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379万8000円の“フツー”のフォルクスワーゲン・ゴルフIIに迫る!

掲載 更新 11
379万8000円の“フツー”のフォルクスワーゲン・ゴルフIIに迫る!

4月9日~11日、幕張メッセ(千葉県千葉市)で、旧車イベントである「オートモビルカウンシル2021」がおこなわれた。そこで気になったクルマを武田公実がピックアップする。

“トレードショー”とは?

新型コロナウィルス禍の影響が依然として続き、国内外のクラシックカーイベントが軒並み中止・延期を余儀なくされるなか、千葉県・幕張メッセで開催される展示・即売型トレードショーの「オートモビルカウンシル(Automobile Council)」は、厳重な感染対策のもと、今年も開催された。

もともと欧米発祥の“トレードショー”とは、クラシックカーの車両本体はもちろん、自動車パーツと「オートモビリア」と呼ぶ周辺グッズを販売するスペシャルショップが一堂にあつまり、見本市会場などの屋内ないしは野外の会場にて、展示・販売をおこなうものだ。

オートモビルカウンシルでは「ヘリテージカー販売コーナー」と名づけられた各クラシックカー/ヤングタイマー専門店のブースで、自慢の商品車両を展示するだけでなく、プライスボードを掲げて販売もされている。

例年どおり会場内を取材していると、1台のフォルクスワーゲン「ゴルフII GLI」が展示され、しかもそれに“379万8000円”という、ゴルフIIの固定観念を覆すような高価格のプライスボードが掲げられていることに目を奪われた。

そして、クルマに近寄ってまじまじと検分すると、この驚異的な価格に納得してしまうだけの理由があることが判明したのだ。

GTIやカントリーならわかるけど……

1983年秋にデビューしたゴルフIIは、その9年前に誕生した初代「ゴルフ」の正常進化モデルといえる。

横置きFWD(前輪駆動)のレイアウトに、リアにハッチゲートを持つパッケージング。クラスの常識を超越した性能によって、後世のコンパクトカーに多大な影響を及ぼす傑作になった初代のコンセプトやスタイリングをほぼ踏襲しつつも、空力特性や静粛性、快適性などを大幅にブラッシュアップし、結果として初代にも負けない大ヒットを記録した。

しかし、その生産台数の多さゆえに、希少性が相場を左右するユーズドカー市場では安価に推移し、つい数年前まではスポーティな「GTI」や超希少な「カントリー」などのいわゆる“役モノ”でもない限り、100万円にも満たない相場価格で取引されるのが普通だった。

とはいえ、ここ数年のクラシックカー価格の高騰に伴い、1980~1990年代に生産された、いわゆる“ヤングタイマー”人気も急上昇。ゴルフは初代/IIともにその代表格としてジリジリと評価を高めてはきている。

それでも“役モノ”ではない5ドアのGLIがこの価格というのは、いささか信じがたいことである。

まるで新車

そこで、この1991年型ゴルフIIを出品していた「スピニングガレージ」の田中延和代表に、話を訊いた。

販売されている個体は、1991年に当時の日本総代理店であるヤナセが輸入・販売したディーラー車で、1.8リッターSOHC直列4気筒ガソリン・エンジンを搭載する5ドアの「GLI」仕様。ちなみに、GLIとは当時の上級グレードだ。トランスミッションは3速ATで、パワーステアリングやパワーウィンドーを標準装備する。

驚くべきは、ちょうど30年前に国内登録された個体ながら、走行距離は約1万6000kmという超ローマイレージであること。それを裏づけるように、外観は新車そのもののように美しい。

インテリアも、アパレル業界でいうところの「糊の落ちていない」パリッとした状態。ドアを開けた瞬間から、あの頃のフォルクスワーゲンを知るものには懐かしいであろう“新車の匂い”がプ~ンと漂ってくる。

乗り込めば、シートはほとんどヘタりがなく、GLI専用だったモケット表皮の擦れも皆無。クラシック・ドイツ車ファンには堪らない、ウレタン樹脂製ステアリング・ホイールの模擬“革シボ”までクッキリと残されている。当時のドイツ車は、使用や経年による劣化が少ないと言われているものの、それでもこの劣化の少なさは脅威だ。

ゴルフIIのスペシャリストであるスピニングガレージでも、これほどの個体に出会えるのは、滅多にないそうだ。

ゴルフ・カントリーは約600万円!

約380万円という販売価格には、サスペンションのブッシュやエンジンマウント、マフラー、水まわりのリニューアルなど、約100万円以上を要する納車前点検の費用も含むそうだ。

もしかしると、約380万円というプライスは、ゴルフIIに本気であこがれ、かつ入手を真剣に検討しているファンからすれば、むしろリーズナブルなのでは? と、感じた。

スピニングガレージでは、今でも100万円台半ばで充分実用に耐えうるゴルフIIを数多く扱っている。つまり、この約380万円のゴルフII GLIは例外中の例外とみるべきかもしれない。

ちなみに今回のオートモビルカウンシルでは、傍らに“398万8000円”のプライスボードを掲げた1991年型「ゴルフ・カブリオレ・クラシック」(生産終了直前のスペシャルモデル)もあった。さらに、イベント初日の段階で早くも“売約済”にはなってしまったものの、約600万円で「ゴルフ・カントリー」が販売されていたという。

ヤングタイマー世代のゴルフが、“クラシックカー”の領域に入っているかもしれない……という印象は、あながち間違いではないかもしれない。

文と写真・武田公実

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みんなのコメント

11件
  • 初めて買った外車がこの『ゴルフⅡ』だった。約37~38年前だったと思います。その直前は『ソアラ3.0GT』に乗っていた。田舎が東北で毎夏、岩手迄運転していったけれど、ソアラより疲れなかったと記憶している。色もこのシルバーだった。5年ほど乗ったある日、側面からワンボックスに突っ込まれた。個人で仕事をしていたので『シートベルト』はしていたが、検分に来た警察官が『日本車だったらピラーが曲がり大怪我したかも』と言われたのを記憶している。ヘッドライトやホーンを自分で変えたり、オイルフィルターやオイル交換も自分でやった。今の車はそうはそうはいかない。その後『ゴルフⅢ・Ⅳ』『パサートワゴン』に乗り、今は妻が5ナンバーのポロに乗っている。ほぼ『ゴルフⅡ』と同じ大きさだろう。現行ポロは3ナンバーとなり大きすぎる。偶然見たこの記事に懐かしさを感じた。
  • VWゴルフの凄いとこは、初代から成長し続けてるとこ。
    最新のポルシェが最良のポルシェなんて言葉もあるが
    ゴルフも同じように感じる。
    なんたって世界のベンチマークだもんね。
    これが大衆車として安価な価格で存在するんだから
    ドイツ車ってすごいなと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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