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「壮絶でしたよ」。ル・マン2位表彰台のトヨタ小林可夢偉が心情を吐露。「もっと速くなれる」と来年の自信も

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「壮絶でしたよ」。ル・マン2位表彰台のトヨタ小林可夢偉が心情を吐露。「もっと速くなれる」と来年の自信も

 全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦を前にした6月21日、TOYOTA GAZOO Racingで2024年WEC世界耐久選手権の第4戦ル・マン24時間を戦った小林可夢偉がスポーツランドSUGOで行われた記者会見に出席し、5日前に戦いを終えたレースを振り返った。

 チーム全体の指揮をとる代表として、さらに7号車のドライバーとして24時間レースを戦い2位表彰台に上がった可夢偉は、最初に感謝の言葉を述べる。

「アクシデントがなければ勝てたと思う」トヨタ、ル・マンで悔しい2位表彰台。優勝まであと一歩届かず

「まずは、思う存分戦うチャンスをくださったモリゾウさん(豊田章男会長)、トヨタとパートナーの皆さん、そしてファンの皆さんに感謝したいと思います」

「毎年のようにこのル・マンのために一年間準備をしていて、優勝を目指していて、今回は勝つこともできたのではないかなと思うレースでした」

「あと一歩足らずというレースになりましたが、チャレンジングな路面コンディションのなか、全ドライバーが緊張感を持って良いバトルをして、しっかりレースができた24時間だったと思います」

 24時間レースを戦い切った想いと、手にしたかった勝利が手元にない悔しさとが滲む可夢偉代表。記者からレース内容についての質問が飛ぶと、2台それぞれの戦いを総括する。

「8号車は、フェラーリの51号車とのコンタクトがあるまでは凄く順調なレースができていました」

「僕の乗った7号車は、2度のパンクやパワーダウンなどもあったので『トラブルフリーだった』とは言い切れませんが、その中でも上位に居られました。トラブルにも冷静に対処してトップ集団とレースができたというところでは、チーム力の高さが出たと思います」

 なかでも可夢偉の乗った7号車は、ケガで離脱したマイク・コンウェイの代役であるホセ-マリア・ロペスと、ハイパーカーでの初ル・マンを戦ったニック・デ・フリースというふたりともに優勝を目指した。チーム代表兼選手として、クラス最後尾から7号車を2位表彰台に上げた可夢偉の心情が言葉になって出てくる。

「まずはマイクがケガをした時点で、おそらく予選もスタートも最後も自分か、というフルコースな流れになっていて。自分自身もうまく分担できていたらなとの思いもありつつですが、そんな想定外ななかでもホセ(-マリア・ロペス)はすごく良い走りをしてくれました」

「ニック(・デ・フリース)も、彼にとってはハイパーカーに来て一年目ですごくプレッシャーがあったと思うし、いままでの彼にはなかった緊張感も感じられました。そういった状況もありつつ、(クラス最後尾からの)厳しいスタートながらやれる限りの良いレースはできたのかなと思います」

 とくに7号車のハイライトとも言える、最終盤でトップの50号車フェラーリを追いかけた場面では、代役で7号車のクルーとなったロペスが乗り込んでチェッカーまでマシンを運ぶという大役を務めた。この時のことについて可夢偉は、「チームは壮絶でしたよ」とその状況を明かす。

「最後は、もし僕が乗ったとしたら5周くらいは路面状況を知るのにかかるだろうと。そのロスを考えて、コースコンディションが分かっているホセに行ってもらいました」

「そこからは壮絶でしたよ。エンジニアのなかで、『プッシュすべき』と『抑えるべき』との意見でふたつに分かれて、僕は仲介役になってしまいました」

「そこで僕は、『ここはドライバーを信じよう』と言いました。ドライバーっていうのは、つねに今できる最大限のことをやっていて、チームからの一言で1~2秒もペースアップできるようならプロじゃないんです。だから、ここで彼にプッシュしろと言うんじゃなくて『気持ちよく走ってくれたらいいんじゃない?』という風に伝えました」

「(もし可夢偉が乗っていたら攻めていた?との問いには)これはわからない話ですよね。正直、ホセはル・マンがめちゃめちゃ速いし、アベレージでも毎年彼が一番なんです。さらに、ああいう時に思い切りいけるホセのメンタルは僕以上のものだとも思う。そういう意味では、ホセしかできなかったと思いますね」と、選手だからこそわかるロペスの速さを理解し、代表としてチームに伝えた一幕を振り返った。

■「来年は自信があります。課題も見えている」

 2位表彰台を獲得した7号車には、予選でのタイム抹消やウォームアップ走行での他クラスとの接触などもあったが、新たな状況をつねに見極めながら、できることを最大限に行えたという実感が可夢偉代表には籠っていた。改めて、勝つには何が必要だと感じたかという問いに対し、優勝まであと一歩という実感と来年へ向けての自信が現われてきた。

「今年も、あと一歩だったなと思います。実際に勝てるという実感もありましたし、最後のピースをもう少しうまくはめるだけだと感じていて。」

「8号車がだめでも、後ろの7号車がすぐにトップ争いに入れるという展開に持ち込めたので、これはチーム全体がすべてを引き出していたということだなと感じています」

「7号車に起きた2度のパンクとパワーダウン(吸気温センサーのトラブルだったという)も、ドライビングではどうしようもできないところでした。なので、今回は少しだけ運が悪かったなというのが本音です」

「ただ、運に頼ってばかりでもいけないので、この24時間レースを勝ち切るチームをつくるにはどうしたらいいのか、というところをさらに突き詰めていきたいと思っています」

 この会見が行われた時点では、チェッカーフラッグが振られてからまだ5日。レース終了から一週間弱という間もない状況だが、チームはすでに改善のための動きを始め、来年のル・マンでのリベンジを見据えているという。

「すでに来年に向けてのミーティングも始まり、自分たちがどんなことができたらよかったのかという洗い出しも行いました。僕は昨日もひとつレポートを仕上げて、さらにもうひとつに追われながら、すでに翌年に向けて動いているところです」

「具体的に何をやっているかというところは言えませんが、来年は自信があります。僕らがもっと速くなれる方法も分かっていて、課題も見えているんです」

『自信がある』、そう力強く語る可夢偉代表は、とくにエンジニアとドライバーとのコミュニケーションのクオリティを重視したい、とその自信の根拠を明かす。

「やっぱり良いクルマを作るという時には、僕らドライバーがコメントをしているだけではできてこないんですね」

「エンジニアさん側も、僕らがどういう部分をコメントしているのかという細かいところを、ちゃんと理解するまでコミュニケーションを取らないといけないと思います」

「それは簡単に言うと『ヒトを育てる』ということで、これからはそれがさらに高いレベルで必要になってきます」

「なので今僕らは、感覚を語るドライバーとデータを見るエンジニアの、両方の意見をいかに融合させるのかというところに取り組んでいて、今後もさらに力を入れていきます」

 2012年のル・マン24時間レース復帰から続く、13年目の挑戦を終えたトヨタ。2018年から2022年までの5勝をマシンとチームワークのクオリティの証とするならば、可夢偉代表が口にした『ヒトを育てる』ことの意味は、ふたたび頂点に返り咲くための仕上げだろう。新たな筋道を歩み出したTGRの行く末は、2025年ル・マンの勝利に繋がっているだろうか。

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みんなのコメント

3件
  • ******
    負けたから豊田章男に怒鳴られたんだよな
    激烈に
    勝ってあたり前だから、勝つ事前提でドライバー代出てる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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