プロドライブは、1990年からスバルと共同でWRC(世界ラリー選手権)に参戦したイギリスのレーシングコンストラクターだ。そのプロドライブが、スバルインプレッサWRCがデビュー戦のモンテカルロラリーで初勝利を飾ってから25年目のメモリアルとして、初代インプレッサを象徴する22B STiをベースとした「プロドライブP25」を限定25台で生産することを発表した。
プロドライブP25は、カーボンファイバーを多用した軽量シャシーに、最大出力は400hp以上を発生する2.5L水平対向4気筒ガソリンターボエンジンを搭載。トランスミッションはパドルシフト付きの6速セミATを組み合わせるモンスターマシンになりそうだ。
スバル伝説のマシン復活!! 英国にて25台限定で蘇る初代インプレッサ22B STi、誇るべき偉大さを語る!
そこで、ここではP25のベースとなる、初代インプレッサ22B STiバージョンとはどんなクルマなのかを紹介しよう。
文/萩原文博、写真/ベストカー編集部、スバル、STI、Prodrive
■500万円ながら2日で限定400台を完売した初代インプレッサ22B STiバージョン
1998年に400台限定で発売。すると、500万円のプライスながらわずか2日間で完売という伝説を残しているSTI製コンプリートカーだ
スバル初代インプレッサ22B STiバージョン(以下初代インプレッサ22B STi)は、スバルのモータースポーツ部門会社であるスバルテクニカルインターナショナル(以下STI)がWRC(世界ラリー選手権)参戦モデルであるスバルインプレッサワールドラリーカー97のロードバージョンとして、1998年3月に限定400台で販売したコンプリートカーだ。
初代インプレッサ22B STiは当時のスバルでは破格の500万円で販売されたが、わずか2日で完売した伝説のモデル。現在、残念ながら市場に中古車は流通していないが、オートオークションでは1200万円のプライスが付き、コンディションがよければ2000万円を超える人気車だ。このインプレッサ22B STi以降、STIが手がけた特別仕様車は価格が下がりにくいのが常識となった。
インプレッサ22B STiは1997年WRCでマニュファクチャラーズタイトルの獲得を支えたWRカーのロードバージョンとして、エクステリアイメージを可能なかぎり忠実に再現するとともに、速さと操る愉しさを充分に満喫できるポテンシャル、そしてロードバージョンに求められる実用性、信頼性、耐久性を高次元でバランスさせることを目標として、ロードユースでの最高レベルの走りを追求したスポーツクーペだ。
インプレッサ22B STiの外観はインプレッサワールドラリーカー97を極力忠実に再現するためにオーバーフェンダーを装着しすることで全幅は1770mmに拡大。大きく張り出したブリスターフェンダーは同一素材による質感の一体化を実現させるとともに、特にリアフェンダーからレール部分につながるラインにアグレッシブな造形を施し、グラマラスなフォルムを形成している。
■専用の2.2L水平対向4気筒ターボを搭載
初代インプレッサで22B STi専用のEJ22型2.2L水平対向4気筒DOHCターボは280ps/37.0kgmを発揮。ノーマルの2L水平対向ターボのEJ20とは違ったトルクの太さが持ち味だった
フロントマスクにはグリル一体型の大型バンパーを採用。そして大型リアスポイラーは手動で二段階に変化できる迎角調整タイプで、標準位置に対して迎角を17度変化できるので、広い速度域での的確なダウンフォースを確保可能だ。
さらに乗降性を考慮した大型サイドアンダースカート、大型のリアバンパーを採用し、高い空力ボディを実現している。加えて、ボディカラーはインプレッサワールドラリーカー97の専用色であるソニックブルーマイカを採用している。
インテリアにはフロント&リアシート、ドアトリムにボディ色であるソニックブルーマイカとコーディネートしたブルーを採用。さらにフロントシートのバックレストにはSTiロゴ刺しゅうを施したオリジナルバケットシートを標準装備している。
インプレッサ22B STiに搭載されているエンジンはオールマイティなトルク特性と卓説した動力性能を発揮する専用の2.2L水平対向4気筒DOHCターボエンジンを搭載。軽量かつ高剛性に優れた水平対向ボクサーマスター4エンジンのなかでも中速のトルクアップとピックアップに優れた初代インプレッサWRX STi バージョンIVのターボエンジン(280ps/35.0kgm)をベースとして、低中速領域の充分なトルク特性を重視したチューニングが施されている。
また、インプレッサワールドラリーカー97のエンジンにも採用されている高剛性のクローズドデッキのシリンダーブロックをはじめ、耐久性、信頼性に定評の鍛造ピストンそしてメタルヘッドガスケットをサイズアップして採用した。その結果、最高出力は280ps、最大トルク37.0kgmを達成している。
■ビルシュタイン製サスとBBSアルミ、ピレリタイヤを装着
初代インプレッサ22B STiのインテリア。灰皿の下には専用のナンバー入りシリアルプレートが装着されており、オーナーの所有欲をくすぐる
初代インプレッサ22B STiに採用された4WDシステムは STi バージョン専用であるドライバーズコントロールセンターデフ付きクロスミッションを搭載。センターデフのトランスファーレシオをセンターデフフリーからロックまで自由にコントロール可能。デフフリー時の駆動力配分はフロント35:リア65でスムーズな旋回製とコントロール能力を発揮。
さらにクラッチには低中速のトルク向上に対応するため、競技用マシンに使われるツインプレートセラミックメタルクラッチをロードユースに適したチューニングを施し採用している。
初代インプレッサ22B STiのサスペンションはビルシュタイン製倒立式ダンパーとアイバッハ製コイルスプリングを採用。BBS製鍛造アルミホイールにはピレリP-Zeroの235/40ZR17インチタイヤを装着。どんな路面状況においても優れた乗り心地と車両安定性を確保している。
ブリスターフェンダーによってワイド化したボディ、ハイパフォーマンスな2.2Lエンジンを搭載するなど、まったく妥協のないトータルチューニングが施された初代インプレッサ22B STiは公道を走行できるWRカーとして人気を博した。
さらにインストルメントパネルにはインプレッサワールドラリーカー97と同様のイメージのマットブラックタイプを採用し、ソフトタッチの特殊な表面塗装により防眩効果を向上させている。そして、コンソールボックス前部には1台ごと専用のシリアルナンバープレートを装備しており、コレクターにはたまらない装備が満載されている1台なのだ。
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