2021年2月にマイナーチェンジを受けたQ5シリーズ。今回は最上級グレードのSQ5に試乗し、快適性をどうバランスしているのかという点にも注目してみた。(Motor Magazine2021年9月号より)
標準車とRSシリーズの中間に位置するSシリーズ
アウディファンであれば先刻ご承知のとおり、フォーリングスのスポーツモデルには「RS」と「S」の2タイプがある。このうち「RS」モデルはメルセデスの「AMG」、BMWの「M」といったいわゆるハイパフォーマンスモデルに相当するフラッグシップで、サーキット走行にも耐えうるハードな仕様となる。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
一方の「S」モデルは長らくアウディだけが冠してきたグレード名で、パフォーマンス的にはRSモデルにはかなわないものの、その分、快適性や静粛性などに配慮しているのが特徴だ。いわば標準車とRSモデルの中間に位置するのがSモデルだった。
ここまで読み進んで「おや?」と思われた読者も少なくないだろう。そう、最近AMGには「65」以外に「35」「43」「53」といったモデルをラインナップしているが、これがまさにアウディでいうところのSモデル。BMWでいえばMパフォーマンスモデルがSモデルに相当する。
いずれも「日常性に配慮したスポーツモデル」というコンセプトは共通で、アウディに敬意を払ったわけではないだろうが、これらの多くがフルタイム4WDを採用しているのも興味深い共通点といえる。
こう説明すると、その乗り心地は標準車→Sモデル→RSモデルの順で悪化していくと思いがちだが、標準車とSモデルの関係はそれほどシンプルではないと私は捉えている。
おそらくサスペンションのバネ定数やダンパーの減衰率を調べれば、標準車よりもSモデルの方が「硬め」に設定されているのは間違いないだろう。おかげで多くのSモデルは標準車に比べてサスペンションストロークが短めだが、Sモデルは、この短いストロークの中で手際よくショックをうまく吸収しており、路面から伝わる振動の中に含まれる「不快成分」は驚くほど少ない。つまり、ガツンとはこないでフワッと受け止めてくれるのだ。
一方でスプリングとダンパーの設定は硬めだから走行中はボディが水平な姿勢に保たれる。この、「しなやかなのにフラット感が強い乗り心地」こそSモデルの真骨頂で、このため総合的な快適性という意味ではSモデルが標準車を上まわっていることが多いというのが、長年アウディを見守ってきた私なりの見解である。
3L V6ガソリンターボは354psでハイスペックを実現
もっとも、アウディの全ラインナップにRSモデルが設定されているわけではない。たとえばQ5にはRS Q5はなく、SQ5が最上位グレード。ちなみにベースとなったQ5は「ヨーロッパでもっとも売れているプレミアムミッドサイズSUV」だとアウディは主張している。
SQ5の最大の特徴は、そのエンジンにある。スタンダードなQ5がガソリンもしくはディーゼルの2L直列4気筒ターボを搭載する中、SQ5のみ3L V6ガソリンターボが与えられているのだ。その最高出力は354psで、2Lガソリンモデルの42%増し。500Nmの最大トルク35は%の上乗せと、大幅なパフォーマンス向上が図られている。
これに合わせて足まわりは電子制御式ダンパーを備えたスポーツサスペンションにグレードアップ。ちなみにSQ5にはエアサスペンション仕様も用意されているが、試乗車はコイルスプリングを装着したモデルだった。
ただし、その乗り心地が標準車に比べて特段悪化していないのは、従来のSモデルとまったく同じ。路面からの衝撃を軽やかにやり過ごしながら、ボディの姿勢をしっかりと水平に保つ様子は「しなやかフラット」と呼びたくなるもので、その強めのダンピングをむしろ心地いいと感じる向きも少なくないだろう。
柔軟に伸縮するサスペンションで快適性を生み出そうとするスタンダードなQ5とは、大きく異なる乗り味といって間違いない。このダンピングが利いた足まわりが、ワインディングロードで実に頼もしいコーナーリングフォームを生み出してくれることはみなさんもご想像のとおりである。
まず、なんといってもその接地感が素晴らしい。アウディのパワーステアリングはどれも操舵力が軽めながら、前輪が確実に路面を捉えている感触はステアリングホイールを通じてしっかりとドライバーに伝えられる。そして、サスペンションストロークのごく初期から有効なダンピングを発生してくれるおかげで、ボディに無駄な動きがほとんどないことも、このクルマがSモデルの血統を引き継いでいる証拠といえる。
洗練された走りの味こそ、アウディSシリーズの魅力
そして私がもっとも気に入っているのが、ロードホールディングが優れている点。これはほかのアウディにも共通していることだけれど、うねった路面にもタイヤがしなやかに追従し続けるので、安定したグリップ感を生み出してくれるのだ。
このため、路面のうねりに合わせてハンドルが左右に振られることもなければ、コーナリング限界が近づいてもハンドリング特性が神経質に変化することもない。一度ハンドルを切り込めば、一定舵角を保ったまますーっとコーナーをクリアしていく。この安心感を一度味わってしまうと、暴れるハンドルを強引に抑え込みながら走るコーナリングに嫌気が差してくるのではないかと心配になるほどだ。
こうした洗練された走りの味こそ、アウディの、そしてSモデルの最大の魅力だと思う。そうした世界観は、古典的なスポーティモデルに慣れ親しんできたベテランドライバーには少々物足りなく感じられるかもしれない。
この辺がアウディを好きになるかどうかの分かれ目で、同じことはアウディ特有の控えめなデザインについてもいえる。すなわち、SQ5の外観を見て「派手さがなくて物足りない」と感じるか、それとも「知的でクール」と捉えるかで、賛否が分かれると思われるのだ。
354psを生み出すエンジンの反応も実に洗練されていて、抑制の利いたエキゾーストノートをときおり響かせながらスムーズに車速を伸ばしていくアクセルペダルを深々と踏み込んだ時の加速も、ボディがふっと軽くなったように感じるだけで、暴力的なところはまるでない。SQ5というクルマのキャラクターによくマッチしたパワープラントだ。
ちなみにヨーロッパ向けのSQ5はディーゼルモデルのみで、ガソリン仕様は日本や北米などごく少数の市場のためだけに作られているという。そんなこだわりからも、アウディらしさが強く感じられる。(文:大谷達也/写真:原田 淳)
アウディSQ5主要諸元
●全長×全幅×全高:4685×1900×1635mm
●ホイールベース:2825mm
●車両重量:1920kg
●エンジン:V6DOHCターボ
●総排気量:2994cc
●最高出力:260kW(354ps)/5400-6400rpm
●最大トルク:500Nm/1370-4500rpm
●トランスミッション:8速AT(ティプトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTCモード燃費:10.1km/L
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):915万円
クーペスタイルSUV、Q5スポーツバック/SQ5スポーツバックが誕生
スタイリッシュなクーペデザインと高い実用性を兼備
ミッドサイズSUVとして世界的に人気の高いアウディQ5/SQ5に、新たに「スポーツバック」が追加設定された。スポーツバックはクーペスタイルのスポーティなキャラクターと高い実用性を兼ね備えたモデルで、アウディのSUVではQ3やeトロンに続く3番目のスポーツバックとなる。
エクステリアではQ5のデザインコンセプトを踏襲しながら専用デザインとすることで、スポーツバックならではのスタイリングを際立たせている。
このスポーツバックで投入された新しいテクノロジーとしては、後続車へのアラート機能を持つマトリクスOLEDリアライトが挙げられる。これは停車中に後続車が2m以内に近づくと超音波センサーが探知し、リアOLEDライトがすべてのセグメントを点灯させて、後続車のドライバーに注意を促すというものだ。
クーペスタイルということで、後席の居住空間が狭くなったりラゲッジルーム容量が減少することが懸念されるが、どちらもあまり犠牲にしていないこともこのスポーツバックの嬉しいところ。
エンジンはQ5スポーツバックに2L直4ディーゼルターボ(204ps)、SQ5スポーツバックに3L V6ガソリンターボ(354ps)の2タイプ。発売は2021年8月17日からとなっている。
[ アルバム : アウディSQ5 & Q5スポーツバック/SQ5スポーツバック はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
こんなコンセプトの曖昧な車に乗るんだったらマカン買いなさいよ。貧乏人達。
ポルシェはマカンをスポーツカーと言っています。
同じアウディベースならポルシェがチューニングしたマカンに乗る方がステイタスもあるし
性能も雲泥の差。
ポルシェとアウディの乗り味、性能がわからない、関係無い不感症、また高いお金が払えない貧乏人はアウディへどうぞ。
1、もっとボラれる
2、もっと値落ちする
3、もっと燃費悪い
4、もっとうるさい
5、もっと壊れる
でも、素のアウディの走りは超絶つまらないので
どうしてもアウディ欲しいなら最低でもSモデルが良いですね ♪