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巨額の資金調達計画 アストン マーティン 電動スポーツカー開発と負債返済に

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巨額の資金調達計画 アストン マーティン 電動スポーツカー開発と負債返済に

メルセデスなどが増資 大規模な資金調達

英国の自動車メーカー、アストン マーティンは、抱える負債の削減と、長期的な事業戦略のために、6億5300万ポンド(約1070億円)の資金調達計画を発表した。

【画像】負債解消と電動モデル開発を急ぐスポーツカーブランド【アストン マーティンのラインナップを写真で見る】 全112枚

このうち、サウジアラビア公共投資ファンド(PIF)が7800万ポンドを出資し、株式の16.7%と非常勤取締役2席を獲得する。PIFはすでにマクラーレンやルーシッドの株主でもある。残る5億7500万ポンドは、今秋に予定されている株主割当増資によって調達する計画だ。

「本日の発表は、わたし達が受け継いだ事業とバランスシートの回復であり、長期的な成長の加速を示すもの」と、アストン マーティンのローレンス・ストロール会長は述べている。

「全体として、これはアストン マーティンにとって画期的な出来事であり、当社の戦略計画を助け、長期的な成長力を加速させるものです。当社のバランスシート、流動性、キャッシュフローを変革し、持続的にフリーキャッシュフローをプラスにし、大きな株主価値を創出する道筋をより明確にします」

ストロール会長の別の投資会社であるYew Tree、メルセデス・ベンツ、サウジアラビアのPIFは、合計で約3億3500万ポンドをアストン マーティンに投資すると言われており、さらに3億1800万ポンドが株式公開を通じて調達されるという。

新株発行による株式の希薄化により、Yew Treeの保有比率は22%から18.3%に低下する。しかし、同社は1億530万ポンド分を追加購入し、持ち株比率を再び高めるとしている。

同様に、メルセデスの保有比率は11.7%から9.7%に低下する。しかし、さらに5600万ポンドを投資し、再び比率を高める予定だ。

アストン マーティンが発表した売買計画明細書では、2025年に発売予定の同社初のEV(電気自動車)には、メルセデスのプラットフォームと技術が使用される可能性が高いこと、そして2030年までに主力車の全電動化に向け、メルセデスとのパートナーシップからさらなるEVが生まれる可能性があることも確認されている。

また、中国の自動車メーカーであるジーリー(吉利)を所有する投資会社、インベストインダストリアル・グループ傘下のアトラス・コンソーシアムというグループからの投資を拒否したことも明らかになった。同グループの投資提案は合計13億ポンドにも上り、アストン マーティンの取締役会では「当社の新たな自己資本要件を著しく過大評価しており、既存株主にとって大きな希薄化要因となり、多くの実行障害を含む」として、全会一致で否決された。

ラインナップ拡大と新型EV開発へ

アストン マーティンは、調達した資金で、2024/25年までに販売台数1万台、売上高20億ポンド(約3280億円)の目標達成を目指すとしている。2022年上半期の販売台数は2676台で、昨年の2901台から減少した。今年は通年で6600台以上を達成するとの見通しを示している。

調達した資金は、3月時点で9億5700万ポンド(約1600億円)とされる負債の返済、および新モデルとパワートレイン技術の開発に充てられるという。同社は、今回の声明の中で、ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナウィルスによるロックダウン、サプライチェーンと物流の混乱など、「厳しい経営環境」が続いていると述べた。

同時に、今後のモデル開発と、その結果予想される財務への好影響についても言及している。次世代スポーツカーとDBXの販売拡大、ヴァルハラをはじめとするミドエンジン車の開発、そしてグランドツアラーやSUV向けのEVプラットフォームが見通しに含まれている。同社初のEVは2025年に発売され、2030年までにすべての主力車種が完全電動化される予定だ。

今年初め、アストン マーティンは、トビアス・モアーズCEOの後任として、フェラーリ出身のアメデオ・フェリーサを迎えた。CEOの交代は、ローレンス・ストロールが2020年1月に同社を買収し会長に就任して以来、3回目となる。

1913年に設立されたアストン マーティンは、これまで何度も倒産や経営危機を乗り越えてきた。

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