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トヨタ「クラウン」の歴史が終わる!? 時代を彩ったクラウン5選

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トヨタ「クラウン」の歴史が終わる!? 時代を彩ったクラウン5選

■歴代クラウンのなかでも、とくに注目されたモデルを振り返る

 2020年11月11日、衝撃的なニュースが報じられました。65年もの長い歴史を刻んできた日本を代表するパーソナルセダンのトヨタ「クラウン」が、現行モデルをもって生産を終了するというのです。

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 正式にトヨタからアナウンスされたわけではないため、真偽の程は不確実な情報ですが、基本的に国内専用モデルとして歩んできたクラウンですから、将来的には厳しい状況にあるのは確かなようです。

 これまでクラウンは65年の歴史で15代にわたって販売されてきました。その歴史を振り返ると、なかにはとくにインパクトのあるモデルも存在。

 そこで、歴代クラウンのなかで注目されたモデルを5台ピックアップして紹介します。

●1955年発売 初代クラウン

 トヨタ「クラウン」の初代となる「トヨペット・クラウン」は1955年に発売されました。まだ日本の自動車メーカー各社が、海外メーカーの協力を仰ぎながら自動車製造していた時代に、トヨタはアメリカ車を手本としながらも、自社の独自技術だけでクラウンを完成。

 丸みをおびたボディは、第二次世界大戦後の占領下にある国内で見られたアメリカの高級セダンをモチーフにデザインされ、後席の乗降を容易にするために採用した「観音開き」のドアが特徴です。

 ボディサイズは全長4285mm×全幅1680mm×全高1525mmと、現在のコンパクトカー並のサイズですが、当時は立派なミドルクラスのセダンでした。

 搭載されたエンジンは、最高出力48馬力の1.5リッター直列4気筒OHVで、マイナーチェンジで国産市販乗用車初のディーゼルエンジンや、小型車規格の変更に合わせた1.9リッターエンジンの追加、オートマチックトランスミッションの「トヨグライド」(2速AT)が追加されるなど、先進的なクルマで、後のモデルにも継承されています。

 初代クラウンは、当時一般的だった小型トラックから流用したシャシではなく、フロアが低い乗用車専用シャシを開発し、ボディを架装する構造を採用。

 道路の舗装率が低いことから頑丈なリジッドアクスルサスペンションが主流でしたが、クラウンは乗り心地の良い独立懸架サスペンションを採用しており、誕生の頃から高級車に位置付けられていました。

 また、当時はオプション扱いが普通だったヒーターや、カーラジオを標準装備したグレードが追加されるなど、装備を充実させています。

 そして、クラウンはトヨタ初となるアメリカ進出を果たした、記念すべきモデルでもあります。しかし、品質や性能の問題からアメリカでの販売は成功したとはいえず、以降のモデルは日本市場が主戦場となりました。

●1971年発売 4代目クラウン

 初代の誕生から高級車として歩み始めたクラウンは、1971年に4代目が登場。それまでの国産高級車とは一線を画する斬新な外装デザインにボディ同色バンパーの採用や、曲面を多用したフォルムが話題となりました。

 ボディタイプは4ドアセダンのほかに、2ドアハードトップ、ステーションワゴン、ライトバンを設定。トップグレードにはシリーズ初の2.6リッター直列6気筒エンジンを搭載するなど、高級車としての存在感を高めています。

 また、現在はすべてのクルマが搭載する電子制御燃料噴射装置の採用や、電動リクライニングシート、アイドリングストップ機能など、当時の最先端技術が織り込まれました。

 しかし、4代目の斬新なデザインはクラウンの顧客である保守的なユーザーから敬遠されてしまい、販売は低迷し、後に「クラウン史上最大の失敗」という烙印が押されました。

 そこで、トヨタは4代目の発売からわずか3年後の1974年に、直線基調で重厚感のあるデザインに一新された5代目を発売し、販売台数を回復させました。

 当時は受け入れられなかった4代目のデザインですが、現在はクラシック・クラウンのなかでも高い人気を誇っています。

●1987年発売 8代目クラウン

 日産は1988年に高級パーソナルセダンの初代「セドリックシーマ/グロリアシーマ」(以下、シーマ)を発売しました。日本は好景気に湧いていた時代で、シーマは大ヒットを記録。

 シーマに追従するように各メーカーとも次々と高級セダンを発売し、好調なセールスを記録するなど。この状況は社会現象となり、後に「シーマ現象」と呼ばれました。

 一方、トヨタも1989年に初代「セルシオ」を発売しましたが、それに先立って1987年に8代目「クラウン」が登場。

 4ドアハードトップには3ナンバー専用のワイドボディがラインナップされ、トップグレードの「ロイヤルサルーンG」は「ソアラ」や「セリカXX」と同じ3リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載しました。

 さらに、1989年にはセルシオに先行して4リッターV型8気筒DOHCエンジンを搭載した「4000ロイヤルサルーンG」を追加。1990年には2.5リッター直列6気筒DOHCエンジン搭載車が登場するなど、さまざまなニーズに対応。

 好景気の追い風もあり、一時期は月間販売台数で「カローラ」を上まわり、高額なモデルでありながらも1988年から1990年の国内販売台数ランキングでカローラ、「マークII」に次いで3位になるほどの人気ぶりでした。

 なかでも1990年は歴代クラウンで最高となる年間約21万台(シリーズ累計)を販売。2019年にプリウスが登録車でもっとも売れたモデルですが、それでも年間12万5587台ですから、8代目クラウンのすごさが際立ちます。

■スポーティ路線になりつつもこだわりを捨てなかった

●2003年発売 12代目クラウン

 クラウンはこれまでも何度か大きくコンセプトやメカニズムを一新したことがありますが、その1台が2003年に発売された12代目です。

「ゼロからのスタート」をコンセプトとし、外観はそれまでの重厚なデザインから、フロントノーズをスラントさせたスポーティなイメージに改め、全体のフォルムも軽快感を強調しています。

 また、新開発のシャシにエンジンは直列6気筒を廃止して全車V型6気筒を搭載。足まわりはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクとなり、乗り心地を犠牲にすることなく、優れた運動性能を両立。

 ほかにもホイールベースやトレッドの拡大をおこないながら軽量化をおこない、新開発の電動パワーステアリングを搭載するなど、走りの質にもこだわっています。

 トヨタも12代目を「ゼロ・クラウン」と呼称し、新たなスタートを切ったことをアピールしました。この変革はひとつの賭けでしたが、市場では好意的に受け取られたことで、以降のクラウンはスポーティなフォルムを継承しています。

●2018年発売 15代目クラウン

 2018年にデビューした15代目クラウンは、トヨタ初のコネクテッドカーとして、先進装備の充実が一気に加速したモデルです。

 装備が進化する一方で、ボディサイズは全長4910mm×全幅1800mm×全高1455mmと、昨今大型化が進んでいる国産車のなかで全幅は1800mmを超えず、日本の道路環境に根ざしたクルマとなっています。

 また、ドイツのサーキット「ニュルブルクリンク」で走行テストを重ねたことで、走りの質は歴代最高といわれています。

 15代目クラウンは外観も新たな試みがおこなわれ、フロントグリルは先代のイメージを踏襲していますが、サイドビューではクラウン史上初となる6ライトウインドウを採用。これは、前後ドアの窓に加えCピラー部にも窓を設置し、左右で6枚の窓があるということを意味します。

 このデザイン変更の結果、全体のフォルムはクーペセダンとなり、よりスポーティな印象で若返りを図っています。

 パワーユニットは、システム出力359馬力の3.5リッターV型6気筒エンジン+モーター、226馬力の2.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッド2種類と、245馬力の2リッター直列4気筒ターボエンジンをラインナップ。

 2020年11月2日は一部改良がおこなわれ、装備の充実と安全性が向上し、内外装の質感も高められています。

※ ※ ※

 クラウン生産終了の報道はあくまでもセダンのことであり、2022年にはSUVテイストの新型モデルとして生まれ変わるとされています。

 現在のセダン人気の低迷と、SUV人気の高まりから、ありえない話ではありません。また、SUVテイストならば海外展開も可能でしょう。

 しかし、クラウンという存在は単なるトヨタの高級車というだけでなく、いまでは日本製セダンの代表格で、クラウンを指名買いする個人・法人は数多く存在するため、トヨタの動向に注目が集まりそうです。

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みんなのコメント

5件
  • クラウンの流れを変えた戦犯は、2003年発売 12代目クラウンだろう。
    アスリートという方向性が受けたことにより勘違いが始まり、クラウンをどんどんスポーツ路線に向けていった。
    本来クラウンは、8代目のような堂々とした風貌のロイヤルの路線で他を圧倒する車であるべきだった。
  • 新型クラウン、ユーザーの若返りを意識して、クーペデザインを選択したのかもしれないが、ドイツ車のクーペセダンのデザインには、残念及ばなかった・・。今、オートバイは世界中でネオクラシックが大流行中です、bmwは1800ccで水平対向エンジンでネオクラシックデザインを発売、クラウンもユーザーの若返りを模索するなら、いっそネオクラシックな、空気抵抗係数cdを気にしないでも走行音が環境基準に適合する、デザインに挑戦してほしかった。
    昭和回顧が車にも来ているようですよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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