月に大幅改良を行ったスバル フォレスター。今回は2タイプの異なるエンジンを搭載したモデルを東京から連れ出して、神戸&六甲を往復するロングランドライブを敢行。その進化をチェックしてみた。(Motor Magazine 2022年2月号より)
悪天候の高速道路で見せた安心感ある走りが好印象
ポートアイランドでひんやりした空気の中、1日を振り返りながら晴れ晴れとした気分で夕闇に包まれるフォレスターを眺めていた。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
この日は空が明るくなるにはまだほど遠い早朝に東京を出発。つまり視界は暗く、さらに強い雨がフロントウインドウに打ち付ける状況だった。西へ向かううちに天候は回復するとわかっていても、テンションも気圧もなかなかの低さであったことは否めない。
こんな日にロングドライブに出かける相棒がスバルのAWDを備えたフォレスターで良かったと心から思い、全面的に頼りながら暗闇の東名~新東名を走った。着座位置の高い運転席、スバルがこだわる0次安全=ガラスエリアの広い視界の良好さは暗いからと言って無関係ではない。こんな天気ならむしろ窓は大きい方が安心だ。
今回は新モデルの1.8LL直噴ターボを搭載する「スポーツ」とe-BOXERを搭載する「アドバンス」の2台で神戸に向かった。私はまずスポーツと走ったのだが、三重県を過ぎるあたりまでの暴風は人生で5本の指に入るほど、ひどいコンディションだった。背の高い車体にバシバシと強風が当たるたびにドライバーは身構えるも、足もとはフラつかない。往路はこのような悪天候下での時間超のロングドライブだったが、安定感ある走りによって疲労度が軽減されたのは間違いないと、一日を振り返ったのが冒頭のくだりだ。
両車の高速直進安定性は互角。ただ車重差はあり、乗り比べるとe-BOXERのアドバンスは腰下に重量感がありドッシリとしたフィーリングを持つ。しかしモーターアシストによるスマートな加速が得られ、フォレスターのスタンダートな走りに相応しい。
対するスポーツの第一印象は走りの軽快さだった。走り出しからスバル最新のプラットフォームの堅牢さを感じつつ、乗り心地には響かないフラットさが印象的。1.8L直噴ターボエンジンはレヴォーグにも搭載される新開発の次世代水平対向エンジンであり、トランスミッションも同時に新開発されている。低回転域から豊かなトルクと伸びやかな加速が「、走り」に対する好奇心をフォレスターですら抱かせてくれる。スポーティモデル好きには、新鮮に映ることは間違いない。
ところで神戸はすごい! 海も山も近く異国情緒に溢れ、歴史的建造物やノスタルジックな街並みを残す一方で、近代的な建物が建ち並ぶエリアでは洗練された都会的な雰囲気も味わえる。すぐにそびえる六甲山はドライブルートが豊富で、ダイナミックな四季折々の風景はもちろん、眼下に広がる神戸の景色は昼も夜も楽しめる。
ランチどきに到着した神戸の中華街「南京町」では、神戸っ子の友人に「イカ天を食べて!」と勧められた広東料理店へ。路地裏のパーキングを探す際、フォレスターのボンネット左右の稜線が狭い路地での車両感覚が掴みやすく取り回しに役立つことに気付く。
その後、初めて北野異人館街を訪れた。函館、長崎、横浜に次いで1868年に神戸港が開港された際に、外国人居留地として彼らが生活していた街並みを数多く残すエリアだ。急な坂道をスポーツでのんびり上がった。1.8Lターボエンジンはちょっと踏み込むアクセルペダルにもスマートな反応で、扱いやすさも確認できた。
六甲のワインディング路でスポーツが軽快な走りを披露
翌日は朝から六甲山を目指した。山頂に向かうルートはいくつあるのだろう。表六甲に裏六甲、東六甲に西六甲、サンセットドライブウェイにサンライズドライブウェイもあるらしい。私たちは小部峠から西六甲ドライブウェイをフォローし山頂の展望台を目指し、そのまま裏六甲も走ってみた。
ここでもスポーツの走りに注目したい。西六甲ドライブウェイは林間ルートだったこともあり、木漏れ日の中運転席からの眺めもよく美しいワインディングドライブが楽しめた。裏六甲は上から下までの高低差がかなりあるため、ひたすら下るかひたすら上りながらのワインディング路が続く。
スポーツはそんなワインディング路でも軽快なだけでなく、隅々まで動的性能に眼を配ったとわかる質の高さがうかがえた。共に新開発の1.8LLターボエンジンとトランスミッションとの組み合わせによって、平坦~登坂路ではアクセルペダル操作で加減速のメリハリも効かせやすく扱いやすい。
新パワーユニットに合わせて専用開発されたサスペンションは、微少なストローク領域のフリクションにまでこだわったチューニングが行われ、ハンドルの切り始めからスッとフロントが反応。さらにコーナリング時も安定した姿勢が保ちやすい。そこで連続するコーナーでも、SUVであることを忘れるほど減速~コーナーリング~再加速の連携がスムーズだ。
さらに新エンジンの特性に合わせて専用チューニングされたSIドライブを「S」モードに変えてみる。すると加速時、路面の踏み込む度合いがグッと増すような感覚とともに出足も速まり、コーナーの立ち上がりの俊敏さとその感覚が気持ち良い。
e-BOXERを搭載するアドバンスはモーターアシストを活用した走りが特徴。運動性能を邪魔しないしっとりとしたコーナリング性能や加速フィールにバランスのとれたSUVらしいこなれ感を安定感とともに抱くことができる。加速力はトルクの厚みも含め十分ながら加速過程のフィーリングはマイルド。スポーツとのキャラクターの違いもわかりやすい。
ただし「S」モードに切り換えればeアクティブシフトコントロールがスポーティな走りを自動検知。コーナー進入時のエンジン回転降下を抑え、コーナーの脱出で力強い加速が可能になる。普段は燃費を意識しつつも時にはワインディング走行を楽しみたいという方には、このアダプティブ制御はちょっと嬉しいのではないか。
ツーリングアシストにより長距離の帰路も疲れ知らず
六甲山は神戸に居留する外国人たちのリゾート地として開発され、そこに建てられた「六甲山ホテル」は彼らの交流の場にもなっていたらしい。そんな建物は近代化産業遺産に認定され、後世に受け継ぐべく、昨年「六甲サイレンスリゾート」としてイタリア人建築家ミケーレ・デ・ルッキ氏の手によって再建されたのだそうだ。
豊富に木材を使用したクラシックな建物の2階の窓からは海ものぞめるレストランでランチとおすすめのアップルパイをいただいた。こちらは今後、ホテルなども建設予定で、大人たちがドライブ中にひと息つく上質な立ち寄りスポットとしておすすめだ。
帰路は宝塚のあたりで日没を迎えた。バックミラー越しに映る柔らかく黄金色に光る夕陽に励まされるような気持ちになって気分一新。そして新東名の路側灯の少ないエリアや長く続くトンネルの中では、深夜に書斎で静かな時間を過ごすようなフィーリングに気付く。
フォレスターは、ステレオカメラの広角化やソフトウェアを改良した「新世代アイサイト」を採用しているが、そのツーリングアシスト機能をセット。一定走行を静粛かつゆったりと保つ室内空間で過ごす時間も、悪くない。
この機能は、高速道路において0~120km/hの幅広い車速域でアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシスト。区画線と先行車の両方を認識することで、渋滞から高速巡航まで、さまざまなシーンで運転負荷を大幅に軽減してくれる。疲れ知らずなのは、包まれるような快適さを保つシートのおかげでもある。
願わずしてさまざまな気象状況下でドライブが体験できた今回は、フォレスターのオールウェザーで頼もしく安全なドライブを叶えてくれるところを再認識。さらにスポーツ性という新しい一面も発見できた。最新のフォレスターはパッケージングの懐サイズも頼もしい豪者(車)であり、スバルらしさを表現する走車なのである。(文:飯田裕子/写真:永元秀和/取材協力:六甲山サイレンスリゾート)
スバル フォレスター スポーツ主要諸元
●全長×全幅×全高:4640×1815×1715mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1570kg
●エンジン:対4DOHCターボ
●総排気量:1795cc
●最高出力:130kW(177ps)/5200-5600rpm
●最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
●トランスミッション:8速CVT(リニアトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・63L
●WLTCモード燃費:13.6km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):330万円
スバル フォレスター アドバンス主要諸元
●全長×全幅×全高:4640×1815×1715mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1640kg
●エンジン:対4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1995cc
●最高出力:107kW(145ps)/6000rpm
●最大トルク:188Nm/4000rpm
●トランスミッション:7速CVT(リニアトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・48L
●WLTCモード燃費:14.0km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):317万9000円
[ アルバム : スバル フォレスター1200kmロングドライブ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
スバルからセコい公式ユウチューブの仕事もらって、インプレッサ絶賛試乗する体の小芝居した上、
まだ懲りずに、こっちでも、またスバルのヨイショしてんのかよw。スベルw。
昔買ったアウトバック、400万円ほどしたと思うんだけど
オプションつけると同じくらいになるのかな
街で見かけるサイズ感から、450〜500万円ほどするのかと想像してたよ
嫁用にスライドドア出してくれんかなあ