今や日本のクルマ界は軽自動車が花盛りで、新車販売における軽自動車の比率も年々高くなり40%を超えている。
軽自動車にも誰もが知っている名前のクルマもあれば、名前を聞いただけではどんなクルマかわからないものまでいろいろあるが、今回は目立たないけどダイハツの実力派軽自動車であるキャストとウェイクの中古車について見ていく。
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文:萩原文博/写真:DAIHATSU、ベストカー編集部
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中古車の価格は人気に左右される
ダイハツキャストはハスラーの対抗馬として市場投入された。ハスラーほど知名度はないが、販売もまずまずのレベルで推移する陰の実力車
中古車は新車のように定価がない。それは同じ車種、年式、グレードであってもこれまでどのように使われてきたのか、メンテナンスの頻度によって同じコンディションのクルマはほかに存在しないからだ。
しかし、中古車の場合価格を左右するやっかいな要素がある。それが人気だ。新車の場合、人気車だと値引き額が少なくなるということはあるが、車両本体価格が高くなるということはない。
中古車の場合、需要と供給のバランスによって価格(相場)が決まるので、人気車=多くの人が欲しいという需要が高くなるので、供給=流通台数が少なくなると価格が高くなるというわけだ。これは、中古車の価格がオートオークションで決まることも大きく影響している。
中古車価格が需要と供給のバランスによって決まるという典型が絶版車で、数が少ないにもかかわらず欲しい人が多ければ相場はグングンと上昇
現在、新車の軽自動車では販売台数上位を占めるホンダN-BOXをはじめとしたスーパーハイトワゴン系が人気と言える。
中古車の人気のバロメーターとなるのは、新車からどれくらい値落ちして価値がどれくらいあるのかを示す「残価」でその人気の度合いを測ることが一般的だ。
これは新車購入時に残価設定ローンを利用するとよくわかる。人気の高いクルマほど残価(数年後に手放す時の買取価格)が高くなり、支払う金額が少なく住むということだ。
さらに中古車では人気が高いクルマはなかなか値落ちが進まないという特徴があるのだ。新車の販売台数ではなかなか脚光を浴びないが、中古車の価格を見ると隠れた実力車という軽自動車を2台取り上げたい。その車種というのがダイハツキャストとウェイクだ。
軽自動車でナンバーワン人気はスーパーハイトワゴン軽自動車のホンダN-BOX。中古人気も高く、残価設定ローンでのお得感はかなり高い
キャスト
■デビュー:2015年9月
■新車価格(2019年11月現在・税込み): 124万8500~174万5500円(アクティバ)、 124万8500~173万8000円(スタイル)、167万7500~180万4000円(スポーツ)
キャストはキャラクターを3タイプ用意するダイハツの意欲作。写真左からスポーツ、アクティバ、スタイルでそれぞれ個性を主張
まず、キャストから紹介しよう。
キャストはハイトワゴン、ムーヴの派生車種として2015年9月に登場。クロスオーバーSUVテイストのアクティバ、メッキパーツを多用し上質感を追求したスタイル、そして、専用チューニングを施したサスペンション+16インチホイールで軽自動車屈指の走行性能を実現したスポーツという3つの異なるキャラクターが用意されている。
運転支援システムはデビュー当初はスマートアシストIIだったが、2017年10月のマイナーチェンジ時にステレオカメラ方式のスマートアシストIIIへとアップデートされている。
キャストは2017年の一部改良で運転支援システムがスマートアシストIIからスマートアシストIIIに変更され進化。これはのちに紹介するウェイクも同じ
キャストは値落ちが小さい
キャスト全体の中古車相場の状況を見てみると、3カ月前の流通台数が約1620台、今月は約1770台と増加している。
中古車の平均走行距離はこの3カ月の間ほぼ4000kmで推移し、注目の平均価格は3カ月前が約119.5万円、今月は約120万円とほぼ横這いだ。
平均価格の推移のスパンを1年に拡大してみると、2018年12月が約123.8万円だったので、約1年で2.8万円しか値落ちしていないということになる。いくら値動きが鈍い軽自動車でもこの値落ち幅はかなり小さい。
キャストとライバル関係にあるハスラーのほうが知名度、人気とも高いが、中古車となるとタマ数が多いこと、モデル末期であるなどの要因が絡み値下がり傾向にある
ちなみにスズキハスラーは約1年で6万円の値落ちをしていることからもわかってもらえるだろう。キャストの中古車が最も多い年式が2017年~2019年式で内外装の変更と同時に運転支援システムがスマートアシストIIIになったモデルだ。
スポーツはタマ数が少なく高値傾向
この年式のキャストで流通台数が多いグレードを見てみると約220台と最も多いのがアクティバXリミテッドSAIIIで、価格帯は約103万~約155万円で走行距離の少ないクルマが並んでいる。
続いて多いのが約156台のスタイルGリミテッドSAIIIで、価格帯は約105万~約147万円でこちらも走行距離の少ない中古車が多い。
3タイプがラインナップされるキャストのなかでスポーツが最もタマ数が少ない。新車時の車両価格、中古相場とも最も高くなっている
そしてスポーツは最も多いFF車のSAIIIでも約31台と少なく、価格帯は約131.2万~約171.4万円とやや高めの相場となっている。
流通台数は圧倒的にアクティバが多いが、アクティバとスタイルの相場はそれほど変わらないというのが特徴だ。
キャストは3タイプともエクステリアだけでなくインテリアも色遣い、素材などで差別化されている。写真はボディ同色パネルがあしらわれるアクティバの室内
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ウェイク
■デビュー:2014年11月
■新車価格(2019年11月現在・税込み):137万5000~187万5500円
2013年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカーの『DECA DECA(デカデカ)』を市販化したのがウェイクで2014年11月にデビュー
続いては、軽ハイトワゴンの中でも最大級の「ウルトラスペース」と呼ばれる室内空間を実現したウェイクだ。
ウェイクは2014年に登場し、全高1835mmという軽スーパーハイトワゴンの中でも随一の高さが特徴。2016年の一部改良で運転支援システムはスマートアシストIIとなり、2017年11月には最新モデルと同じスマートアシストIIIへとアップデートされている。
全長、全幅は軽自動車規格によりほかの軽自動車と同じ全長3395×全幅1475mmながら、全高はタントよりも80mm高い1835mmを実現している
キャスト以上に値落ちが少ないウェイク
現在、約1100台の中古車が流通しているウェイクだが、平均価格の推移は3カ月前が約140万円で、今月は約139万円と1万円の値落ちだ。これを1年スパンで見てみると、2018年12月は約145万円だったので、1年で6万円しか値落ちしていない。
ウェイクと同じ2014年に登場した日産デイズルークスは2018年10月の平均価格が約121万円、現在は約110万円と11万円値落ちしている。この値落ちの鈍さからもウェイクが隠れた人気車と言えるのだ。
ウェイクの1835mmの全高を生かした室内スペースは圧巻。乗れば解放感満点だし、ラゲッジなどの使い勝手も軽自動車とは思えないレベル
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知る人ぞ知る隠れた実力車
ウェイクもスマートアシストIIIを採用した2017年~2019年式が約530台と最も多い。
グレード分布を見てみると最も多いのがGターボリミテッドSAIIIの約185台で、価格帯は約137万~約210万円で、高価格帯のクルマは走行距離が5~10kmと少なく、純正ナビを装着するなど装備が充実しているのが特徴だ。
キャストやウェイクって名前は知っているけれど、どんなクルマなのかわからないという人がいるかもしれないが、名前はそれほど認知されていないが、中古車相場の動きから知る人ぞ知る隠れた実力車ということが見えてくるのである。
ウェイクはすべてのシートを倒すとこのような広大なスペースが出現。全高に合わせて室内工も高いため車中泊にも打ってつけ。ほかの軽自動車にはない魅力を持つ
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