■「伝説」とまで形容された第2世代のGT-Rたち
日本が世界に誇るクルマのひとつ、という枕詞がまったくいい過ぎではない車種のひとつが、日産のGT-Rではないでしょうか。
こりゃヤバイ!NISMOが所有するR32.33.34型スカイラインGT-Rが極上すぎる…(画像29枚)
世界の名だたるスーパースポーツと互角に戦える実力をもっていながら、価格はライバル車に比べて比較的リーズナブル(といっても簡単に手が出る価格ではなくなってきましたが)というのも魅力のひとつといえるでしょう。
とくに初期型といわれる2007年付近の中古車であれば、300万円台のプライスタグを付ける個体も見かけるようになってきており、頑張ればなんとか手が届くかもしれない価格帯となってきています。
その一方で、このところ大きく価格が急騰しているのが、いわゆる第2世代GT-Rと呼ばれる、R32、R33、R34型の「スカイラインGT-R」です。
スカイラインGT-Rの始まりは、1969年に3代目「スカイライン(ハコスカ)」をベースにしたモデルでした。
1973年には4代目スカイライン(ケンメリ)をベースにした2代目スカイラインGT-Rが登場しますが、搭載されていたS20型エンジンが排出ガス規制に適合しなくなったため、わずか3か月、197台のみの生産で販売を終了してしまっています。
そして、第1世代のGT-Rが生産を終了しておよそ16年後の1989年に8代目スカイラインをベースとした3代目スカイラインGT-Rが登場します。これはベースとなったR32型スカイラインの登場からおよそ3か月遅れの1989年8月のことでした。
搭載されるエンジンは第1世代の2リッターのものから大幅に排気量が拡大された、直列6気筒のRB26DETT型エンジン。2568ccという中途半端な排気量は、当時のグループA車両で競われていた全日本ツーリングカー選手権に参戦する際、ターボ係数をかけても4.5リッタークラスに収まるように逆算してはじき出されています。
500cc刻みの日本の自動車税制上、不利というのは承知の排気量で登場したRB26DETT型エンジンですが、そのエンジンを搭載したスカイラインGT-Rは、日本ツーリングカー選手権が終了する1993年まで無敗を誇り、レースに勝つために生まれたR32型スカイラインGT-Rはその役目をキッチリ果たしたのでした。
その後、スカイライン自体は1993年8月に9代目へフルモデルチェンジを果たすも、GT-RはR32型が1994年末まで継続販売がされ、1995年1月にR33型スカイラインGT-Rが登場するまで活躍しました。
R33型スカイラインGT-Rは、ベースとなったスカイラインが大型化したことでGT-Rも当然サイズアップ。車両重量増とホイールベースの延長によってシャープな動きがなくなった、と当時のメディアなどは酷評する向きもありましたが、実際はプロトタイプでのニュルブルクリンクのタイムは先代モデルよりも21秒も速い7分59秒をマークし、「21秒ロマン」というキャッチコピーが使われたほどでした。
■もはや「旧車」になりつつある第2世代GT-Rはなぜ高騰した?
そんなR33型スカイラインGT-Rには、スカイライン生誕40周年を記念してオーテックジャパンが手掛けた4ドアGT-Rこと、「スカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー」や、当時のニスモが手掛けたコンプリートカーの「ニスモ400R」など、スペシャルなモデルが造られたことを覚えている人も多いことでしょう。
そして1999年1月には第2世代GT-R最後のモデルとなるR34型スカイラインGT-Rが登場。当時はまだ馬力の自主規制があったため、最高出力こそ280馬力のままでしたが、最大トルクはついに40.0kgf・mを達成。名実ともに最強のスカイラインGT-Rとなりました。
サブメーターもそれまでの3連アナログメーターから、モニターを使用したマルチファンクションディスプレイに変更され、ボディ下部を覆うディフューザーなど、時代の流れに応じて近代化していることを感じさせてくれる仕上がりとなっています。
2001年には、乗り心地を向上させ上質感をアップさせたGT-Rの新機軸であるMスペックが登場し、GT-Rとしての新たな方向性を模索していることも感じさせてくれました。
しかし、RB26DETT型エンジンは2000年施行の排出ガス規制に適合できなかったことにより2002年に生産終了。奇しくも第1世代GT-Rと同じ理由で第2世代GT-Rも幕を閉じる結果となったのです。
第2世代GT-Rが高騰する理由とはなんなのでしょうか。10年くらい前であれば、R32型のスカイラインGT-Rは安いものであれば100万円を余裕で切り、場合によっては50万円台という個体も見つけることができました(もちろん程度はそれなり)。
しかし時代も流れ、そのような個体は淘汰され、市場に流通する個体は比較的状態の良いものが中心となったのが理由のひとつといえるかもしれません。
そしてもうひとつの大きな理由は需要の増加です。最近ではニスモがスカイラインGT-Rの復刻部品をリリースするなど、維持しやすい環境が整いつつあることや、当時スカイラインGT-Rに憧れていた世代が、ある程度収入に余裕が出てきたことで、購入を検討するようになったこと。
さらに、アメリカの25年ルールに代表されるように、海の向こうのユーザーから熱視線が集まるようになったことが挙げられます。
もともと第2世代GT-Rはごく一部を除き正規輸出はされていないクルマでしたが、プレイステーションのグランツーリスモシリーズなどに代表されるレースゲームや動画共有サービスなどでその存在を知り、いつか欲しいと考えた海外のユーザーも少なくありません。
アメリカでは正規輸入がされていないクルマを輸入することに対しては非常に高いハードルが課されていますが、生産から25年が経過したクルマに関してはこれが緩和されることもあり、右ハンドル圏だけではなく、アメリカやカナダからも需要が増え、引く手数多というのが現状なのです。
そのため、国内だけでなく海外からの需要も拡大したことで、その価格は上昇の一途を辿っているというわけです。
もちろんすでに生産を終了したモデルだけに台数が増えることはありませんから、おそらく今後も相場は上がり続けることでしょう。もし、第2世代GT-Rの購入を検討しているのであれば、早めに行動に移すのがよさそうです。
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