競技区間を走るタイムを競うラリーにおいては、少しの無駄も省き、スピードを追求するのは当たり前のことだ。しかし、時には大勢のファンの前で派手な走りを見せてくれることもある。
ラリードライバーのジル・パニッツィは、競技区間の最中にマシンをドリフトさせ360度ターンを披露した。しかも派手な走りを見せただけでなく、速さも証明してみせたのだ!
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今回は2002年のカタルニアラリーの名シーンを振り返ろう。
文・写真/佐久間 健
【画像ギャラリー】2002年のカタルニアラリー ジル・パニッツィがレース中に見せたドーナツターン!!
■なんとSSの真っ最中にドーナツターン!
コーナー脇からコース上方の高速道路沿いにまで観客がひしめく中、ヘアピンへと進入するプジョー206WRC。すでに後輪からはわずかに白煙があがっている
そのままヘアピン奥のスペースを利用してスピンターンを開始している!
このまま1周撮影したかったが、残念ながらフィルム切れになってしまった。まだデジカメを導入する前の撮影だった
ドーナツターン、いわゆるラリーマシンが白煙を上げながら行う360度ターンを私が初めて見たのは1993年のニュージーランドラリーで、スバルレガシィRSに乗るコリン・マクレーが初優勝したときだ。優勝のポディウムの後に、大勢の観客を前でドーナツターンのパフォーマンスをやったのだ。
その後WRCでは、ポディウムでのセレモニーの後などにドーナツターンのパフォーマンスが頻繁に行なわれるようになった。しかし大勢の観客の中で行うため、WRCにおいては危険行為ということでドーナツターンが禁止されてしまう。
それでもこのドーナツターンをやったドライバーがいる。しかもSS(競技区間)の最中にだ!それがジル・パニッツィ。
同じコーナーでのコリン・マクレーのコーナリングライン。いかにパニッツィが奥を走っているかがわかる!
パニッツィはターマック(舗装路)を得意としたフランス人で、プジョーのワークスチームのプジョー306MAXIに乗って活躍。その後プジョーがWRCのトップカテゴリーに投入したWRカーの206WRCのシートを得た。
彼は2002年のカタルニアラリーでは、得意のターマックコースでスタートからトップの座をキープする速さを見せた。そして最終日のSS15「Viladraul」35.18kmの最中にドーナツターンを敢行!
あっさりとドーナツターンをやって走り去った場所は、直線から鋭角に左へ曲がるヘアピンだ。ここはカーブの奥の方が広くなっており、このアウト側には大勢の観客が陣取っていた。またこの道路の上に高速道路の橋がかかっており、この橋の欄干部分にも大勢の観客が観戦していた。
つまりこの場所はこのSSの最大の観戦ポイントだったため、このドーナツターンに対しては最も大きな拍手と歓声がわきおこった。
■フィルムに収めたトップ争い中のドーナツターン
ドーナツターンの後も順調な走りを見せて見事優勝してみせた。日本では「パニやん」の愛称でも親しまれたが、速さと同時に遊び心を持った所も愛された理由かもしれない
なんと言ってもパニッツィがすごいのは、この場所が最終SSではなく、サービスを1か所はさんでSSがまだ3本残っている段階でのパフォーマンスだったということだ。
このSSのタイムはトップのバーンズから10秒7遅れの4位だったが、サービス後のSS16、SS17はベストタイム、最終SS18はトップのソルベルグの5.8秒おくれの2位のタイムで、トータル2位のバーンズに39秒の差をつけて優勝してしまう。
トップを争うドライバーがSS中にドーナツターンをやったなんて話は聞いたことない。WRCにおいて、ケン・ブロックがSS中にやったという噂は聞いたことがあるが、彼はドーナツターンのスペシャリストだ。順位に関係なくやった例はあるかもしれないが、まさにトップ争い中にやるのはすごいことだ。
ドーナツターンはエンジンやトランスミッションなどに相当な負荷がかかるので、これをやることでいつリタイヤしてもおかしくないのに、相当自信があったのだろう。
余談になるが、この時代はまだフィルムカメラでの撮影だったので、今と違いフィルム1本で36カットしか撮れなかった。またこのころのカメラは、連写が秒間5コマくらいが最速。
いまのデジカメのように秒間10コマを超えるコマ数に対応するカメラはなく、フィルムなので最大で36枚しか撮影できない時代だ。またコストも莫大で、1ラリー100本撮影すると10万円前後になってしまう。そんなわけで常にフィルムの残量を気にしながらの撮影だった。
そんな悩ましい撮影だったので、写真ではドーナツターンの途中のカットとなってしまっているが、このラリー最大の見せ場を撮影できたのはよかった。
●解説●
WRCラリーではターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)のコースが設定されるが、それぞれを得意とするドライバーが存在する。もちろん年間チャンピオンを獲得するには両方でポイントを獲得できるドライバーが必要になる。
ジル・パニッツイはターマックのスペシャリストとしてプジョーワークス入りを果たし、2002年はターマックのコルシカ、サンレモ、カタルニアで優勝を果たした。2004年~2005年は三菱ワークス入りを果たしてランエボを走らせており、日本のラリーファンにもおなじみのドライバーだ。
【画像ギャラリー】2002年のカタルニアラリー ジル・パニッツィがレース中に見せたドーナツターン!!
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みんなのコメント
ターマックは神がかりに速くて、このドーナツターン衝撃的だった。
このシーンが入った今でもDVDを大切に持ってます。