ダイハツ独自開発のシンプル設計ハイブリッド登場
販売絶好調のライズとロッキーがマイナーチェンジし、待望のハイブリッドが登場した。デビュー直前に開催された2019年秋の東京モーターショーに突如出展されたことにも驚かされたが、ハイブリッド車追加もなかなかのサプライズだ。
ベストセラーSUV確定!? ハイブリッドが新登場したトヨタ・ライズとダイハツ・ロッキーはここが凄い
ダイハツはトヨタグループの一員。電動化については何らかの形で協業するはずと思っていた。しかし今回のeスマートHVは、ダイハツの独自開発。しかも、まさかのシリーズ方式。日産のeパワーと同様に「エンジンで発電/モーターで走る」シンプルな機構である。システムは新開発の発電専用1.2リッターエンジン(WA-VEX型/82ps)とモーター(106ps)、そして4.3Ahと小容量の駆動用リチウムイオンバッテリーで構成。WLTCモード燃費はクラストップ級の28.0km/リッターをマークする。価格は211万6000~234万7000円とリーズナブルだ。
今回、ハイブリッドと同時に高効率1.2リッターエンジン(WA-VE型/87ps)車が追加された。こちらはコストパフォーマンスを高めた街乗り重視モデル。価格は166万7000~205万8000円とハイブリッド比で30万円以上安く、WLTCモードは20.7km/リッター。ちなみにハイブリッドと1.2リッター車の駆動方式はFFのみ。従来からの1リッターターボ(98ps)は4WD専用ユニットとなった。
ハイブリッドは誰もが力強さが実感できる。静粛性も高水準
eスマートHVは、同じシリーズ方式を採用した日産のeパワーと比較してどのような魅力の持ち主なのか、さっそくステアリングを握った。EスマートHVは、バッテリー容量もモーター性能もだいぶ控えめ。あえてこのスペックにとどめたのは、効率とコストの最適バランスを探った結果だという。 それもあって、走ってみるとエンジンは頻繁にかかり、eパワーほどの瞬発力はない。ただしそれはあくまで比較の話。モーターならではの力強いレスポンスと滑らかな走りは十分に味わえる。
パフォーマンスは優秀。乗った誰もが「力強く、運転しやすい」と感じる実力の持ち主だ。とくに発進加速のスムーズさとたくましさは印象的。これはガソリン車にはない大きな強みである。
eパワーに対するメカニズム上の違いは、eパワーは発電した電気を必ずバッテリーに送ってからモーターを駆動しているのに対し、eスマートHVは直接モーターを駆動することもできる点。そのほうがロスがなく効率がよい。ただし強く加速させたい状況ではeパワーのほうが俊敏。eスマートHVは、ほんの一瞬遅れて加速する。これはエンジンをつねに効率に優れた領域で回転させ発電していることに起因するようだ。
ブレーキフィールは自然。初期の制動力の立ち上がりが、やや強いイメージがあるものの違和感はない。あえて協調回生を採用しなかったからだろう。フットワークも改善されている。重心が低くなり、前後重量配分のバランスがよくなった効果で、コーナリング時のロールが減少。eスマートHVは、電動化を踏まえて各部の遮音対策が徹底され、ガソリン車よりもだいぶ静かになっていた。車格がワンランク上がったようなイメージだった。
自然吸気1.2リッター車も好印象。全車が洗練度アップ
1.2リッターエンジン車もいいクルマだった。従来の1リッターターボは、パワフルさを強調した味付けで、ノーマルモードでもスポーツモードのような加速を見せた。それに対応して、今回の1.2リッター車は出足を俊敏にしたそうだ。走りは活発な印象。発進を繰り返す市街地でモタツキやストレスを感じることはない。もう少し控えめでもよい気がしたほどだ。
足回りは前後方向の動きがやや目立つ。横方向の動きは比較的抑えられているのに対して、アクセルオンでフロントが浮きやすい傾向がある。ただし1.2リッター車は従来の1リッターターボほどではない。さらにリニアな特性のeスマートHVは市街地でもっと乗りやすい。 NEWライズとロッキーに触れて感じたのは、走りの完成度が高まっていたこと。従来のライズ/ロッキーは、DNGA第1弾のタントの完成度からすると、全体的に粗削りな面があった。ところが、今回はずいぶん洗練されたように感じた。おそらく細かなリファインを積み上げたのだろう。
最新のライズ/ロッキーは、eスマートHV、1.2リッター車とも「良品廉価」なキャラクターが一段と明確になり、さらに魅力的になった。好調な販売にますます拍車がかかるに違いない。
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みんなのコメント
あまりにタイミングが悪い。
しばらくは購入せず、様子を見たほうがいいかもしれませんね。