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ホンダ雪上試乗 3つの四駆システムを使い走りにこだわるホンダらしさを体感

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ホンダ雪上試乗 3つの四駆システムを使い走りにこだわるホンダらしさを体感

2月下旬、北海道・鷹栖町にあるホンダのテストコースで開催された雪上テストドライブイベントに参加した。4WDモデルを中心に、ほぼフルラインナップに近い数のクルマに試乗することができた。ホンダは3種類の「4WD」を持つ。スモールカーや軽自動車向けには、デイリーユース用の「ビスカスカップリング式4WD」、中型車やSUV、ミニバン向けにはバランスの良い「リアルタイムAWD」、そして、スーパースポーツ、大型セダンには「スポーツハイブリッド SH-AWD」が搭載される。<レポート:佐藤久実/Kumi Sato>

ここでお気づきの方もいるかもしれないが、システムによって「4WD(4ホイールドライブ)」と「AWD(オールホイールドライブ)」の表記がある。これ、世間的にはイコールである。が、何とホンダは使い分けているとのこと。ちなみに、電子制御なしが「4WD」、電子制御ありが「AWD」なのだそう。あくまで”ホンダ独自の解釈”だが、技術者のこだわりが感じられてホンダらしい。

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■FFのN-BOXの秀逸さを実感

まずはコンパクト。クルマが小さいから4WDシステムも軽量・コンパクトでなくてはならない。つまり、構造もシンプル。でも走破性は確保しなければならないので難しい。

軽自動車「N-BOX」だが、こちらはFFと4WDの乗り比べができた。まずは4WDに試乗。コース幅も狭く、見通しも悪いため、せいぜい50~60Km/h程度のスピード。つまり、街中走行と同じような条件だ。基本、圧雪だが、場所によってはアイスやシャーベットもあるコンディション。ここをN-BOXはトコトコと安定して走る。正直、”楽しさ”はあまりないが、安心感は絶大で、まさにデイーリーユースに相応しい性能と言える。

まあ、乗り比べれば4WDの有り難さが実感できるだろう、とFFを試すが、これが意外と良く走る! むしろ、コーナーのターンインはFFの方が曲がりやすいくらいだ。そして、安定性も高い。皮肉にも、N-BOXはFFの秀逸さをアピールすることとなった。いや、駆動方式云々と言うより、このクルマ、ドライのアスファルト路面で乗った時も印象は良かったが、軽自動車でありながら妥協なく作られているということが改めて実感できた。

そして、4WDの名誉のために言っておくと、凍結路面や登坂路においてはもちろん4WDの優位性があるので、降雪地帯の生活4WDとしてはより存在感が増すであろう。

■時期型CR-Vは安定志向の制御

次に中型車クラスに搭載される「リアルタイムAWD」。このシステムはヴェゼルから新しい制御が採用された。コーナー手前の減速時にはFFとし、トレース性を向上している。つまり、ひと昔前の4WDに見られがちだった”曲がらない”を解消しているのだ。そして、その後は最適な前後駆動力配分で安定性を保ちながら旋回~加速をする。

この「最適」な駆動力配分を、従来はアクセル開度や使用ギヤをもとに決定。そして、車輪速や前後/横Gからクルマの状態を推測し補正を行なう「フィードフォワード制御」だったが、今回から、車輪速や舵角、前後/横Gから車両状態を判断し、挙動を安定化する「フィードバック制御」も加わった。これにより、ハンドリングと走破性、そして燃費をバランスさせたAWDとした。

さて、このシステムを搭載するヴェゼルに乗った。コーナー進入からミドルくらいまでは制御されている感もなく、アクセルを開けて加速していく際に安定させつつトラクションがかかるように制御が入る。トレース性も高く、コンパクトSUVらしい軽快な走りが気持ち良い。

次に、次期型CR-Vに乗った。興味深かったのは、この2台、ハードウェアは同じだが制御が異なるため、走行フィールもかなり異なる。CR-Vは、コーナー進入でステア操作し、ヨーが出かかったあたりで既に制御が介入する。結果として、アンダーステア傾向が強い。

ドライバーとしては、もう少し向きが変わってからの介入でも良いのでは、とも思ってしまう。が、ヴェゼルより背が高く重量もあるため、滑り出してから安定化させるというより、滑らせない安定志向を重視しているのだろう。それにしても、制御次第でこんなにも走行フィールが違うのね~というのを改めて実感した。

■SH-AWD

そして、最後は「SH-AWD」。ホンダのフラッグシップモデルであり、”3モーターハイブリッド”のスーパースポーツ、NSXとラグジュアリーサルーン、レジェンドに搭載される。今回、残念ながらNSXの試乗車はなく、(雪で乗ってみたかった・・・)レジェンドが用意されていた。

すでにご紹介した2つの四輪駆動は、前後のトルク配分をどうコントロールするか、というものだが、SH-AWDは、左右輪のトルクを配分する「ヨーコントロール技術」が加わる。減速時には回生ブレーキによる左右分配、そしてコーナリングや加速時もリヤに搭載される2つのモーターにより左右配分を行なう。

レジェンドもマイナーモデルチェンジされたため、新旧モデルの比較試乗ができた。旧型は積極的にヨーを発生させる制御となっていたこともあり、旋回性能が高い。雪道でも、「よく曲がる」という印象が強く、VSAの介入もさほど頻繁ではない。一方、新型は、リヤの駆動力配分を高め、旋回加速性能を向上させる制御とした。

確かに、コーナリング中にアクセルを開けていってもトラクションがかかり、「曲がりながら前に進んでくれる」。積極的にアクセルを踏めるせいか、VSAの介入は旧型よりも早い。電動パワーステアリングの変更により接地感も上がり、μの低いスノー&アイスでもしっかりと路面からの手応えが感じられた。

リヤシートでの比較試乗もしたが、ここではAWDのみならず快適性の違いも明らかだった。新型はボディに接着剤を使用することで、剛性値はほとんど変わらないが、入力の伝達が早くなったとのこと。フィーリング的にはボディ剛性が高まったような感覚だ。そして、スプリングレートは高められているそうだが、むしろしなやかな乗り心地に感じた。さらに、同じエンジンとは思えないほど、旧型のザラついたサウンドに対して新型は滑らかで気持ち良く回転が上昇し、静粛性も高い。クルマ全体的に質感が高められているのが確認できた。

■ホンダらしさを感じるクルマ造り

それにしても、トップエンドのサルーンに、安定志向ではなくハイパフォーマンス志向のAWDを採用するとは、いかにもホンダらしい。そして、3種類のAWDはいずれも自社開発しているそうだ。モデルによって異なる狙いに細かく、自由度を持って設定するためだ。こんなところにもこだわりを感じる。

いっとき、”軽自動車とミニバンのホンダ”というイメージが強くなり、実用的だけどつまらない、と思っていたが、最近はスポーツモデルも増えつつあり、今回、雪上で様々なモデルに試乗することで、どんなボディタイプやセグメントであっても「やっぱり”走り”にこだわってるんだ」と認識でき、嬉しい試乗だった。

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