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日本のトップ企業が水素ステーション推進会社を設立。そこには日本の焦りもある

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日本のトップ企業が水素ステーション推進会社を設立。そこには日本の焦りもある

■4年間で80箇所の水素スタンドを建設予定

3月5日、「日本水素ステーション合同株式会社」こと「JHyM(ジェイハイム)」が設立されました。同社は簡単に言うと“水素ステーション”の建設を日本で加速させるための合同会社。経産省による旗振りの下、トヨタ、ホンダ、日産の自動車メーカーと、インフラ事業者(ガス、石油などのエネルギー企業)、トヨタ通商や日本政策投資銀行が参加します。日本の国策でもある水素事業を本気で普及させます! というわけですね。

水素ステーションは燃料電池車(以下FCV)が水素をチャージするためのガソリンスタンド的な施設で、現在日本で101箇所のステーションが稼働中。政府は2020年に160箇所、2025年に320箇所に増やす計画です。全国にガソリンスタンドが3万箇所以上(2016年度末)あることを思うとぜんぜん足りない雰囲気ですが、1スタンドあたりの建設費用が4~5億円とガソリンスタンドの8000万~1億円前後に比べ非常に高いこと、利用者が少ないことが普及のネックになっています。

ジェイハイムは事業期間を10年(2018~2027年度)と想定。まず最初の4年で、新たに80箇所のスタンドを整備します。スタンド建設コストの約半分を国の補助で負担するこれまでの政策にプラスして、残りコストの10~20%にジェイハイムを通して世界で初めて投資家の資金を活用。スタンド事業者の参入ハードルを下げるほか、ジェイハイムを通して自動車メーカーが事業者にスタンドの運営業務を委託することでも、スタンド運営の自立を支援。また、トヨタなど日本を代表する企業の参加によって、投資家からの信用度も高まるとしています。

■世界をリードしてきた日本の水素に赤信号が点る

エネルギー自給率が低く(8.4%)、化石(石油)エネルギー依存度が高い日本にとって(化石エネ88.8%、うち石油39%、石炭と天然ガスが約25%)、石油依存度を下げ、電気自動車などの代替エネルギーを模索するのは悲願。中でも水素は、FCV開発などで日本が世界をリードしてきた分野だけに、安倍首相自らが指示を出した肝いりの戦略です。とはいえ前出の通り、例えば2025年で水素スタンドの目標数は320箇所に留まるなど、経済産業省の「水素基本戦略」を見ても、及び腰な印象もぬぐえません。※水素基本戦略 
http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171226002/20171226002-1.pdf

電気自動車と違って航続距離やチャージ時間で有利で、余剰電力で水を電気分解して作ることができ、電気と違って貯蔵することも容易な水素エネルギーは、エネルギー自給ができない日本にとって確かに有望な選択肢です。しかし、すでに2025年のスタンド数の展開計画では中国やドイツが上回るなど、以前のリードは怪しいものになってしまいました。そしてもちろん、スタンド数だけ頑張っても普及は見込めず、今後は高止まりしている水素の製造コスト自体を大幅に下げる努力も必要になるでしょう。

まずはスタンド数を増やして普及に勢いを付けたい日本。インフラ戦略が苦手と言われる日本ですが、エネルギー安全保障は現実的なロードマップのもと、着実に推し進めていただきたいところです。

写真1枚目:日本水素ステーションネットワーク合同会社(ジェイハイム)・菅原英喜社長
写真2枚目:トヨタ、日産、ホンダ、JXTGエネルギー、出光興産、岩谷産業、東京ガス、東邦ガス、日本エア・リキード、豊田通商、日本政策投資銀行の11社が設立に参加。

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