クルマは長く乗れば乗るほど見えてくるものがある。これまでいくつものエンジン搭載モデルを長期にわたってレポートしてきたが、今回連載している長期レポートのクルマは電気自動車(BEV)である「DS3クロスバック Eテンス(DS3 CROSSBACK E-TENSE)」だ。(第5回/Motor Magazine 2022年6月号より)
シート座面の広さは走行快適性を高める大きなポイント
4月に入ると外気温は25度を超えることもあった。これからさらに暑くなればエアコンを常時稼働させることになるのだろう。5月には長距離移動の計画もしているので、航続可能距離が短くなるのではないかという懸念もある。それでも、このDS3 Eテンスでのロングドライブはとても楽しみだったりする。なにしろ、ドライバーにとっての快適性はピカイチなのだから。
長期レポート初の電気自動車を導入。DS3クロスバック Eテンスが来る前に担当者が準備していたこと【第1回】
シートだけでなくドアトリムやインストルメントパネルなど白の配色が眩しいほどに明るいDS3 Eテンスのインテリア。しかも、そのいたるところにひし形のステッチが施されて、コンパクトSUVであってもDSブランドの、フランス・パリ流の美的センスを織り込んでいる。
運転席から見える景色だけでなく、電気自動車らしい静かさやなだらかに高まる加速感なども相まって、目を三角にして走ろうなどという気には到底ならない。コンパクトセグメントのクルマではこれまであまり感じたことがない不思議な心境にさせてくれる。
そんな内装の中でもとくに気に入っているパーツがシートの座面だ。シート調整は手動式なので、パワーシートのような多方向への調整機能こそないものの、座面の前後長が長く設定されているので平均よりも少し体の大きい私の太ももをサポートしてくれる。滑りにくいハーフナッパレザーのサイドサポートは小さな見た目とは裏腹にしっかり感もあるので、前席乗員の快適性はかなり高い。
しかしその反面、後席は乗員を選ぶことになりそうだ。私が運転席に座って快適なシートポジションを取ろうとすると、ニースペースは実測値で13cmほどとかなり狭くなってしまうのだ。大人4人で移動するには窮屈かもしれない。そこで、小学生以下の子どもなら座れるだろうと思い、我が家の子ども3人を座らせると、スペース的な余裕はあるようだ。
しかし、ここでひとつ大問題が発生する。子どもが乗り込む前に「仕事のクルマだから、クツをシートにぶつけるんじゃないぞ」としっかり言い聞かせたはずなのに、降りてみると真っ白なシートバックに茶色の足跡がくっきり残っているではないか。5歳児の仕業だ間違いない。ぐぬぬ・・・。
ガソリンエンジン車のDS3であれば黒や茶系の内装色となるのだが、Eテンスは白のみ。子どもを乗せるには少し気を遣いそうだ。
気を取り直して、濡らしたマイクロファイバークロスを固く絞って汚れを、ついでに黒ずんできた運転席のサイドサポートも拭うと、意外にもあっさりと新品のような白さに。汚れとともに息子の失態を水に流して一件落着・・・。
第5回/2022年3月23日~4月20日(5カ月目)のデータ
・オドメーター:8308km
・当月の走行距離:2374km
・充電量:約441.0kWh(充電メーター換算値)
・電費:約5.38km/kWh
・充電回数:24回(内、200V普通充電を14回/急速充電を10回)
■DS3 クロスバック Eテンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
●ホイールベース:2560mm
●車両重量:1580kg
●モーター:交流同期電動機 ZK01型
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:260Nm/300-3674rpm
●バッテリー総電力量:50kWh
●JC08モード航続距離:398km
●0→100km/h加速:8.7秒
●最高速度:150km/h
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格:559万3000円(2023年1月現在)
[ アルバム : 長期レポートDS3 Eテンス第5回 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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