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能力を引き出す最高のレシピ ACシュニッツァー ACS2 40iへ試乗 逸品のスポーツサス

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能力を引き出す最高のレシピ ACシュニッツァー ACS2 40iへ試乗 逸品のスポーツサス

M240iをシリアスなドライバーズカーへ

新しいBMW M240iは優秀なスポーツクーペだ。しかし、グランドツアラー寄りの設定にあることは間違いない。四輪駆動と8速ATが組み合わさり、1700kg近い車重を持つのだから、自ずとクルマのキャラクターは決まってくる。

【画像】能力を引き出す最高のレシピ ACシュニッツァー ACS2 手掛けたACS1からスープラまで 全118枚

コンパクトな2シリーズで、シリアスなドライバーズカーを求めるなら、新しいM2という選択肢がある。460psの最高出力を備え、マニュアル・トランスミッションも選べる。ただし、英国では6万1495ポンド(約990万円)の価格が与えられている。

とはいえ、必ずしもそこまでの大金を準備する必要はない。ドイツのチューニングガレージ、ACシュニッツァーが手掛けた特別なM240iの準備が整った。

第一印象は、見た目重視に思えるかもしれない。標準のM240iが履くタイヤは19インチで扁平率が40だが、こちらは20インチで扁平率が30しかない。

サスペンションには、20mm車高が落ちるスプリングが組まれている。乗り心地などに悪影響が及ぶのではないかと、想像するだろう。確かにペタンコだが、英国の一般道でもしっかり機能するようだ。

ACS2 40iという名が与えられた2シリーズ・クーペは、M2とは異なる選択肢として高次元で仕上げられている。日常的に乗れるドライバーズカーとして、本来秘めていた可能性が最大限に引き出されている。

逸品のスポーツサスペンション

古くからのBMWファンならご存知かと思うが、ドイツの西部、アーヘンに拠点を置くACシュニッツァーは、BMWを中心に多彩なアップグレード・キットを生み出してきた。エンジンのパワーアップも朝飯前といえる。

2シリーズのクーペでも、英国価格198ポンド(約3万円)のアルミ製ペダルから、420psと61.1kg-mへの増強メニューを含む、約2万ポンド(約332万円)のフルコンバージョン・パッケージまで、選べるアイテムは幅広い。

今回試乗したクルマは、英国の代理店が所有するデモ車両。最高出力は373psのままに抑えられていたが、それ以外のキットはほぼすべて搭載されていた。

追加できる47psの変化は想像するしかないが、最も効果的なチューニングが盛り込まれているといっていい。特に、オリジナルのスポーツサスペンションは逸品だと思う。

同社が得意とする分野といえ、アイバッハ社の特注スプリングに、専用バルブが内蔵されたビルシュタイン社のダンパーで構成される。一般道でのハイスピードなドライブと、サーキットでのハードな周回を前提とした設定だ。

ちなみに、通常のM240iにはアダプティブダンパーが組まれているが、その配線も省かれている。ACシュニッツァーは、不具合なしに無効化できる技術も有する。

独自のエグゾースト・サイレンサーは、滑らかで厚みのあるサウンドを実現。ガソリン微粒子フィルターは保持され、車検も問題ない。M2風のマフラーカッターが勇ましい。

姿勢変化が制御され、正確性が向上

フロントには、樹脂製のチンスポイラーがぶら下がる。トランクリッドに載せるスポイラーも開発中だが、試乗車はノーマルのままだった。インテリアの専用のトリムも設定されている。

1番目につくのは、20インチの大きくアグレッシブなホイールだろう。フロント側は、タイヤサイズもワイドになっている。リアの幅は、通常と変わらない。

鋳造より軽く鍛造より安い、フローフォーミング製法で作られており、重量は標準のアイテムより4本合計で10kg削減している。バネ下重量が操縦性や快適性に大きな影響を与えることは、ご存知のとおりだ。

ホイールとタイヤのセットで、英国価格は4750ポンド(約77万円)。スポーツサスペンションは、2150ポンド(約35万円)。つまりこの2点、7000ポンド(約112万円)ほどあれば、M240iの走りを見違えさせることができる。

その成果は、発進させてすぐに理解できた。ステアリングホイールを握った数分後には、1日中運転したいと感じていた。

明らかに身のこなしが軽い一方で、標準モデルと同じくらい乗りやすい。交差点をゆっくり加速するような場面でも、姿勢変化が制御され、正確性が高められていることが伝わってくる。慣性が減り、シャシー全体のフィードバックが増えている。

独自のステアリングホイールも、選ぶ価値がある。肉厚ながら剛性感が高く、路面からの感触をより鮮明にしている。入力に対する反応も鋭さを増すが、過敏なほどではない。

スポーツカーの能力を引き出す最高のレシピ

四輪駆動システムは、BMWの技術者が煮詰めている。ACS2 40iでは、抑制されたボディロールとダイレクトさを増したステアリングで、その能力を引き出しやすい。

コーナーへ侵入すると、よりクリアに旋回が始まる。出口に向けて、リアアクスルへパワーを確実に展開していける。

速度域が高まると、路面変化を感じ取りやすくなっていく。それでいて、強い衝撃で頭が揺さぶられるようなこともない。硬軟の絶妙なバランスだ。

サスペンション・スプリングは、強烈な負荷がかかると急激に収縮する傾向があるようだが、不満といえばその程度。これ以上の落ち着きを得るなら、調整式ダンパー付きの車高調システムを組む必要があるだろう。

ACS2 40i全体の仕上がりは、非の打ち所がないほどに高水準。舗装の傷んだ路面を処理しながら、流暢に駆け巡ることができる。車高は20mmしか違わないが、実際は120mmくらい路面へ近づいた印象だった。

確かに、ACS2 40iはハードエッジではある。快適性重視のグランドツアラーとしてBMWのコンパクトなクーペを楽しみたいなら、M240iへ手を加える必要はないだろう。

スポーツカーとしての能力を引き出したいなら、ACシュニッツァーのチューニングメニューは最高のレシピといっていい。深い充足感と、乗りやすさが両立されている。本来の魅力が解き放たれた、目からうろこの体験が待っている。

ACシュニッツァー ACS2 40i(英国仕様)のスペック

英国価格:1万9350ポンド(約311万円/フルコンバージョン・パッケージ/ベース車両は別)
全長:4537mm
全幅:1838mm
全高:1390mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:11.4-12.2km/L
CO2排出量:186-200g/km
車両重量:1680kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:373ps/5500-6500rpm
最大トルク:50.9kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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みんなのコメント

2件
  • BMWの売りはハンドリングなんだからそこを追求して二駆にすれば良いのに、なんでフルタイムでもない中途半端な四駆にしたんだろ
  • 後輪駆動のMTなら長く楽しめるのに。
    四駆設計でもないメーカーは四駆作るなよ。
    走行性能落としてパフォーマンス落としてなんちゃって四駆レベル。
    前輪のキレ角も悪いし、このサイズでなんでも満たそうなんて考えがそもそも甘い。
    趣味車としてのグレード設定なんだから尖らせろよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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