運転席に座ると印象が違う2台
text:Jack Phillips(ジャック・フィリップス)
【画像】ジープCJ-7とトヨタ・ランドクルーザー FJ40 現行モデルも 全85枚
photo:Max Edleston(マックス・エドレストン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ジープCJ-7とトヨタ・ランドクルーザー FJ40の見た目は、時代遅れに感じた時期を通り過ぎ、老化が止まっている。現代化に耐えた姿は、大きな魅力になっている。
無味乾燥なルックスは、今でも疑問を感じさせない。2台ともに1970年代から1980年代風を漠然と漂わせるが、1960年代からほぼデザインはそのまま。共通する雰囲気のFJ40とCJ-7だが、運転席に座ると印象が違う。
どちらもシンプルで、1980年代以前に起源があることを隠さない。CJ-7の工業的に塗装されたダッシュボードには丸いメーターが収まる。どんな機能のスイッチなのか、ラベリングも明確だ。
一方でFJ40のダッシュボードには、プラモデルのようなプラスティック製のパネルが付く。それでも、ネジの頭はそのまま。ジャングルの中でも修理は簡単そうだ。2台にとっては、重要なポイントだった。
全高の高いCJ-7への乗り降りは、少し難しい。腰のあたりにあるシートまで、身体を引き上げなければならない。足を踏ん張りよじ登るから、軽いワークアウトになる。低めの棒高跳びをするくらい。
運転席に落ち着いてステアリングホイールを握っても、身体を隠すドアはない。リアシートも同じ。ロールバーを避けながら、体をねじって腰を下ろす必要がある。
内装が仕立て直された運転席で初めにすることは、アクセルペダルを探すこと。ブレーキペダルの横には、フロアしか見当たらない。サイドウォールの奥の方を探ると付いている。右ハンドル車に限らず、左ハンドル車でも同じ。操作もしにくい。
ルーフを外したジープのように居心地が良い
FJ40のランドクルーザーは至ってノーマル。ドアを開き、ステップを踏んでボディに登れる。自然な流れでステアリングホイールの後ろに座れる。ソフトトップを閉じていても、車内は広々としていて明るい。
天井は高く、ルーフを外したジープのように居心地が良い。リアシート側にも沢山光が入ってくる。小さなリアドアは観音開きで、バックミラーではピラーやスペアタイヤくらいしか見えない。それでも、前方視界は良好だ。
2台ともにゼネラル社製のオフロード用タイヤを履き、路面に舵が取られやすい。現実的な速度でのコーナリングの印象も似ている。
FJ40の全幅は比較的細身で、狭い道でも問題を感じないで済む。不意にステアリングが取られ、白線へ近づいた時のドキッとした気持ちを除いて。
ドライバーが寛容になって運転する必要がある。事前に考え、何を操作するか決めなければならない。そのかわり、FJ40の反応は予想しやすい。
ありがたいことに、周囲の人や交通にはドライバーの忙しなさはわかりにくい。田舎道を、落ち着いて流しているように見えるだろう。ジープが騒がしくノイズを立てて、風切り音の大きいFJ40を引き離していく。
速度が上昇すると、路面の隆起部分や亀裂はボディに共振を与える。ラインを維持するには、ドライバーとステアリング、タイヤとの3者で、充分な交渉が必要になる。グリップ力は十分にある。
FJ40は、スピードメーターの針が60を超えるとアラームがなる。マイルではなくキロ表示でだが、このクルマの速度域には合っている。
リビルドでタイトなCJ-7の操縦性
大きなリビルドを経たクルマへ期待するように、真新しいジープCJ-7の操縦性の方がタイト。オーナーのジョーンズ以外で、レストア後に運転した人は限られるという。庭に放置されていたジープを、9年かけて見事に仕上げた。
骨太なシフトレバーは、サクサクと動く。クラッチがつながるポイントはかなり手前。ゲートの位置に気を使う、トヨタの長いシフトレバーとは違う。ただし、間違った段数を選んでもトルクが太いから大丈夫。
屋根もドアもないCJ-7の車内は、巻き込む風が生む共振音が大きい。英国郊外の流れの速い道より、北アメリカの山岳地帯を、夕日を浴びながら砂埃を上げて走る方が向いている。ゴロゴロと音を鳴らして。
FJ40には、片手でサスティナブルなスムージーを持って、海岸線を流せる親しみやすさはない。しかし、ウィンチェスター・オートバーン社によって大々的にレストアされたトヨタへ、不思議なことに強く惹かれる。
ドアヒンジはボディに露出し、リアにはスペアタイヤを積み、フロントはウインチを載せられるバンパーが守っている。丘でも谷でも、岩だらけの道でも構わない。どこを走るべきか、クルマが知っているようだ。
FJ40のすべてから、悪路への臨戦態勢を感じる。1979年のオフロード雑誌の調査では、ジープやインターナショナル・スカウト、フォード・ブロンコなどを抑えて、FJ40のオーナーが最も大地を冒険していたことが判明したという。
気取らない無骨さと実物大のオモチャ
その個性は今も変わらない。近年の評価はうなぎのぼりで、価格も上昇の一途。舗装路で運転すると、いろいろな我慢や妥協が強いられ、ドキドキする瞬間もあるけれど。
ランドクルーザーは、トヨタがアメリカで最も数多く販売したクルマ。1980年までに、世界中で100万台を売ったビッグセラーだった。ジープ並みの人気がなかったと考えるのは、勘違い。
ジープCJ-7もトヨタFJ40も、オフローダーの中では当時のランドマークといえるモデルだ。そもそも日常利用を前提にしたクルマではなかった。平和な大通りではなく、戦闘エリアを走る前提にあった。
数十年後にジープとランドクルーザーが対峙しているのは、過剰装備でマイルドになった、快適なSUVたち。レトロチックなデザインが盛り込まれた上級ブランドのSUVが、ハイストリートを走っている。
トヨタ・ランドクルーザー FJ40は、2021年に見るとチャーミング。気取らない無骨さがイイ。時代錯誤な装備や走りのクセも、許せるだろう。
ジープCJ-7は、ミニカーが実物大になったような雰囲気がある。使い慣れないオモチャほど、楽しいモノはなかったりもする。
ジープCJ-7とトヨタFJ40 2台のスペック
トヨタ・ランドクルーザー FJ40(1960~1986年)のスペック
価格:3215ポンド(新車時)/3万ポンド(462万円)以下(現在)
生産台数:約110万台
全長:3840mm
全幅:1665mm
全高:1940mm
最高速度:135km/h
0-97km/h加速:18.7秒
燃費:5.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1655kg
パワートレイン:直列6気筒4230cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:126ps/3600rpm
最大トルク:27.6kg-m/1800rpm
ギアボックス:4速マニュアル
ジープCJ-7(1976~1986年)のスペック
価格:9372ポンド(新車時)/3万ポンド(462万円)以下(現在)
生産台数:37万9229台
全長:3886mm
全幅:1740mm
全高:1720mm
最高速度:120km/h
0-97km/h加速:16.0秒
燃費:7.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1305kg
パワートレイン:直列4気筒2474cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:88ps/3800rpm
最大トルク:17.2kg-m/2600rpm
ギアボックス:4速マニュアル/3速オートマティック
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
結局、みんなガチなクロカンは求めてないんでしょうね。
本家Jeepだって、日本で売れてるのはショートではなくロングばかり。
元三菱JeepⓇ乗りとしては寂しい限りですが、今じゃ自分だってランクルじゃん?
と言われりゃぐうの音も出ない。
あれはおっさんにはキツイ。
先日FDを盗難された若者がニュースになっていたが、若者がFDに乗っているってのを微笑ましく思ったり。
三菱JeepⓇをかる若者がいてもいいんじゃないか?とも思う
がんばれぐっさん!
嫁もジープ乗ってた。パワステなくても女性でもなんとかなる重さ。ただ、BJ(ディーゼル)40のパワステ無しは男でもきつかった。ワイドタイヤなんて履いてたら汗だくだった。