イタリアの“国民車”として愛される『フィアット500』の3代目モデルがワールドプレミアされ、ついに電気自動車へと生まれ変わった。より広いスペース、より高度なテクノロジー、新しいスタイルを採用しながらも500(チンクエチェント)らしさを保持しつつ、レベル2の部分自動運転やWLTPサイクルで最大320kmの航続距離を実現している。
3月3日に世界初公開となったFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)初のEVモデルは、2007年登場の第2世代を踏襲した愛らしいルックスを維持しながら、その中身は完全に未来志向の電動モビリティへと刷新された。
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このフルEV『フィアット500』用に仕立てられた新型プラットフォームは、先代比で全長と全幅が6cm拡大され、ホイールベースも2cm延長。ホイールハウスの拡大でより大径タイヤの装着が可能になり力強いアピアランスとされたほか、モジュラー設計を採用した楕円形ヘッドライトはボンネット部分に「まつ毛」として分割され、より魅力的な表情を作り出している。
また、完全にフラットになり電気的にロックを解除する機構を備えたドアハンドルを引けば、幅広くスレンダーなダッシュボードを中心に、かつてのシフトレバー位置にはモジュラー式の収納スペースが備わるなど、各要素を効率的に配置。
ショルダールームやレッグスペースは拡大され、バッテリーをフロアに敷き詰めることでラゲッジの容量にも影響を及ぼさない優れたパッケージングを実現するなど、先代の“C”に相当するコンバーチブル・バージョンのみのボディ形状と相まって、視覚的な開放感も備えた。
一方のパフォーマンス面では搭載するモーターの出力は87kWとされ、最高時速は150km/h(電子リミッター作動)、0~100km/h 加速は9.0秒で、0~50km/h加速は3.1秒とEVシティコミューターらしく俊敏な性格を狙ったもの。
EVのキーテクノロジーであるリチウムイオンバッテリーは床下に搭載され、そのサイズは42kWhと車格に対してかなりの大容量を確保。充電を最適化するために85kWの急速充電システムにも対応し、日常の行動範囲をカバーする50km圏内を走行するために必要な電力をわずか5分間で充電でき、急速充電器を使えばわずか35分でバッテリー容量の80%まで給電することが可能となっている。
この急速充電器への接続は、車体の右側後部パネルに設置されたコンボ2ソケットを使用し、AC(交流)およびDC(直流)のどちらにも対応可能(欧州仕様参考)とした。
これらの電力をスマートに使用するべく、新型『フィアット500』には3つのドライビングモードも備えられ、ドライバーの好みに合わせてNormal(ノーマル)、Range(レンジ)、Sherpa(シェルパ)から選択することが可能に。
電力消費量を最適化するシェルパ・モードでは、複数の車両コンポーネントを制御して電力消費量を最小限に抑え、ナビゲーションシステムで設定した目的地か、もっとも近い充電ステーションへ確実に到達するようアシスト。最高速度を80km/hに抑え、アクセルレスポンスを調整し、空調コントロールシステムやシートヒーターなども基本をオフ設定(常時オンに変更可能)とするなど、徹底してエネルギー消費量を抑制する。
一方のレンジ・モードは、ほぼアクセルペダルの操作だけでクルマを走らせるワンペダルドライブが可能で、ペダルを足から離すだけでブレーキ制動時のような、通常の内燃エンジンが生み出すエンジンブレーキよりもはるかに強力な制動力が発生。そしてノーマル・モードでは内燃エンジン搭載車にできる限り近づけた設定となり、これまでの『フィアット500』から乗り換えても違和感のないフィーリングが味わえる。
さらに検出されたクルマ、自転車、歩行者などに対応してアクセルやブレーキを操作するインテリジェント・アダプティブクルーズコントロール(iACC)や、レーンセンタリング、速度制限を検出するインテリジェント・スピードアシストやアーバン・ブラインドスポットなど、セグメントで初めてレベル2の自動運転を実現。
インフォテインメント機能でもAndroid Automotiveを採用した接続プラットフォームである“UConnect 5”を初搭載するなど、コネクティビティでも大きな進化を果たしている。
すでに本国では3月4日からローンチ仕様である“La Prima(ラ・プリマ)”のWEB予約受注が開始され、フルLEDヘッドライト、エコレザーシート、17インチのダイアモンドカット・ホイール、ウィンドウとサイドパネルに設置されるクローム仕上げインサートなどを装備。
さらにジョルジオ・アルマーニ、ブルガリ、カルテルといったイタリアを代表するブランドによるコラボレーションモデルもワンオフで製作され、この3台の全収益は地球環境と生物の多様性を守るべく、レオナルド・ディカプリオが設立したNPOであるEarth Allianceに寄付されるという。なお日本への導入も詳細が確定次第、アナウンスされる。
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