もくじ
どんなクルマ?
ー エンジン新規追加 要領も拡大
ジャガーXFのワゴン「スポーツブレーク」試乗 ドイツの強さ目立つ
どんな感じ?
ー 内装は△ 乗り心地/操舵感◯
ー TDV6 燃費面で選ぶメリット大
「買い」か?
ー よい しかし改善を望みたい
スペック
ー ジャガーXFスポーツブレークTDV6のスペック
どんなクルマ?
エンジン新規追加 要領も拡大
われわれにとっては、ジャガーの現行エグゼクティブ・サルーンの美しい派生車種である最新のXFスポーツブレークをテストする2度目の機会となった。
前回は4WD専用の240psを発する2.0ℓディーゼルエンジンを積んだモデルをテストしたが、3.0ℓV6ディーゼルと、XFスポーツブレークで選択できる唯一のガソリンエンジンとなる250ps 2.0ℓ4気筒エンジンがインジウム・ファミリーに新たに追加された。どちらもリア駆動モデルである。
スポーツブレークと聞いて、実用性よりもスタイルを重視してリア後端をゆるやかにカットしたデザインを思い浮かべるかもしれない。
しかし肝心の積載能力は素晴らしい。
後席を起こした状態でのラゲッジルームの容量は、セダンモデルの540ℓに対して565ℓ、後席をたたんだ状態ではこの数値が1700ℓまで拡大する。
広大な容量を持つメルセデス・ベンツのEクラス・ワゴンには敵わないが、BMW 5シリーズ・ツーリングモデルに匹敵する数値である。更には後席をたためばフロアはトランクルームまで含めてフラットな状態となる。これはあと5ℓ分ラゲッジスペースが拡大するよりも、より実用的な作りだ。
その他に関しては、スポーツブレークはXFセダンに準ずる。ほぼアルミニウム製の骨格と、フロントにはダブルウィッシュボーン式、リアにはインテグラルリンク式のサスペンションを持つ。
セダンモデルと異なるのは、積載時にボディを水平に保つために、リアにエアサスペンションが装備されることだろう。
これにより、トランクには冷蔵庫でもペットでも好きなものを放り込むことができ、けん引バーは2000kgまでを許容する。
どんな感じ?
内装は△ 乗り心地/操舵感◯
ジャガーによる素晴らしい仕事と、そうでない部分が同居している。
残念な部分から見ていこう。
XFのインテリアは上品にデザインされ整然としてはいるものの、どこに注意を払うかにもよるが、その表面の質感はドイツのライバル達ほどではないことに気付くはずだ。
インフォテインメントスクリーンについても同じことが言える。ジャガーのタッチスクリーン式コントローラーには本質的な不具合はないのだが、やや反応が遅いうえに、動きもぎこちなく、その仕上がりはベストとは言えない。
しかし、概ねジャガーは素晴らしい仕事をしたと言うべきかもしれない。テストしたコースの路面は荒れたうえに波打ち、古くからの生垣を巡るきついコーナーだったからだ。
こんな道はヨーロッパにはほとんど存在しない。XFのハンドリングは素晴らしく正確で、その乗り心地は熟成され抑制が効いている。洗練と安定、そしてドライバーとの一体感は他のライバルを凌ぐ。
エンジンも注目だ。
TDV6 燃費面で選ぶメリット大
前回テストした2.0ℓディーゼルエンジンも素晴らしいできだったが、もし予算に余裕があれば間違いなくお勧めするのは、今回テストした300psを発するV6の方。
17.6km/ℓに対して17.2km/ℓと、メーカー公表値によれば、V6エンジンを積んだリア駆動モデルの方が、2.0ℓの4輪駆動モデルより低燃費なのである。
更にZF製8段ATがV6エンジンとの組み合わせでは、よりシフトダウンの回数が減ることを考え合わせると、実際の道路上での差は更に大きくなるだろう。(ただし、4輪駆動モデルが必要な場合、英国では2.0ℓディーゼルエンジンが唯一の選択肢となる)
コストを重視して2.0ℓガソリンモデルを選んだとしても、このエンジンは他のディーゼルエンジンよりも軽く回り、よりスムーズで静か、かつピックアップも良いが、メーカー公表値における燃費は14.7km/ℓに留まる。
一方、フロント重量が軽くなることで、恐らく既にクラス随一の回頭性が更に向上するというメリットもある。
「買い」か?
よい しかし改善を望みたい
このクラスはまさに激戦区であり、各車には選択に値するだけの理由が求められる。
ジャガーの魅力は明らかだ。クラスで最も美しく、最も運転が楽しめるクルマであることは間違いない。この点では、アルファ・ロメオ・ジュリアとよく似ている。
しかし、XFの欠点についても知っておくべきだろう。つまり、それほど大きくはないにせよ、やはりドイツ勢との差はあり、そのことを図らずもジャガーは今回証明してしまったのである。
ジャガーXFスポーツブレークTDV6のスペック
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