2020年6月10日にダイハツタフトがデビューする。タフトは大ヒット車、ハスラーをターゲットにした後出し車といっていいだろう。しかし、どんな世界を見ても、大ヒット商品にフォロワーが出るのは世の常。
「いくらなんでもそのパクリはないだろ!」という意見がある一方で、後出しジャンケン商品が出ることで、その分野が活性化し、ユーザーとしてうれしい状態になったりもする。
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そこで、過去を振り返り、後出しジャンケンで先に出たクルマに勝ったクルマと、勝てなかったクルマを紹介していこう。
文/清水草一
写真/ベストカー編集部 トヨタ 日産 ホンダ スバル ダイハツ スズキ
【画像ギャラリー】どちらが勝ち? 先駆車と後出し車を写真でチェック!
先駆車:スバルレガシィツーリングワゴン(1989年)
■後出し車:日産アベニール(1990年)、トヨタカルディナ(1992年)
日本におけるステーションワゴンブームの先駆車、初代レガシィツーリングワゴン
レガシィツーリングワゴンを追撃すべく、日産が1990年に登場した初代アベニール。SR20DETT型2Lターボモデルもラインナップしたが惨敗
レガシィツーリングワゴンに対抗すべく送り込まれたカルディナ。写真は2代目のカルディナGT-T(1997年登場)で、セリカに搭載されていた3S-GTE型2Lターボエンジンを搭載
1989年、レガシィツーリングワゴンが登場すると突如として日本にワゴンブームが到来。
ボルボのワゴンとともに、ステーションワゴンはアクティブでオシャレなクルマとしてもてはやされるようになった。
当時、国産車のステーションワゴンにはマツダカペラカーゴくらいしか対抗馬はなかったが、1990年に日産アベニールが、1992年にトヨタカルディナ、1996年にステージアが登場し、ワゴン戦国時代に突入した。
しかし、アベニールやカルディナには商用車もあり、乗用車の設計に割り切れなかったこともあって、レガシィツーリングワゴンのホンモノ感への支持が徐々に高まりを見せ、最終的には後出しモデルたちをすべて追い落とすことになる。
21世紀に入ると、ワゴンブームは完全に終息。カペラワゴンが2002年、アベニールが2005年、カルディナとステージアが2007年に販売終了となったが、レガシィツーリングワゴンだけは命脈を保ち、現在のレガシィアウトバックやレヴォーグに受け継がれることとなった。
トヨタはレガシィに対して、苦虫を噛む思いを続けてきたが、ついに追い落とすことができなかった。
カリスマ的な人気を誇ったレガシィツーリングワゴンGT-Bに対して、カルディナは260psを発生する3S-GTE型2LターボのGT-TやGT-FOURを投入するも超えることはできなかった。
1993年に登場した2代目レガシィツーリングワゴン。GT-Bの5速MT仕様は自主規制枠となる280ps、4速AT仕様は260ps。どちらも足元にはビルシュタイン製ダンパーを採用していた
2002年に登場した3代目カルディナに設定されたGT-FOUR。MTがなく4速ATのみだったのが惜しいところ
★結果:先駆車レガシィの勝ち
先駆車:スズキワゴンR(1993年)
■後出し車:ダイハツムーヴ(1995年)
1993年に登場した初代ワゴンR。1996年夏に5ドアモデルを追加、誕生から3年で累計生産50万台の偉業を達成した
1995年に登場した初代ムーヴ。Aピラー下のキャラクターラインとハイマウントリアコンビネーションランプが大きな特徴。初期モデルはイタリアI.DE.A社エルコーレ・スパーダと共同作業
ワゴンRが登場したのは1993年。全長3400mm、全幅1480mmというサイズが厳しく制限されている軽自動車枠の中で、全高は2000mmと余裕があることに着目、セルボをベースに全高を 1640~1695mmと高く取り、フロアを二重構造にしてフラット化することで、広々とした居住空間を実現した。
当初スズキはニッチ商品のつもりだったが、広さに飢えていた軽ユーザーに大いに受けて大ヒットし、以後このタイプが軽のメインストリームとなった。
ダイハツが対抗馬のムーヴを発売したのは2年後の1995年。サイズもコンセプトもほとんど同じで、あまりにも典型的すぎる後出しジャンケンだった。
実は、この後出しジャンケンには裏話がある。ダイハツは1990年にトールワゴン計画をスタートしており、1993年デビューのはずが、経営判断でプロジェクトが中断。プロジェクト再開後、1995年に販売スタートするというオチがあった。
発売1ヵ月で4万5000台の受注で人気となったが、そのプロジェクトが中断しなければムーヴの方が先にこの世に出ていたかもしれないのだ。
ただ、軽自動車の世界は昔も今も後出しジャンケン合戦。ダイハツが先に出したタントはスズキがパレット(スペーシアに続く)で後追いし、スズキのハスラーは今回ダイハツがタフトで後追いする。
お互い、ヒットすれば後追いされるのは覚悟の上という、不思議なフェアプレイ? が続いている。
とにもかくにも、ワゴンRとムーヴの戦いは現在も続いている。ここ数年はムーヴの勝ちだが、累計ではワゴンRの勝ちで、どっちが勝ったと言えるほどの差で付いておらず、引き分けだろうか?
それよりこの2台にとっては、タントに始まったスーパーハイトワゴンが目の上のタンコブ。そのタントはN-BOXにとって代わられた。
軽自動車業界は、食うか食われるかの商品開発合戦と後出しジャンケン合戦が繰り返されており、どこか壮大な出来レースにも思えてくる。
★結果:引き分け
先駆車:日産エルグランド(1997年)
■後出し車:トヨタアルファード(2002年)
初代は「キャラバンエルグランド」もしくは「ホーミーエルグランド」という名前だったが、1999年にマイナーチェンジを実施し、車名を「エルグランド」に統一
「打倒エルグランド」を目指した開発された初代アルファード。クラウンのような内装と、外装にもメッキパーツを多く採用したラグジュアリーミニバンとして登場した
トヨタはLサイズミニバンのグランビアを1995年に発売したが、売れ行きは伸び悩んだ。
初代エルグランド(キャラバン&ホーミー)は1997年に発売され、国内唯一のL型ミニバンとして市場を独占、月間1万台売れるほどのヒットとなった。
対するグランビアは、エルグランドに比べると外観が大人しく貧弱で、エンジンも直4、2.7Lのガソリンと、3Lのディーゼルターボだから、動力性能のインパクトでも見劣りした。
この後、グランビアの姉妹車としてグランドハイエース、ボディを5ナンバーサイズに抑えたハイエースレジアスと姉妹車のツーリングハイエースなどを加えたが、エルグランドには勝てなかった。
そのエルグランドが2代目に切り替わった2002年5月、トヨタはほとんど同時期に後出しのアルファードを発売した。
コンセプトもイバリの強い顔つきも完全にパクリだったが、エルグランドがFRベースなのに対してアルファードはFFベース。室内空間を広く取るためにはFFベースのほうが有利だ。
しかもアルファードは、エンジンラインナップに直4の2.4Lを用意した。対するエルグランドは当初V6、3Lのみで、価格設定がアルファードよりぐっと高くなった。
この差は決定的で、後出しのアルファードはエルグランドに完全勝利。エルグランドも後にV6、2.5Lモデルを追加したが、時すでに遅かった。
勝利したアルファードは6年後、2代目にバトンタッチし、畳みかけるようにヴェルファイアという兄弟車を出し、独走態勢を築く。
もはやエルグランドには追撃する力もなく、2010年、北米向けのクエストやプレサージュとプラットフォームを統合され、全高低めのFFベースに方向転換。
従来のエルグランドファンからも見放され、ライバルとも言えない状態に転落したのでした。
★結果:後出しアルファードの勝ち
先駆車:ホンダストリーム(2000年)
■後出し車:トヨタウィッシュ(2003年)
2000年10月、7代目シビックのプラットフォームを用いた7人乗りのミニバン、ストリームを発売。背を低くした5ナンバーの低重心設計でワゴンと互角の気持ちいいハンドリングを実現
2003年1月、ストリームの刺客としてウィッシュがデビュー。全長4550×全幅1695×全高1590mmとボディサイズはストリームとまったく同じ。ただし、ホイールベースは2750mmと30mm長かった
ストリームは、2000年、5ナンバーサイズの都会派ミニバンとして登場し、大ヒットする。5ナンバーサイズに収めているが、背を低くした低重心設計で、ワゴンと互角の気持ちいいハンドリングを実現している。
するとその3年後、トヨタはまったく同じコンセプト&サイズのウィッシュをぶつけてきた。
軽自動車業界では当たり前の後出しジャンケンだが、登録車の世界でここまで露骨な後出しはあまり例がなかった。
自動車メディアからは「いくらなんでも」という声も出たが、訴訟になることもなく、以後宿命のライバルとして火花を散らすことになった。
2003年9月、ストリームのマイナーチェンジ時のCFキャッチコピー「ポリシーは、あるか?」はもちろん、トヨタ(ウィッシュ)に向けたものだ。
初代ウィッシュがデビューした後、ストリームがマイナーチェンジ。その時のキャッチコピーが「ポリシーはあるか」。相当、ウィッシュに対してホンダが怒り心頭なのかわかる
ストリームはホンダらしく走りがウリで、対するウィッシュはトヨタの販売力がウリ。結局トヨタの販売力が上回り、販売台数ではウィッシュの優勢勝ちとなった。
この2台の戦いは2代目にも引き継がれたが、その頃になると全高の低い都会派ミニバンは箱型ミニバンに押され、ともに販売が急降下。ストリームは2014年に、ウィッシュは2017年に、ともにほとんど忘れ去られた状態で生産終了となった。
つまり共倒れしたわけだが、いつも最終勝利者は「時代」。ストリームもウィッシュも時代に敗れ去ったのだ。
★結果:後出しウィッシュの優勢勝ち
先駆車:スズキソリオ(2015年)
■後出し車:トヨタタンク/トヨタルーミー/ダイハツトール/スバルジャスティ(2016年)
2015年に登場したスズキのハイトワゴン、ソリオ
2016 年11月発売に発売したトヨタルーミー/トヨタタンク/ダイハツトール/スバルジャスティの兄弟車
ソリオの前身は、ワゴンRの全長と全幅を拡大して1Lエンジンを載せたワゴンRワイドだが、ワゴンR+、ワゴンRソリオを経て、2005年にソリオに改称。
2010年の2代目からは、シャーシもワゴンRから独立したコンパクトハイトワゴンとなり、2015年に現在の3代目にバトンタッチ。この市場を独占してきた。
ソリオの特徴は、全幅が1625mmと、登録車としては最も狭いこと。ワゴンRワイド時代からのユーザーのために、狭い車庫にも入れる幅を維持しつつ、広い室内を実現している。
1.2LのNAエンジン+マイルドハイブリッドのパワーユニットは、トルクがあって実用的。フォルムのわりに重心が低く、走りの安定感も高い。
この市場を狙って登場したのが、ダイハツが開発しトヨタとスバルにもOEM供給されるルーミー/タンク/トール/ジャスティの4兄弟だ(2016年発売)。
ソリオに比べると基本設計は特徴に乏しく、1LエンジンはNAだとトルクが足りず、回すと騒がしい。
が、トヨタの販売力はさすがにスズキとはケタ違いで、ルーミー/タンク(トヨタ系で販売)だけで年間15万台以上を売る大ヒットになった。
4兄弟合計すれば年間約20万台。この数字は登録車販売ナンバー1に相当する。対するソリオは年間4万台強で、販売台数だけ見ればトール4兄弟の完勝だ。
しかし、トール4兄弟の登場後も、2016年4万8814台、2017年4万9893台、2018年4万4884台、2019年4万4488台と、ソリオの販売はほとんど落ちていない。
つまり、巨大なライバルの登場にビクともしていないと言えるわけで、あっぱれソリオである。
どれだけ売れたかという視点で見れば後出し4兄弟車の方が勝ちということになるが、中身では断然ソリオの勝ちとしたい。
★結果:先駆車ソリオの勝ち
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中国メーカーと同レベルの志と品質のトヨタ笑