ポルシェのEV(電気自動車)である「タイカン」に追加された「クロスツーリスモ」に世良耕太が試乗した。印象はいかに?
優れたデザイン、優れた居住性
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ポルシェの新型タイカン・クロスツーリスモは、ポルシェ初の電気自動車であるタイカンの派生モデルだ。
タイカンが“スポーツサルーン”としての位置づけなら、クロスツーリスモはタイカンと同等のオンロード性能に、オフロード性能を付加した“クロスユーティリティビークル(CUV)”に分類できる。フロントとリアに高出力のモーターを搭載し、それらを800Vの高電圧システムで駆動するのはタイカンとおなじ。後席より後ろのパッケージに手を入れ、後席乗員の居住性を高めたのが特徴で、ヘッドスペースはタイカンより36mmも余裕がある。荷室容量の大きさ(後席を倒せば最大1212リッター)も魅力だ。
「フライライン」と呼ぶ、歴代911が受け継ぐ外見上の特徴でもあり、ポルシェのアイデンティティともいえる、ルーフからテールにかけて流れ落ちるような特徴的なラインを受け継ぎつつ、後席の居住性と荷室容量を確保した手腕はさすがだ。
取材時はクロスツーリスモを真後ろから追走する機会もあったが、グラマラスなヒップに目が釘付けになった。とてもオフロードをも活動の場にするクルマには見えず、“超”のつくパフォーマンスを秘めたクルマであることを訴えかけてくる。
高速道路の真ん中車線を流しているといつの間にか後ろに列ができてしまうのは、追い越しをためらわせてしまうオーラが迫力あるヒップから強烈に放たれているからだろう。
その気持ちはよくわかる。
800Vの凄み
クロスツーリスモは、タイカンにはないホイールアーチトリムを身につけたのにくわえ、前後バンパーのコーナーとサイドシルに専用のエプロンが装着される。これらの追加アイテムは石はねからの保護という実用的な役割と同時に、オフロードをも活動範囲とするクルマであるのを視覚的に表現している。
もちろん、クロスツーリスモらしさを表現しているのは見た目だけではない。オプションでオフロードデザインパッケージを選択すると、「グラベルモード」が使えるようになる。
クロスツーリスモはタイカンと同様、3チャンバーのエア・サスペンションを標準装備。グラベルモードを選択すると、エア・サスペンションの機能を活かし、ライドハイト(路面からフロア下面までの高さ)を最大30mm高くする。キャンプサイトなど、未舗装路へのアクセスで役立つ機能だ。
電動コンポーネントはタイカンと共通。93.4kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーはアルミ製のケースに収められ、28本のボルトで車体骨格に固定。強固なケースは構造部材として機能し、ねじりや曲げの剛性向上に寄与する。
800Vの高電圧システムを採用したのも、タイカンシリーズの特徴だ。
電気自動車やハイブリッド車の電源電圧は400V台が一般的なので、ほぼ倍。出力がおなじなら、電圧を高くしたぶん電流は小さくて済み、高圧ケーブルを細くすることができて重量低減とパッケージング効率の向上に効く。走りに関連する領域だけでなく、電気の部分でも、パフォーマンスの探求に抜かりはない。
フロントとリアに搭載するモーターの出力とトルクは、グレードによって差を設けている。取材車のタイカン4クロスツーリスモはベーシックな仕様で、2基のモーターを合わせた最高出力は280kW(380ps)だ。ローンチコントロール機能を使った際のオーバーブースト出力は350kW(476ps)である。最高速度は220km/h、0-100km/h加速は5.1秒でこなす。「4S」になると最高出力は360kW(490ps)、オーバーブースト出力は420kW(571ps)になり、0-100km/h加速は4.1秒になる。「ターボ」は460kW(625ps)、500kW(680ps)、3.3秒というスペックになる。発進時の加速力と最高速を両立するため、リアのモーターに2速トランスミッションを組み合わせているのが、パワーユニットのハイライトだ。
これからの時代にふさわしいポルシェ
タイカン・クロスツーリスモはオフロード走行を視野に入れたクルマではあるが、同時に“ポルシェ”の名を冠したモデルである。
それゆえ、ベーシックな仕様といえども“スーパー”の形容がふさわしいパフォーマンスを披露する。アクセルペダルを踏み込んだ途端に「ロケットの発射ってこんな感じかもしれない……」と、思わせるような、強烈で、息の長い加速を提供してくれる。最もベーシックな「4」でさえも。それで物足りないと感じるなら、刺激にマヒしていると疑ったほうがいい。
スポーツサルーンのほうのタイカンの取材をおこなったとき、開発にあたった技術者のひとりは「パフォーマンスにまつわる数字を追いかけるのは簡単だ」と、説明した。乱暴にいえば、出力の高いモーターを載せれば済んでしまうからだ。
しかし、ポルシェがつくる高性能な電気自動車はそれだけでは良しとしない。モーターやバッテリーに大きな負荷がかかる発進加速を何度繰り返しても、モーターやバッテリーが音を上げて保護モードに入るようなことはない。その技術者は「0-200km/h発進加速を10秒のインターバルで26回繰り返しても、性能はほとんど悪化しない」と、胸を張った。そのタフネスこそがポルシェたるゆえんだ。
わざわざそんな説明を受けなくても、タイカン・クロスツーリスモが卓越したタフネスを備えているのは、すぐにわかる。運転席に収まって少し転がしさえすれば、尻や背、手の平から伝わる感覚から頼もしさを感じ取ることができる。「あ、このクルマはしっかりしているな」と。身を任せて大丈夫な、存分に振りまわしても受け止めてくれる安心感がある。
インストルメントパネルのもっとも高い位置にメータークラスターがあり、アッパーウイングとロワーウイングが明確に分かれた構成は911とおなじで、運転席に腰を下ろした瞬間に目の前に広がる景色から、ポルシェの住人になったのをドライバーに悟らせる。911は伝統に根ざしたクラシカルなムードを漂わせているが、タイカン・クロスツーリスモはフューチャリスティックな志向で、ダッシュボード中央に鎮座するクロノグラフ以外の表示系はすべてデジタルだ。
ポルシェであることを意識させながら、同時に電動化時代にふさわしい新しさを感じさせるさじ加減が憎らしい(いい意味で)。
憎らしいといえば、オンロードですら他を寄せ付けないパフォーマンスを発揮する実力を備えているのに、オフロードに踏み込んでいける多用途性を備えているところが憎らしく、それが、タイカン・クロスツーリスモの最大の魅力になっている。
舗装路でも未舗装路でも強くて逞しいなんて、ずるいじゃないか。しかも、酷使しても音を上げずに澄ましているなんて……
新型タイカン・クロスツーリスモは、新時代の新しいCUVであるのだ。
文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.)
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クロスツーリスモに成って、アンダーパネルは全方位をカバーするように成ったのかが知りたかった。