世界耐久選手権の頂点を目指す!
●文:ヤングマシン編集部(佐藤寿宏) ●外部リンク:トリックスターレーシング
鈴鹿8耐、EVA RT 01 Webike TRICKSTAR Kawasakiはマシントラブルから41位・141周で終える
Team Webike SRC Kawasaki France の後継チームとしてフル参戦!
あっと言う間に1月も終わり2月に入ったところで日本のレース界にとって、うれしいニュースが入ってきました。ヤングマシンでもおなじみ鶴田竜二氏率いるトリックスターがFIM世界耐久選手権(EWC)に新体制でチャレンジすることが2月3日(金)に発表されました。ここに渡辺一樹が加わり、久しぶりにカワサキのマシンをライディングすることになりました。
―― 渡辺一樹は、元MotoGPライダーのランディ・ドゥ・プニエとクリストフ・ポンソンと組む。
トリックスターは、2013年にル・マン24時間耐久に初挑戦し9位でゴール。エヴァンゲリオンとコラボレーションし、2017年のボルドール24時間耐久では出口修・井筒仁康・エルワン・ニゴンのトリオで3位表彰台に上がる検討を見せました。その後、カワサキのエースチームであったTeam Webike SRC Kawasaki Franceのサポートを行っていましたが、昨年中旬にジル・スタフラ監督が引退、チーム撤退を突然表明したため、鶴田氏が、その跡を受け継いで「Team Kawasaki Webike Trickstar」として2023年シーズンからEWCシリーズにフル参戦します。
「これまでKawasakiブランドを背負い世界耐久選手権に参戦してきたTeam SRC監督ジル・スタフラ氏が2022年をもって引退する事となり、新たに2023年から私がそのチームを引き継ぐ事になりました。 それに伴い新たにフランスに株式会社リバークレインと株式会社モトハウスが共同でチームを立ち上げ私、 鶴田竜二が代表兼監督として チームをまとめ今後のEWC 世界耐久選手権シリーズにタイトル獲得を使命とし長期的にフル参戦して行く事となりました」
―― 思ってもいない形で新体制を指揮してEWCの頂点を目指すことになった鶴田代表兼監督(左)。ジル監督(右)からのバトンを受け取る。
「昨年中旬にジル監督の突然の引退表明を聞き私はとても驚き、 次の瞬間にこれまで一緒に戦ってきたチームはどうなってしまうのか? なんとかカワサキの強いEWC チームを存続させる為、 ジル監督はじめチームスタッフ、 ディスカバリーチャンネル役員フランソワ・リベイロ氏や Kawasaki France様、Kawasaki Europe様、 株式会社カワサキモータースジャパン様のご支援とご協力を受け、 これまで私達をサポートしてくれたWebike 代表の信濃孝喜氏と一緒に今回のプロジェクトをスタートさせる事になりました。 ライダーにはランディ・ドゥ・プニエをはじめとした経験豊富な選手を起用しマシンは Kawasaki Ninja ZX-10RRを用い、 新生チームですが初年度からタイトル を目指して戦って参ります。 私達Team Kawasaki Webike Trickstarはタイトルを目指すのはもちろんの事、 この機会を与えていただいた事に感謝すると共に EWC をはじめモーター スポーツをより盛り上げていけるよう取り組んで参ります」
「TRICKSTARレーシングが2013年ル・マン 24 時間耐久レースに世界一を目指し挑みはじめてから10 年が経ちました。 これまで栄光と挫折を繰り返す日々を送ってきましたが、 振り返れば失敗の方が明らかに多かったと思います。 ただその失敗を繰り返し、立ち上がる事で我々は強くなり成長してきていると感じています。 今後も EWC に参戦する事で成長し、もっともっと強くなり勝ち続けたいと願っております。 こうしたチャレンジの場を与えていただいた EWC、 カワサキ、 Webike をはじめ 各スポンサー様、 各ご関係者様にこの場を借りて心より感謝をお伝え申し上げます。 私達の今後の取り組みを通してヨーロッパや日本、 アジア、 そして今後世界中に耐久 ロードレースの素晴らしさが伝わり、 発展していく事を切に願っております」と鶴田氏は熱く語っています。
本拠地はフランスに
―― 昨年の鈴鹿8耐を走る#11 Team Webike SRC Kawasaki France。カワサキのトップチームとして参戦していた。
ベースは、SRCの本拠地があるフランス・ブリニョールに置き、マシンも昨年使用したKawasaki Ninja ZX-10RRを走らせますが、タイヤがダンロップからブリヂストンとなるのが、大きな変更と言えます。この辺を、うまくまとめるのが、このチームに加入した渡辺一樹の仕事になるでしょう。
「まだプロジェクト自体、始まっていないので分からない部分が多いですが、作業をやりながら進めていく感じになるでしょう。世界タイトルを獲得したチームに在籍してマシン開発をした実績はあるので、その経験を生かしながら、車両に対してみんなが求めていることをまとめて、24時間楽に走れるマシンを作って、タイトルを獲得するために何が必要なのかをチームと共有していきたいですね」と渡辺。
ライダーは、元MotoGPライダーのドゥ・プニエとクリストフ・ポンソンという2人のフランス人ライダーと渡辺の3人。ポンソンは2018年にMotoGPに代役出場した際、物議を醸し出し4戦契約したが1戦のみの参戦となった苦い経験を持つ。その後、スペインスーパーバイクで活躍し、昨年はスーパーバイク世界選手権に参戦。EWCは初参戦となります。テクニカルマネージャーは、Team SRCのトーマス・ブディンが務め、中山圭介氏がサブマネージャーに就任。Team SRCが長年使用してきたゼッケン11で世界チャンピオンを狙います。
渡辺を始め、渥美心、石塚健がEWCにフルエントリー。TONE RT SYNCEDGE 4413 BMWは、今年もボルドール24時間耐久に参戦することを表明しています。日本からEWCへ。コロナ禍で一時、途切れていた流れが再び動き出してきました。鈴鹿8耐も今から楽しみですね。
以下チームリリースより。
ランディー ドゥ プニエのコメント
「まず最初に今年もカワサキで戦えることをとても誇りに思いますし、このような機会を与えて頂いたことを心から嬉しく思っています。自分はMotoGP、EWCとカワサキマシンを長く駆ってきているので、昨年末でSRCがEWCチームを解散というニュースを聞いた時には大きなショックを受けましたが、そのプロシジェクトが鶴田氏により引き継がれ、このように素晴らしいチームとして生まれ変わり、新たなチャレンジの場を頂けたことに本当に感謝しています。年齢的にももしかしたらこのチームでのチャレンジが自分のキャリアにおいて最後のチャレンジになるかもしれないので、各レースでの優勝、そしてEWC世界チャンピオン獲得への思いは人一倍だと自負しています。
新生チームでありながら、前監督が残した軌跡をしっかりと引き継ぎ、 同じ方向性、同じ目標を継続しながら新たな物を取り入れ、 さらに今まで同様にカワサキヨーロッパ、カワサキ本社からの承認を受けてチャンピオンシップを戦えることは勝つための要素として非常に大切な部分であり、我々チームはその必要な要素を全て持つことができたとても戦闘力の高いチームだと思っています。 開幕戦までまだ少し時間はありますが、今からルマン24時間レースが楽しみでなりません」
渡辺 一樹のコメント
「新生チームKawasaki Webike Trickstarに加入することが決まりシーズンに向けてとてもワクワクした気持ちでいます。
2023シーズンこのチームのレギュラーライダーとして、高い実力と経験を持った仲間たちとともに、新たなチャレンジに挑戦します。鶴田竜二監督と共に新たなチーム。そしてその新たな挑戦を共に戦うライダーとして選んでくれたことを光栄に思います。
久しぶりに乗る「Kawasaki Ninja ZX-10RR」でTeam SRCが長年使用した「11」のゼッケンナンバーで勝利を目指し、チームには、MotoGPの経験を持つランディー・ドゥ・プニエを筆頭に、クリストフ・ポンソンなど実力と経験に優れた2人と戦います。
自分のこれまでの経験を活かし世界タイトルを獲る強いチームとして一緒に成長し、見てくださる観客の皆さんと感動を共有し楽しんでもらえるレースをしたいと思います。応援よろしくお願いいたします」
クリストフ ポンソンのコメント
「まずEWC選手権でオフィシャルバイクを駆ってチャンピオンシップを戦えるというこの素晴らしいチャンスを与えて下さった鶴田監督とカワサキに心 から感謝しています。
自分はフランス人なのでフランスのモータースポーツとして歴史があり人気も高い24時間耐久レースの映像を幼少期からずっと観てきて憧れを抱いていたため、そこに自分自身が参戦できることはまさに大きな夢が叶った思いで、本当に嬉しく思っています。カワサキとチームのために自身のベストを尽くして良い結果を得るために最大限尽力するつもりですし、レースが今から楽しみで仕方ありません。
世界耐久戦には初チャレンジとなり、学ぶことも多いと思いますが、ランディ選手、渡辺選手という経験を積んだふたりのチームメイトから事前テストでできるだけ多くのアドバイスを享受し、決勝でベストなパフォーマンスを出すことができるようしっかりと準備をしていくつもりです。今回チームメイトとして一緒に戦えるランディは 自分にとってフランス人MotoGPライダーとして幼少期のヒーローでもあり、現在は良き友人として共にトレーニングしたりライディングに関するアドバイスを受けたりしているので、彼と同じチームで戦えることは感慨深く特別な思いでもあります。この感謝の気持ちを、 チーム加入へのご協力を頂いた全ての皆様に結果でお返しすることができるよう全力で挑んでいきます」
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