さらに空力を重視して生まれ変わった「-R」
シビック、インテグラ、アコード(ユーロR)と、ホンダ車のラインナップを縦断して設定されてきたスポーツモデル、TYPE R(タイプR)。その嚆矢となったのは1992年に発売されたNSXタイプRである。徹底した軽量化やエンジン材質の見直し、サスペンション設定の変更などによって、サーキット走行にも対応できる本気度の高い内容を持っていたのが、その特徴であった。
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【画像100枚】ふたつのキットを合体して作り上げた最高のNSX-Rと、その工程を見る!
1989年に発表、翌1990年に発売された初代NSXであるが、ミッドシップのスーパースポーツでありながら居住性や使い勝手をないがしろにしないという方向付けがなされており、そのコンセプトは「快適F1」というフレーズで言い表されていた。充分なトランクスペースを確保していたのもその表れであるが、一方では、開発チームの中でもピュアスポーツを志向する心情があり、その結実がタイプRだったのである。
その特徴はまず徹底した軽量化。バンパービームやドアビームのアルミ化、遮音材や制振材の撤廃、快適装備の省略、さらにはg単位の細かな施策によって、重量は120kgも軽減されている。エンジンは標準モデルと同じCA30型(3L V型6気筒DOHC)ながら、クランクシャフトやピストン、コネクティングロッドの重量やバランスの精度を高め、レスポンスの向上を実現した。サスペンションはダンパーやスプリングを強化、ホイールはエンケイ製の専用アルミを装着。室内にはレカロのフルバケットシートやMOMOのステアリングホイール、チタン製シフトノブなどが奢られている。
こうして、「レーシングカーに最も近づいた市販車」と評価され強いインパクトを与えたNSX タイプRだったが、1995年にNSXがマイナーチェンジを受けた際にラインナップから落とされてしまう。サーキット走行を視野に入れたグレードとしては新たにタイプS-zeroが設定されたが、やはりタイプR復活を望む声は大きかった。そこで2002年に新たに登場したのが、NSX-Rである。車名はあくまで「NSX-R」であるが、ホンダとしても公式にこのモデルはタイプRシリーズの一作として認定している。
そのNSX-R登場の前年、2001年にNSXはマイナーチェンジを行っており、ヘッドライトをリトラクタブル式から固定式に変更。NSX-Rもこれは同様だが、基本的な車体形状に変更のなかった前期型タイプRとは違って、今度はエアロダイナミクスの向上に力が注がれている。大きく目につくのは通常より大型になったリアウィングと、フロントフードに設けられたエアダクトだが、さらにフロントにはフィン付きアンダーカバー、リアにはディフューザーを装着。これらにより、フロント、リアともにマイナスリフトを実現している。
もちろんボディの軽量化も行われており、フロントフードとリアスポイラーにはCFRP(カーボンファイバー・レインフォースド・プラスチック)を採用。エンジンはやはり通常のNSXと同じ3.2L V型6気筒DOHCのC32B型(1997年のマイナーチェンジで搭載)で、最高出力も280psと数値こそ変わらないが、タイプR同様に細部を磨き上げている。具体的には、クランク系の精密なバランス取り、サーキットでの徹底した走行テストによるスロットルとペダルストロークのチューニングといったところがその内容。このエンジンは、1名の熟練した専任技術者が全ての工程を担当して組み上げられていたという。
足周りにももちろん手が加えられており、タイヤは非対称パターンを持つ専用開発品(ポテンザRE070)を装着し、コーナリングスピードを向上。これにBBSと共同開発したアルミ鍛造ホイールを組み合わせている。サスペンションには、スプリングの強化と軽量化、ダンパー減衰力アップ、スタビライザーの強化、ブッシュ類硬度アップなどを実施、マイナスリフトセッティングにあわせ、専用荷重設定のプリロード型LSDが採用された。ブレーキはスリット入りディスクと強化パッドを採用、ABSの設定も専用のものとなっている。
インテリアには前期型のタイプR同様にレカロのバケットシートやMOMOのステアリングホイール、そしてチタン製シフトノブ(今度は球型となった)などを装備。また、緑と赤のランプが点滅してシフトアップタイミングを知らせるシフトインジケーターが採用されている。NSX-RはタイプRと同じく3年間販売され2005年に生産を終了、同年、すこし遅れてNSX自体も生産終了となった。
簡単には移植できず、特にライトには手を焼く!
さて、日本初の本格的なスーパースポーツとして当時大きなインパクトのあった初代NSXだが、プラモデル化はあまり多くない。今はなきロッソからは、1/12という大スケールで本格的な内容のものがリリースされたが、1/24スケールに話を絞ると、プラモ化はタミヤとフジミのみである。タミヤは実車デビューとほぼ同時にキット化、通常のNSXと、これをベースにしたタイプRの2種類があった(スーパーGTマシーンについては除く)。一方、フジミのキットは固定式ライトの後期型を再現しており、こちらも基本的には通常モデルとNSX-Rのみを製品化している。
という訳で、NSX-Rを作りたければ普通にフジミをチョイスすればよいのだが、このフジミ製キット、少々格好良くないと感じる方も少なくないだろう。また、エンジンは上げ底再現であり、フルディテールなタミヤと比べてしまうと少々寂しい……というのも正直なところ。そこで、タミヤ製のNSXをベースに、後期型のディテールをフジミ製キットから移植、エンジンおよびシャシーをフル再現した作品として制作したのが、ここでお目にかけているNSX-Rなのである。
作者・Ken-1氏の感想としては、「パッと見かっこいいのはタミヤ、抑揚が効いたボディシェイプが特徴です。それに比べるとフジミのボディはプレーンな印象で味気ない。しかし実車画像と比較してよくよく見ていくと、実はフジミの方が実車に忠実だったりします」とのこと。どちらを好むかはモデラー諸氏によるところが大きいであろう。
制作にあたって難題だったのは、フロントバンパーカバーと固定式ヘッドライトユニットだという。バンパーカバーはタミヤの絞り込んだボディラインと合わず、両サイドを大きく削り込んで、形状を新たに出していくことに。ヘッドライトユニットは、形状がずいぶんとダルに感じられたため大幅に修正。この部分が一番アテにしていて使いたい所だというのに……と、作者もついぼやいてしまったようだ。そうした工程の詳細については、写真に付したキャプションをお読み頂きたい。
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みんなのコメント
タミヤ前期ベースとは言えよくここまで仕上げたなぁと感心する。
エアブラシも無く、スプレーでなんとか塗装しております。
本体とディテールアップパーツと塗料で一万超え。
久しぶりに作ってるけど、塗装が難しい〜