2代目ミライ試作車 どんなクルマ?
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】新型トヨタ・ミライ・プロトタイプ【細部まで見る】 全100枚
photo:Toshikazu Moriyama(森山俊一)
燃料電池が発電した電力により走行する自動車がFCV。電気以外で排出されるのは水だけ。
それ故にゼロ・エミッション車として注目されているが、今回試乗した次期ミライも含めて量産モデルは数えるほどしかない。
EV(電気自動車)と比較すれば寂しい限りだが、電力と水素の圧倒的なインフラの差を考えれば仕方ない。しかも、燃料電池だけでなく、水素タンクなど発電システムを構成するものの大半は、専用に新規開発。
技術的にも、FCVのほうがハードルが高い。その点からも、先代ミライの登場は画期的だった。
FCの出力(発電)制御は供給する水素・空気の単位時間当たり流量で行うが、当然アクセル操作と流量制御にはタイムラグが伴う。またアクセルオフ時には燃料電池内に水素と空気が溜まる。
先代ミライでは、補助的な電力供給システムとして2次電池を置き、アクセルオン時のパワーアシストとアクセルオフ時は燃料電池内の滞留した水素・空気により充電を行う。
次期モデルでは、FCの小型軽量化・高効率化など全体的に熟成が進んでいるが、こういった制御の基本構成は先代を踏襲する。
次期ミライの最大の注目点は、FCVの量販化に向けたコンセプトの変化。それはFR採用でスポーツ性を高めたという意味ではない。
クラウンの骨格 5人のための内装は?
プラットフォームはクラウンなどにも採用されるGA-L。というか、骨格構成も含めてクラウンと近似の構成。
水素タンクを置くためにフロアトンネルなどの設計変更が加えられているが、クラウンのFCVバリエーションと考えてもいいくらいだ。
専用設計大盤振る舞いの先代とは大違い。量産性を考えた設計なのだ。
インパネやキャビンにもどことなくクラウンと似た雰囲気が漂う。パッドPC的デザインのセンターディスプレイやメーターパネルデザインなどで嗜好を違えているが、操作/表示系のレイアウトやドラポジからの見下ろし感が同系統。
ドライバー志向でゆったりとした居心地が最上級クラスのセダンを思わせる、という意味でもクラウン的である。
後席も同様。後席を独立型2座とした先代のほうが特別仕立ての感はあるが、乗車定員が4名になるだけでなく、ショーファードリブン的でもあった。
ドライバー向けセダンという面でも、実用性とスタイル面のまとまりのいいクルマである。
どんな感じ?
試乗コースは、富士スピードウェイのショートコース。低中速の起伏に富むコーナーで構成され、必然的に動力性能は低中速でのダッシュ力が中心の評価になる。
そこは電動の最も得意とした領域であり、アクセルを深く踏み込めば2t近い車体を軽々と加速させるが、速度上昇に応じて踏み込み直後、あるいは踏み込み中よりも加速が垂れていく。
悪く言えば、急な踏み込み時のダッシュ力は演出なのだろう。
一般路走行よりは踏み込み量は深くなるものの、穏やかなペダル・コントロールを行えば応答性よく力強く加速。
加減速はペダル踏み込み量相応であり、刺激を抑えた質のいいパワーを感じさせてくれる。
恒常的に前述の初期加速同様に反応されては運転疲れしてしまうが、たまには気合いを入れて、という時のお楽しみと考えれば悪くない。
タウン&ツーリングでは素直な力強さでゆったり、スポーティ・ドライブでは昂揚感をもたらすダッシュを効かせて切れよく。
プレミアム感とファン・トゥ・ドライブを無理なく両立させたドライブフィールである。
足さばきは“しなやか”
GA-Lプラットフォームから開発されているので便宜上FRとしたが、モーター搭載位置では後車軸直前のミドシップ。
FCスタックはボンネット内で、駆動用2次電池は後車軸上と、駆動関連機構は分散配置。で、前・後輪軸重配分は50対50。
「50対50」神話に躍らされる気はないが、重量配分と後輪駆動を上手に使ったフットワークなのは間違いない。
深く長いサス・ストロークを使いながら、前後輪のグリップバランスやピッチ姿勢を大きく乱さない。
「しなやか」と「安定」と言ってしまえば凡庸にも聞こえるが、なかなか他車では味わい難いものだった。
コーナリングの評価は?
コーナリング時のロールは比較的大きいが、ストローク速度も速め。にも関わらず底突き感や揺れ返しがほとんどない。
最後の一粘りが絶妙。ロール感は内輪の伸びより外輪の沈み込みを意識する。
加速時に後輪に荷重が掛かる感じも心地よい。縁石の突き上げも柔らかにこなす。
必要以上の回頭反応がなく、操舵量に神経質になる必要もない。
打てば響く様な操縦感覚ではないが、限界域でも崩さない懐深い穏やかさは、ドライバー向けトヨタセダンの最上級モデルに相応しいものである。
「買い」か?
FRプラットフォームで50対50の重量配分にファストバック風のボディシェル。
エコのGT、ミライ・アスリートとでも言いたくなるようなクルマを想像していたのだが、時たまのヤンチャにも付き合ってくれるものの、基本は深みと大らかさの大人っぽいクルマのようだ。
一般路での本当の振る舞いは分からないが、ショート・サーキット試乗で得た印象は、ちょっとアスリートをトッピングしたミライ・マジェスタだった。
いささかクラウンを引き合いに出しすぎたが、エコプレミアムの特殊性を誇示するのではなく、正統派上級プレミアム・セダンとして開発されたFCVであるが故に、クラウンの上位モデルとしてもピタリと収まるのだ。
水素ステーションが少ないのは泣き所だが、WLTCモードで約850kmの満タン航続距離があれば長距離用途にも余裕で対応できる。
価格は装備揃えなら先代よりも安く、クラウンの最上級モデルとも絡んでくる。同価格帯には欧州のプレミアム・セダンも多い。
趣味の問題を別にして、もし近所に水素ステーションがあるのなら、同価格帯の候補車筆頭に推したいモデルである。
新型ミライ・プロトタイプ スペック(トヨタ社内測定値)
価格:未発表
全長:4975mm
全幅:1885mm
全高:1470mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:-
航続距離:約850km(水素有効搭載量を基に計算したWLTCモード)
CO2排出量:0g/km
車両重量:1920~1950kg
パワートレイン:FCスタック+バッテリー+モーター
使用燃料:水素
最高出力(モーター):182ps/6900rpm
最大トルク(モーター):30.6kg-m/0-3267rpm
最低地上高:155mm
乗車定員:5名
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みんなのコメント
っていうか、そもそも今どき500万じゃあクラウンもビーエム3シリも買えないんだから、、、
近所や行動圏に水素ステーションあることだけが条件。