STLAプラットフォームの期待の星
プジョーも属する、ステランティス・グループの最新プラットフォームが、STLA。ステラと呼ぶらしい。テスラと混同してしまいそうだ。
【画像】巨大グループ期待の星! 新型プジョーE-3008 サイズが近い電動クロスオーバーはコレ 全137枚
同グループの屋台骨として、これから年間200万台の基礎骨格を担う。その先鋒となるのが、今回試乗したプジョーE-3008だ。先代までの3008は世界中で人気を博し、130か国で130万台を販売した。新世代への期待は極めて大きい。
このプラットフォームは、内燃エンジンにも対応するよう調整を受けているが、バッテリーEVとしての利用が最優先されたとか。ほぼ、専用設計と考えて良い。
開発を主導した技術者、エルベ・シャイデッガー氏は「バッテリーを中心にすべて選択されています」。と述べている。駆動用バッテリーは、シャシー剛性も担う重要な一部に組み入れられている。
全長が4.3mから4.9m、ホイールベースは2.7mから2.9mのモデルで、利用が想定されている。E-3008の全長は4542mm、ホイールベースは2739mmだから、想定範囲としては小さい側にある。7シーターのe-5008も、これをベースに登場予定だ。
基本的には前輪駆動となり、車重は同クラスのライバルと比べると200kg前後重い。格上のe-5008も前提にするため、小さなE-3008にとってはオーバースペックになりがちで、重さが増えるのも理解できる。
駆動用バッテリーの容量は、73kWhか98kWhが選択可能。航続距離は前者で524kmがうたわれる。ウエストラインが高めに見えるが、ほぼ同じスタイリッシュな見た目で、マイルドとプラグインのハイブリッドも、3008の名で登場する。
モダンで好印象なインテリア 後席は狭め
車内へ目を移すと、前席側はプジョー最新のパノラマ i-コックピット・デザインを採用。従来のレイアウトより、人間工学的な不自然さはなくなった。
ダッシュボードには、ウールを用いたテキスタイルが張られ、カーブを描く大きなモニターパネルが立ち上がっている。クロームメッキではなく本物のアルミニウムが各部を引き締め、インテリアはモダンで知覚品質が高い。
間接照明のデザインも素晴らしい。ダッシュボードのクロスがバックライトで照らされ、ドライブモードによって色が変わる。新しいブランドイメージが、カタチとして表現されているようだ。
ステアリングホイールは小さめのままだが、高めのモニターパネルは運転中でも見やすい。身長の低いドライバーは、丁度いい運転姿勢を探しにくいかもしれないが、シートの座り心地は素晴らしい。
モニターパネルは2画面に分かれており、片側はメーター用で、もう一方はインフォテイメント用。その下には、i-トグルと呼ばれるショートカット用タッチモニターが用意され、お好みでシートヒーターやナビゲーションなどと関連付けられる。
音声操作機能も実装。運転席側と助手席側との指示を聞き分けられ、エアコンの温度も個別に変更できるそうだ。
後席側の空間は、セニック E-テックより狭め。それでも、大人には不足ない空間がある。荷室容量は588L。床下にも収納空間があり、床面は高さを変えられ、使い勝手は良さそうだ。
追って230ps版と四輪駆動も登場予定
インフォテインメント・システムは、ステランティス・グループで共有するもの。ホーム画面のカスタマイズ範囲が広く、機能的で操作しやすい。稀に加熱し、反応が鈍くなることはあった。
特徴の1つが、カーナビで航続距離より遠くの目的地を指定すると、途中にある急速充電器を経由してルーティングする機能。他車が利用中の場合は、リルートもしてくれる。
装備は充実しており、エントリーグレードでもパノラミック・ガラスルーフが標準。ただしシートヒーターを付けるには、アリュールより1つ上のGTグレードを選ぶ必要がある。高度な運転支援システムやヒートポンプ式エアコンも、追加料金が必要になる。
当初の英国仕様のパワートレインは、フロントに載る駆動用モーターが214psで、駆動用バッテリーが73kWhの組み合わせ。価格は、4万5850ポンド(約880万円)からに設定された。
2025年には、230psと98kWhのセットも選べるようになる。航続距離は700kmに達するという。ツインモーターの四輪駆動も控えており、こちらは320psになるそうだ。
急速充電能力は、最大160kW。残量20%から80%への回復には、約30分が必要だ。
やかな動力性能 落ち着きが不足気味の乗り心地
さて、公道へ出てみよう。214psで動かす車重は2134kgあり、加速はライバルのように鋭くない。それでも0-100km/h加速は8.7秒で、不満なほど遅いわけでもない。むしろ、ダッシュ力競争から1歩引いたような設定は、好ましいと筆者は思う。
回生ブレーキは3段階から強さを選べ、ステアリングホイール上のパッドで切り替えられる。ワンペダルドライブには対応しない。ブレーキペダルの感触は、回生ブレーキの範囲では柔らかめ。強く踏むと、摩擦ブレーキが効き始める。
ツインモーター仕様をサーキットで試す機会があったが、確かに加速は鋭くなるものの、シングルモーター版と大きな違いも感じられなかった。車重は60kg増え、ソフトウエア以外に目立った変更はないそうだ。
小回りは利き、最小回転直径は10.6m。駐車場や市街地での取り回しは楽なはず。
操縦性は、i-コクピットの他のモデルに似ている。ステアリングホイールが小さく、きれいな丸でもなく、正確なライン取りが若干しにくい。路面の設置感は、強めのアシストで手のひらへ伝わりにくい。一気に右足を傾けると、トルクステアが発生することも。
軽くない車重が影響し、流れの速い郊外の道ではボディロールが小さくない。鋭い入力がタイヤへ加わると、ボディは震えるように揺れる。滑らかな高速道路でも、乗り心地は落ち着いた印象を受けにくかった。
とはいえ、ミシュランe-プライマシー・タイヤは、濡れた路面でも基本的には充分なグリップを発揮。シャシーのバランスも優れている。
良く機能する運転支援システム 総合力は低くない
外界との隔離性は良好。風切り音やロードノイズは小さく、調整域の広いシートは快適。運転を楽しめるタイプではないが、長距離旅行を快適にこなせるとは思う。
運転支援システムも、しっかり機能していた。車線維持支援とアダプティブ・クルーズコントロールの動きは滑らか。速度標識の読み取り機能も厳しすぎず、110km/hの道を114km/hで走っても、すぐには警告しない制御がうれしい。
ただし、オフにするにはタッチモニターを数回タップする必要がある。英国のマイル表示を、キロメートルと混同する場面もあったようだ。
電費は、カタログ値で7.4km/kWhと優秀。比較的平坦な英国の一般道では、5.9km/kWhが示された。現実的な航続距離は434km前後といえ、同価格帯のライバルより若干勝る。
動力性能的な活気には欠けるものの、ステランティス・グループの期待を背負ったE-3008の総合力は低くない。魅力的なインテリアやハンサムなスタイリングで、所有体験の充足度は高いはず。バッテリーEVとしての基礎能力も優れる。
これで、価格相応の運転体験も備わっていれば、一層訴求力は高まるのだが。
◯:モダンな素材を用いた素晴らしいインテリア 静かで洗練された走行フィール
△:ライバルよりやや狭めの乗員空間 おっとり気味の操縦性 やや落ち着きがなく、弾むような乗り心地
プジョーE-3008 73kWh 210 GT(英国仕様)のスペック
英国価格:4万9650ポンド(約953万円)
全長:4542mm
全幅:1895mm
全高:1641mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:8.7秒
航続距離:524km
電費:7.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2134kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:73.0kWh(実容量)
急速充電能力:160kW
最高出力:214ps
最大トルク:25.3kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)
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みんなのコメント
しかし 2.1tなぁ。