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アウディが電動マシン「RS Q e-tron」で2022年1月ダカールラリーに挑戦

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アウディが電動マシン「RS Q e-tron」で2022年1月ダカールラリーに挑戦

7月23日(現地時間)、アウディは、最初のコンセプトが発表されてから1年に満たない異例の早さでRS Q e-tronの走行テストを開始し、このモデルで、2022年1月に開催される国際的なラリーイベントである、ダカールラリーに参戦することを発表した。

アウディは、電動ドライブトレインと効率的なエネルギーコンバーターというユニークな組み合せを使用し、世界でもっとも過酷なラリーで内燃エンジン搭載モデルと競い、総合優勝を目指す世界初の自動車メーカーになりたいと考えている。

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Audi Sport GmbHマネージングディレクター 兼 Audi Motorsport責任者のユリウス シーバッハ氏は、次のように述べている。

「アウディはquattroで、世界ラリー選手権に一大革命をもたらしました。また、電動化したドライブトレインでル・マン24時間レースを制した最初のブランドとなりました。今回、アウディはダカールラリーに参戦して、新しい時代の到来を告げたいと考えています。その一方で、ダカールラリーへの参戦は、過酷な条件下で私たちのe-tronテクノロジーをテストし、さらなる開発を推進する舞台にもなるでしょう。Audi RS Q e-tronは、アウディのスローガンである“Vorsprung durch Technik”(技術による先進)に基づき、まったく白紙の状態から記録的に短い時間で製作されました」

ダカールラリーへの参戦は、アウディのエンジニアにとって、大きな挑戦となる。このイベントは2週間続き、毎日のステージの走行距離は最大800kmにも及ぶ。

Audi Sportダカールプロジェクト責任者のアンドレアス ルース氏は次のように語っている。

「ダカールラリーは、非常に長い距離で争われます。私たちがやろうとしていることは、まだ誰も挑戦したことがありません。これは、電動ドライブトレインにおける究極の挑戦といえるでしょう」

砂漠には充電ステーションはないため、アウディは革新的な充電コンセプトを選択した。RS Q e-tronは、ドイツツーリングカー選手権(DTM)で採用されている非常に効率的なTFSIエンジンを搭載。これは、走行中に高電圧バッテリーを充電するエネルギーコンバーターの一部を構成している。この内燃エンジンは、もっとも効率的な4,500~6,000rpmの範囲で作動するため、その燃料消費量はkWhあたり200グラムをはるかに下回る。

RS Q e-tronは、電気モーターで駆動するため前後アクスルには、それぞれ最新のAudi e-tron FE07 フォーミュラEマシンのモータージェネレーターユニット(MGU)が搭載されている。これは、2021年シーズンを戦うために、Audi Sportが開発したものである。このMGUは、わずかな変更を加えるだけで、ダカールラリーで使用することが可能になった。

まったく同じ設計の3番目のMGUは、エネルギーコンバーターの一部として、走行中に高電圧バッテリーを充電するために使用する。さらに、制動時にもエネルギーを回生する。バッテリー重量は約370kgで、容量は約50kWh。

Audi Sportモータースポーツプロジェクト開発担当責任者のステファン ドライヤー氏は次のようにコメントしている。

「バッテリーは、パートナー企業と共同で独自に開発しました。私たちエンジニアは、基本的にすべてのコンポーネントに開発の余地が残されていると考えています。しかし、ドライブトレインシステムに関しては、フォーミュラEですでに97%を超えるシステム効率を達成していますので、これ以上の改善の余地はありません。しかし、バッテリーとエネルギーの管理では状況がまったく異なります。これは、eモビリティの開発において、最大の可能性が秘めている分野です。極めて過酷なダカールラリープロジェクトから得られたノウハウは、将来の市販モデルへとフィードバックされます。いつものように、私たちはこのプロジェクトでも、市販モデルの開発スタッフと緊密に協力しています」

電動ドライブトレインの最大システム出力は500kW。ダカールラリーで、どの程度の出力が認められるのかは、現在主催者が最終調整を行っている。電動ドライブトレインには、数多くの利点があり、電気モーターは非常に正確に制御できるため、優れたドライバビリティを実現。さらに、制動エネルギーを回生することもできる。

RS Q e-tronには、1速の前進ギアが搭載されている。一般的な電気自動車と同様、フロントアクスルとリヤアクスルは機械的に接続されていない。そのため、アウディは、前後アクスル間のトルク配分を制御し、自由に設定可能なバーチャル センターディファレンシャルとして機能するソフトウェアを開発した。これによって、プロペラシャフトや機械的なディファレンシャルを搭載する必要がなくなり、重量とスペースを削減できるという2次的なメリットが生み出されている。

RS Q e-tronは、視覚的にも、従来の内燃エンジンを搭載したダカールプロトタイプと大きく異なっている。アウディ モータースポーツデザイン チームリーダーのフアン マヌエル ディアス氏は、次のように語っている。

「このクルマは、未来的な外観を備え、アウディならではの多くのデザインエレメントが採用されています。私たちの目的は、“Vorsprung durch Technik”および未来のアウディブランドを象徴するデザインを生み出すことです」

ダカールラリーへの参戦は、「Q Motorsport」と協力して行なわれる。チーム代表のスヴェン クヴァント氏は、次のように述べている。

「アウディは、常にレースで新しい大胆な道を選んできました。今回のクルマは、私がこれまで見た中でもっとも高度なクルマの1台だと思います。電動ドライブトレインは、多くの異なるシステムが相互に通信する必要があります。ダカールラリーでもっとも重要な信頼性に加えて、これは今後数ヶ月における私たちの最大の課題となるでしょう」

クヴァント氏は、アウディのダカールプロジェクトを、最初の月面着陸と比較して次のように続けた。

「その当時のエンジニアは、何が起こるのか、まったく予想がつきませんでした。今回も同様です。最初のダカールラリーで完走することができれば、私たちのプロジェクトは成功したと言えるでしょう」

RS Q e-tronプロトタイプは、7月初旬にノイブルクで最初の走行テストが行なわれた。今後、年末までの間に、集中的なテストプログラムとクロスカントリーラリーへの最初のテスト参戦が計画されている。

アンドレアス ルースは、次のように付け加えている。

「このプロジェクトのスケジュールは非常にタイトですが、その分やりがいがあります。プロジェクトが正式に開始されてから、まだ1年も経過していません。私たちは、代替エネルギー車に関するレギュレーションがまだ確定していない段階から開発を始めなければなりませんでした。そして、開発の途中で新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生しました。この影響を過小評価してはなりません。私たちのチームは、類まれな開発作業を達成したのです。そのため、このクルマで走行テストを開始できたことは、チーム全員にとって特別な瞬間でした」

関連情報:https://www.audi.co.jp/jp/web/ja.html

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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