FIA国際自動車連盟が、自らの規則に加えた中で最も物議を醸した変更のひとつである“暴言禁止”を撤回する可能性があることが分かった。
2024年F1シンガポールGPの前に行われた公式記者会見において、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はFワードを使用した後、社会貢献活動を命じられ、その制裁が物議を醸した。しかしその後、FIAは暴言禁止を国際モータースポーツ競技規則の附則Bに追加した。
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この規則変更により、不適切な言葉を使用した者には多額の罰金や出場停止、一部ポイント剥奪が科される可能性があることが定められた。今年2月には、WRC世界ラリー選手権ラリー・スウェーデンの最終ステージ終了後、ヒョンデのドライバーのアドリアン・フルモーが、ライブインタビューにおいてFワードを使用したため、1万ユーロ(約160万円)の罰金および2万ユーロ(約320万円)の執行猶予付きの罰金を科された。
この罰金措置の結果として、WRC世界ラリー選手権に参戦しているドライバーおよびコドライバーらによって設立されたWorld Rally Drivers Alliance(ワールド・ラリー・ドライバーズ・アライアンス/WoRDA)が、FIAへ向けた声明を発表、Fワードなどの口語表現に法外な罰金を科すことへの疑問を呈した。
こうした状況を受けて、FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、最近「7つのFIA世界選手権のドライバーたちからの建設的なフィードバックを受けて、附則Bの改善を検討している」とコメントした。
「私は元ラリードライバーとして、彼らが直面している要求を他の誰よりもよく理解している」
「附則Bは国際モータースポーツ競技規則の重要な一部であり、我々のスポーツのファミリー全員にとって競技を身近なものとする上で中心的な役割を果たしている。規則を作るのは人間であり、規則を改善するのも人間である。継続的改善というこの原則は、私が常に信じてきたものであり、FIAで我々が行うすべての活動の中心にある」
FIA会長選挙が今年末に行われることから、ビン・スライエム会長のこの問題についての突然の方針転換は、初の再選に挑むなかでの思惑から来ているのではないかと推測される。
ビン・スライエム会長は数々の論争に囲まれており、FIAの実績ある職員たち、なかには数十年にわたって連盟に貢献してきた者たちも、次々と離脱している。最近ではスポーツ担当FIA副会長であったロバート・リードが辞任、ビン・スライエム会長のリーダーシップに疑問が呈される事態となっている。
ドライバー、チーム、マニュファクチャラーはFIAの選挙に直接関与していないものの、FIAの最も大きな財源であるF1で戦うドライバーたちとの関係を改善することを、ビン・スライエム会長は望んでいるのかもしれない。
[オートスポーツweb 2025年04月30日]
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