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【古き良き英国の伝統】デイムラー・マジェスティック 英国版クラシック・ガイド 後編

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【古き良き英国の伝統】デイムラー・マジェスティック 英国版クラシック・ガイド 後編

古き良き、職人によるハンドビルド

執筆:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)

【画像】マジェスティックとマジェスティック・メジャー 絢爛豪華 晩年のディムラー・モデル 全65枚

撮影:James Mann(ジェームズ・マン)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


4.6L V8エンジンを積むマジェスティック・メジャーは、ジャガーのウイリアム・ライオンズ卿がデイムラーを買収してからの8年間、製造が続けられた。古き良き、伝統的な職人によるハンドビルドで。3.8L直6のマジェスティックは、その2年前からだ。

ボックスセクション・シャシーは、1937年のデイムラー・ニューフィフティーンからの進化版。伸縮式ダンパーとアンチロールバーを備え、1960年代でも通用する内容にはなっていた。

頻繁なメンテナンスは不可欠だが、エンジンの耐久性は高く、充分なトルクを生み出してくれる。中古のメジャー用V8エンジンも、英国なら2000ポンド(30万円)位で購入できる。

最大の弱点はスチール製のガスケット。現代的な材料で再製造されたガスケットなら、ヘッドの状態が良ければピッタリと密閉してくれる。

トランスミッションは、ボルグワーナー社製のDG250Mと呼ばれるAT。マジェスティック・メジャーのトルクを受け入れるには、少々役不足だった。

メルセデス・ベンツでも同じユニットを用いていたが、フルードクーラーを装備させている。ATの脱着費用は安くないものの、手を加える価値はある。

ジャガーが施したこまめなアップデート

マジェスティック・メジャーの場合、フロントのディスクブレーキとキャリパーは、直列6気筒のマジェスティックより大きい。ダンロップ社製の鋳鉄で、通常のフルードを使用すると腐食しがち。シリコン・フルードを用いた方が良いだろう。

デイムラーを買収したジャガーはマジェスティックの製造を続けながら、こまめにアップデートしている。ほとんどがプラスの内容だった。

ラジエターの容量を増やしたり、リア・トレッド拡大のためハブへスペーサーを追加した。エグゾーストの取り回しは、リア・アスクルの下側から上側へ再設計されてもいる。

後期型には、オルタネーターとリミテッドスリップ・デフ、パワーステアリングも標準装備されていた。同時に、一部では製造コストの削減も図られている。例えば、内装パネルのウォールナット材はグレードが落とされていた。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとインテリア

ヘッドライト周辺やフロントフェンダーの後端が錆びやすい。Aピラーは付け根部分。サイドシルにフロア、ドアの下部、リアフェンダー、荷室のフロア、ボックスセクションのシャシーも錆びるポイント。

ウッドとレザーを完全に仕立て直すなら、かなりの費用が必要。

エンジン

直列6気筒とほとんど部品を共有しないV型8気筒ヘミエンジンは、合計2044基作られている。驚くことに、多くの部品はまだ入手可能な状態にある。

ヘッドガスケットの不具合は、V8エンジンで一般的。6気筒でも珍しくはない。新しい部品で改善できる。どちらも手入れが行き届いていれば、エンジン自体の耐久性は高い。

8気筒でも6気筒でも、タイミングチェーンの振動音とベアリングの鳴きに注意。オイル漏れや激しいオイルの消費、クーラントとの混合などが見られないかも確かめたい。

トランスミッション

新車当時は、ボルグワーナー社製の3速ATが唯一の選択肢だった。V8エンジンの場合、フルードクーラーの追加がオススメ。

滑らかな変速と、効果的なキックダウンが正常な動作。フルードに透明度があるかも確かめたい。

ステアリングとサスペンション、ブレーキ

鋳鉄製のブレーキキャリパーは腐食しやすく、固着しがち。シリコン・フルードに交換したい。

車重が重いこともあり、頻繁な手入れは不可欠。パワーステアリングからのフルード漏れや、ジョイント類やブレーキの摩耗、タイヤの残り溝なども確認ポイント。

デイムラー・マジェスティックのまとめ

マジェスティックでもマジェスティック・メジャーでも、優れたパフォーマンスや操縦性、ブレーキ性能など備えつつ、古き良き英国車を味わえる。この型のデイムラーだけの、ユニークな組み合わせだ。

低い評価が続き、何十年も放置されてきた例も少なくない。ボディの腐食と整備不良は、大きな課題となる。

良い例を発見できれば、ロールス・ロイス級の豪華さや優雅さを、高い部品代に悩まされることなく楽しめる。一方で、錆びたデイムラーには手を出さない方が懸命だろう。

良いトコロ

魅惑的な、唯一無二の存在感。実は案外乗りやすい。状態の良い例でも、車両価格はさほど高くない。維持に必要な部品も、想像以上にリーズナブルだったりする。

良くないトコロ

新車当時からサビはひどかった。現在残っているクルマの多くも、どこかが錆びている可能性は高い。近年の取引価格は、レストアに必要な費用を大幅に下回っている。

デイムラー・マジェスティック/マジェスティック・メジャー(1958~1968年/英国仕様)のスペック

英国価格:2495~3766ポンド(1962年時)
生産台数:1490台(マジェスティック)/1180台(マジェスティック・メジャー)/864台(DR450 リムジン)
全長:4980-5130mm
全幅:1860mm
全高:1595mm
最高速度:162-197km/h
0-97km/h加速:3.7~14.2秒
燃費:5.3-8.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1782-1909kg
パワートレイン:直列6気筒3794cc自然吸気/V型8気筒4561cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:149ps/4400rpm-223ps/5500rpm
最大トルク:28.8kg-m/2800rpm-39.0kg-m/3200rpm
ギアボックス:3速オートマティック

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