平成になってから30年、多くのヒット車が誕生してきた。今や押しも押されもせぬ人気車となったホンダ N-BOX、トヨタ プリウスなども平成生まれのヒット車だ。
こうした新しい人気車誕生の裏で、徐々に販売台数を減らした人気車も多い。マークIIやサニー、ブルーバードなど爆発的に売れた車の名前が消滅したのはもちろん、カローラでさえ今や最も売れているトヨタ車ではない。
「軽自動車の雄」? だけじゃない! スズキの快進撃を知ってほしい!
現在、人気モデルが集まるのは軽、コンパクト、SUV、そしてミニバン。これらのカテゴリーでも、将来的に人気低下の懸念を抱えるヒット車は少なくない。
文:渡辺陽一郎
写真:編集部
軽の定番、ワゴンR&ムーヴも人気低下の懸念
軽自動車は、数年前と今では売れ筋のタイプが違っている。以前はワゴンRやムーヴなど、全高が1600~1700mmの車種が人気だった。
それが2010年頃からは、全高が1700mmを超えるN-BOX、スペーシア、タント、デイズルークスが販売ランキングの上位に入る。
実用的には、ワゴンRやムーヴでも車内は十分に広い。4名で乗車しても快適で、後席を畳めば広い荷室になる。N-BOXやスペーシアに比べると、全高は100mmほど低く、車両重量も100kg前後は軽いから、動力性能、安定性、燃費では有利だ。価格も10~15万円安い。
それなのに全高が1700mmを超える車種が好調に売れるのは、付加価値が多いからだ。背の高い外観には迫力が伴い、エアロパーツを備えたミニバン風の仕様も選べる。
車内は驚くほど広く、自転車も積みやすい。後席側のドアはスライド式で乗降性も良い。つまり実用性を徹底的に高め、なおかつ見栄も張れる。
特に実用性が小型車を上まわる「下克上」には、ちょっとした快感が伴うだろう。この傾向は今後も変わらず、ワゴンR、ムーヴ、N-WGN、デイズなどは、相対的に魅力が乏しく売れ行きも下げていく。
「強み」薄いヴィッツはアクアとの差別化も課題
最近は1~1.5Lエンジンを搭載するコンパクトカーの存在感が薄れた。先に挙げたN-BOXやスペーシアなど、背の高い軽自動車が人気を得ているからだ。
そうなるとボディがコンパクトで運転しやすく、燃費も優れ、価格は割安という従来の魅力だけでは売りにくい。ほかの車種とは違う特別なセールスポイントが必要になった。
販売ランキングの上位車種を見ると、ノートには独特の運転感覚を味わえるハイブリッドのe-POWERが用意される。しかも今の日産では売れ筋車種が激減したから、新車を求める需要がノートに集中している。
ノートがたくさん売れても、日産のメーカー別国内販売ランキングは5位にとどまり、要は売れる日産車が減ったこともノートが好調を保つ理由だ。この状況は今後も変わらない。
ルーミー&タンクは、走行性能は低くても車内が抜群に広く、販売網も充実して売れ行きを伸ばした。同じトヨタのアクアは、燃費性能がトップ水準で価格は求めやすく、法人やレンタカーにも積極的に売り込んでいる。
今後は、こういった強みを持たない車種が販売面で苦戦する。パッソは視界の良い小さなボディで運転がしやすく、4名で乗車しても窮屈ではない。価格は割安だが、積極的に買いたいと思わせる特徴が乏しく、今後は伸び悩む。
ヴィッツは現行型の発売が2010年だから、約8年を経過した。途中でハイブリッドを加えたが、パッソと同じく特徴が乏しい。フルモデルチェンジを行っても、ライバル車に対して明確な優位性を打ち出さないと売れ行きが低迷する。
ヴィッツは車の持ち味がアクアに似ているのも辛い。アクアはトヨタの全店が扱うから、ネッツトヨタ店の専売になるヴィッツは販売台数では太刀打ちしにくい。
フィットは燃料タンクを前席の下に搭載して、空間効率が高い。全高を立体駐車場が使える寸法に抑えたコンパクトカーの中では、車内が最も広い。居住性、積載性、取りまわし性、走行性能、燃費などをバランス良く向上させた。
しかも価格が割安だから、長年にわたり高い支持を得てきたが、最近は定番化して飽きられ始めている。フィットの今後も危うい。
人気SUV、CX-5は“ディーゼル主力”に不安も
SUVがブームといわれるが、好調に売れている車種は限られる。海外市場向けが多く、販売が低調な車種も目立つ。
売れ筋はすべて乗用車のプラットフォームを使う前輪駆動をベースにしたシティ派だ。
全長が4400mm以下のコンパクトなC-HRとヴェゼルの人気が高く、これにミドルサイズのエクストレイル、フォレスター、XV、CX-5が続く。ミニバンと同様、コンパクトとミドルサイズが販売の中心だ。
コンパクトな車種は価格が250万円前後で購入しやすいが、ミドルサイズは280万円以上だから、好調に売り続けるには工夫が求められる。
それでもエクストレイルは、シティ派ながらSUV特有のタフに使えるイメージを際立たせて今後も堅調に売れる。
フォレスターは水平対向エンジンと4WDが、SUVのカテゴリーに合うから同様に堅調を保つ。ハリアーも独自の位置付けを確立させた。
しかし、CX-5はクリーンディーゼルターボのイメージが人気を牽引するが、これが下火になると難しい。
少なくとも2WDの「20Sプロアクティブ」は、価格据え置きで排気量を従来の2Lから2.5Lに拡大すべきだ。
現時点でもマツダ車は、ガソリンエンジンの500ccの排気量アップを価格に反映させていない。このほか2018年11月に追加される2.5Lのガソリンターボが成功するか否かも重要だ。そうしないと売れ行きが下がる。
価格についてはCX-3、レクサスのNXやRXはいずれも割高だ。これらの車種も今後の先行きが危ぶまれる。
売れ筋ミニバンながら販売低下傾向のステップワゴン
人気のカテゴリーとされるが、過去10年ほどの間に新鮮味が薄れ、車種数はかなり減った。特に背の低いスライドドアを装着しないワゴン風のミニバンは、ジェイドだけになって販売が低迷。それ以外はすべてスライドドアを備えた背の高い車種だ。
ミニバンの市場は縮小傾向だが、ボディが小さなフリードとシエンタは、車内の広いコンパクトカーとしても機能するから今後も堅調に売れる。
難しいのはそれ以上のサイズだ。セレナ/ヴォクシー3姉妹車/ステップワゴンは、いずれも商品の特徴が似ている。
ホンダは軽自動車のN-BOXとコンパクトミニバンのフリードに力が入り、ステップワゴンは売れ行きが下降傾向にある。今後はステップワゴンも、オデッセイのように販売が低迷する可能性がある。
Lサイズミニバンには、上級セダンに代わるニーズもあり、ファミリー指向の強いミドル/コンパクトサイズとは違う法人需要をねらえる。
「大人のミニバン」になり得るが、かつて好調に売れたエスティマは設計が古く、エルグランドは3列目と荷室が狭い。オデッセイを含めて販売が低迷する。
つまり、以前の人気車が現時点ですでに不人気車になっている。唯一アルファード&ヴェルファイアに需要が集まる今の状況は、今後も変わりそうにない。
◆ ◆ ◆
以上のように各クラスとも、現時点で人気に陰りが見え始めているモデルが多く、さらに増えると国内販売の屋台骨が揺らぐ。
日本のユーザーは車を見る目が肥えているので、入念な商品開発が求められる。
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