コレクターズアイテムとなること間違いなし
2023年8月のアメリカ モントレーカーウィークの中で開催されているモータースポーツ・ギャザリングに、マセラティが1台のサーキット走行専用モデルを持ち込みワールドプレミアを行った。それがここで紹介する「MCXtrema」だ。
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62台限定で生産されるもすでに完売
マセラティのカスタマーやファンにとっては、その車名の冒頭に示されるMCの頭文字がMC=マセラティ・コルセであることは周知のとおり。それに続くXtremaは極限であるとか過激なといった意味を持つイタリア語であるから、このネーミングだけでも今回発表されたMCXtremaがどのような性格を持つモデルであるのかは容易に想像できるところだろう。2004年に発表された「MC12」、また最近の作では「MC20」という前例があることを考えれば、その方向性はさらに明らかになる。
MCXtremaは、マセラティのレース部門であるマセラティ・コルセが開発を主導したサーキット走行専用車であり、62台が限定生産される計画となっているが、そのすべてはすでにカスタマーが決定しているという、この種の限定車では聞き慣れた発表があった。だがそれは、見るだけでもきわめてエクスクルーシブで妥協のないパフォーマンスを想像させる1台。さっそくその概要に迫ろう。
MCXtremaのデザインは、まさにレーシングカーそのものといった印象だ。いやレギュレーションによるさまざまな規定による制限をうけないため、さらに高性能なボディといえるのかもしれない。
マセラティのチェントロ・スティーレはたゆまぬ努力を続けた結果、最小限の車高とフルフラットのアンダーフロア、フロントスプリッター、リアウイング、シャークフィン、そして彫刻的ともいえるリアデフューザーの造形を得た。
ボディ素材はもちろんフルコンポジット。アンダーフロアはカーボンファイバーでフルクローズされており、リアウイングは3段階に角度を調整することができる。ウインドシールドとサイドウインドウはポリカーボネイト製だ。ルーフに脱出用のハッチが設けられているのは、FIAのレギュレーションにより、ドライバーの安全確保のために配慮された結果となる。基本構造体はもちろんカーボンモノコックで、車重はMC20より大柄なボディでありながら約1300kgしかない。
エアコンも標準装備
コクピットのフィニッシュからも、ワイルドなレーシングプレジャーが強く感じられる。MCXtremaをより速く走らせるために特化した機能的なデザインは、独特な美を生み出すことに成功し、6点式ベルトとロールケージを備えたシングルシートには最高水準の安全性が確保されている。
フロントとセンターには5インチのセンターディスプレイを操作するスイッチがレイアウトされ、操作には最も素早く簡単にアクセスできる仕組みだ。シートは4点の固定式となり、したがってポジションはペダルボックスとステアリングで調節することになる。エアコンの標準装備もカスタマーには歓迎すべきところか。
ミッドに搭載されるエンジンは、MC20の副燃焼室構造を持つネットゥーノ・エンジンをベースとした、2992ccのV型6気筒ツインターボ。最高出力は740ps、最大トルクは730Nmと発表されており、これにパドルシフト付きの6速のシーケンシャル・ギアボックスを組み合わせる。
V6エンジンのドライサンプシステムやヒートエクスチェンジャーやコントロールユニット、吸排気システム、レーシングクラッチ、エグゾーストシステムなどは、すべてこのMCXtremaのために新開発されたもの。もちろんサスペンションもこのチューニングアップに対応して、前後のダブルウィッシュボーン・サスペンション、アジャスタブル・アンチロールバーのセッティング等が見直されている。ホイールはセンターロック方式となり、レーシングスリックとウエットタイヤが新車時には供給されるが、そのサイズなどの詳細は現在の段階では不明だ。
わずかに62名という数のカスタマーのために製作されるMCXtrema。それが将来貴重なコレクターズアイテムとなることは、間違いのないところだろう。
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