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見た目は旧式 中身は最新! EVなら悪路が簡単になる MWモーターズ・スパルタンへ試乗 

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見た目は旧式 中身は最新! EVなら悪路が簡単になる MWモーターズ・スパルタンへ試乗 

ベース車両は旧ソ連のUAZハンター

バッテリーEVの時代を迎え、新しい自動車メーカーが次々と誕生している。欧州でも。ある日突然、ニューモデルが告知され、CEOのインタビューが報道される。ところがその後、音沙汰がなくなることも珍しくない。

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チェコのMWモーターズは、違うようだ。プレスリリース前に技術開発を終えており、筆者は試作車への試乗が許された。

MWモーターズの設立は、2017年。MWは、アイルランドの物流業界で成功を掴んだ、モーリス・ウォード氏のイニシャルだという。環境保護に関心を寄せる彼が、独自のバッテリーEVを作ろうというアイデアを牽引している。

ただし、シャシーとボディの設計は非現実的だとも認識していた。実績があり安価なベース車両が探され、ウォードのお眼鏡に適ったのが、1971年に旧ソ連で生産が始まった四輪駆動車。UAZ(ワズ) 469、別名ハンターだった。

MWモーターズの技術者は、古いエンジンとトランスミッションを降ろし、独自の電動パワートレインと四輪駆動システムへ置換。制御用ソフトウエアを実装し、スパルタン EV2.0が誕生した。

この開発へ至った理由を、ゼネラルマネージャーのルカシュ・メテルカ氏へ尋ねる。「ニッチ市場の存在を理解していました。規模は数千台で、大手の自動車メーカーには小さすぎますが、われわれのようなメーカーには充分です」

「電動の四輪駆動車は、現在ほぼ選択肢がありません。EUでは、2035年から内燃エンジン車が販売できなくなります。開拓者になることで、アドバンテージを得られると考えました」

新しくない見た目の、最新電動オフローダー

実際、多くの企業は環境意識を高めている。理想的なモデルが登場すれば、多くの支持を集めることは想像に難くない。

「スパルタン EV2.0には賛否両論ありますが、自分は気に入っています」。と話すのは、英国で自然保護区の管理者を務めるブラッドリー・ブラウン氏だ。

豊かな自然が広がるイングランドの保護区では、チェーンソーなどを携えて奥地へ立ち入る機会が珍しくない。彼のグループは、ランドローバー・ディフェンダーの代わりとして、現場で能力を1年半も検証してきた。

「かなり良いクルマです。特に、余裕ある最低地上高が良いですね。荷物を積んだ、トレーラーの牽引も簡単。最近になって、オールテレーンタイヤへ履き替えましたが、走りに大きな違いが生まれましたよ」

「航続距離は257kmと不満なし。ヒーターなどを使っても問題ありません。活動拠点の殆どが、12km前後の場所にあるため、1週間に1度も充電すればまかなえます」

エンジン・チェーンソーと、電動チェーンソーとの違いへ近いと、ブラウンは付け加える。能力で多少劣っても、9割の作業はむしろ簡単で快適。利用時は、環境への負荷も小さい。

ブラウンが、スパルタン EV2.0でぬかるんだ林間へ入っていく。新しくない見た目の、最新電動オフローダーが、泥と落ち葉が堆積した地面を進む。唯一の課題は、両足でブレーキペダルを踏む必要があったことだという。回生ブレーキも弱すぎたそうだ。

内装はオリジナルから一新 静かに悪路を進む

こんな現場からのフィードバックが、スパルタン EVを進化させた。英国での営業を統括する、ロシュ・メンディス氏が説明する。「屋外での仕事に従事し、道具を必要とする人のためのクルマです」

「実際に運転すれば、どんなオフローダーと比べても互角に悪路へ立ち向かえることへ、驚かれると思いますよ」。すごい自信ですね。と思わず口にしてしまった。「わたしたちは、必ず成し遂げます」。と、メテルカが横から加勢する。

どれどれと、スパルタン EV2.0の運転席へ座ってみる。広々とした車内は、オリジナルのハンターから一新。内装パネルなどは、堅牢なプラスティック製だが、シートは座り心地が良く、ステアリングコラムと同時に調整域が広い。

メーターパネルはモニター式。ダッシュボードには、小さめのインフォテインメント用タッチモニターも備わる。

運転席横のレバーを動かし、4WDロー・モードを選び、シフトレバーでDを選択。とても静かに発進する。ほかに、フロントとリアのデフロック用レバーも2本備わる。

同じ場所で、過去にトヨタ・ランドクルーザーを運転したことがある。4気筒ディーゼルエンジンは豪快にうなり、アンチロック・ブレーキはガツガツと振動したのを思い出す。

ワダチの深い急勾配で、ステアリングホイールがぐらつく。それでも、軽く回せ修正しやすい。今では回生ブレーキも強化され、ブレーキペダルを力いっぱい踏む必要もない。試作車ということで、ヒルディセント・コントロールが備わらず、少し滑るが。

話題性の高いモデルになる可能性

水たまりへ突っ込みながら、ランドローバーならどんな感じなのだろうと想像する。ホイールスピンしないよう、アクセルペダルを半分しか踏んでいないが、それで問題なく走る。木々を避けながら運転するだけで、過酷な状況を乗り越えられる。

メンディスは、さも当然という表情だ。「顧客向けのデモ走行を実施する度に、驚かれます。最初は緊張していましたが、凄く簡単ですね、という感想をいただきます。バッテリーEVなら、とても容易になるんです」

メテルカもうなずく。「多くの人は、四輪駆動車や悪路は難しいと考えています。このクルマなら、誰でも運転できるはずです」

それでは、現場へ往復する舗装路はどうなのだろう。「高級SUVをお考えなら、適したクルマではないでしょうね」。とメンディスは認める。

「そんなクルマではなく、機能的で実用的なものです。現代的な快適性は、備わっていますが」。主なライバル、マンローなどより、極端な内容ではないとも付け加える。

メテルカが続ける。「無骨な四輪駆動車以上の体験は提供します。悪路だけでなく、一般道でも本当に快適ですよ。舗装路での質感にも妥協はありません。高速道路を、他のクルマと遜色なく走れます。四輪駆動として、ユニークな強みだと思います」

最後の発言には、ディフェンダーやGクラスを提供する自動車メーカーが、きっと異議を唱えるだろう。しかし、彼の発言どおりだとしたら、スパルタン EV2.0はかなり話題性の高いモデルとなるに違いない。

MWモーターズ・スパルタン EV2.0(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万9995ポンド(約930万円)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:−秒
航続距離:240km以上
電費:4.0km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2350kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:57.4kWh(実容量)
急速充電能力:−kW(DC)
最高出力:176ps
最大トルク:109.4kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

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