スカイラインはV35以降大きく方向性を変えた。それを残念がっているファンは多い。これはもう走り云々ではなく、そもそも日本市場を軽視した姿勢に原因がある!
……などと強気なことを言っても、クラウンでさえSUV化が云々される時代だ。スカイラインが日本市場を軽視している! と叫んだところで、空しい。
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なにせクラウンは日本市場専用に開発され、しかも現行モデルはスポーツ指向に大きくシフトした。その姿は一昔前のスカイラインに近い。
それが、トヨタの販売力をもってしても売れないのだから、スカイラインが原点に回帰したところで、無理があるのは想像に難くない。
しかし、それでも伝統あるスカイラインだ。もうちょっとなんとかならないだろうか?
文/清水草一、写真/日産、INFINITI、撮影/平野学、池之平昌信
【画像ギャラリー】スカイライン史上最高の400馬力をもつスカイライン400Rをみる
V35以降のスカイラインがファンの心に響かない原因は?
個人的には、V35以降のスカイラインが我々の心に響かない最大の原因は、デザインにあると考えている。
V35以降のスカイラインは、本来インフィニティG35(現行スカイラインはインフィニティQ50)。それにスカイラインのバッヂをつけただけで、それまでのスカイラインとはまったくつながりが感じられない。
V35スカイライン セダンのデザインは、インフィニティのデザイン「ダブルウェーブ」が採用されている(販売期間:2001~2007年)
V35およびV36のクーペに関しては、流麗でスタイリッシュなフォルムが美しかったが、主流のセダンはヌエ的に丸みを帯びた、正体不明のクルマにしか見えなかった。
そして現行スカイラインだが、これは先代のV36のフォルムをさらにくどくうねらせ、厚化粧を施したイメージだ。
現在インフィニティのデザインテイストは、この「くどい脂身テイスト」で統一されていて、数年前までは北米や中国でそれなりに人気があったが、日本では最初からさっぱり人気がない。フーガともども、このくどいデザインテイストは、日本人の好みとは真逆に近い。
2019年7月に行われたビックマイナーチェンジにて、日産エンブレムが復活した。またVモーショングリル、丸目4灯のテールランプなどに変更となった
ただ、2019年7月に実施されたビッグマイナーチェンジでは、日本市場向けにフロントグリルやテールランプを変え、日産エンブレムも復活して、スカイラインらしさをアピールしている。
フォルムはそのままだから小手先の変更ではあるが、できる範囲で頑張ったことは認めたい。実際、以前よりはスッキリしたイメージになっているし、スカイラインの面影もわずかに感じることはできる。
また、プロパイロット2.0を真っ先にスカイラインに投入したことも、日産がスカイラインを見捨てていない証左となった。
現在のスカイラインでベストといえる400R
V6ターボエンジンを搭載し、史上最高の400馬力を実現したスカイライン400R(WLTCモード10km/L)
プロパイロット2.0の機能については、法律の限界もあってそれほど魅力的には感じないが、プロパイロット2.0が搭載されない400Rのほうは、驚くほど魅力的なモデルだ。
とにかくV6ターボエンジンの「ドッカーン!」と炸裂するパワー感がスバラシイ。かつての「スカG」を思わせる、ちょっと野蛮なフィーリングが心に刺さる。それでいて低速トルクもたっぷりあり、ドライバビリティには文句のつけようがない。燃費が悪い(WLTCモード10km/L)のは当然だし、ご愛敬だろう。
400Rの電子制御ショックアブソーバー(インテリジェント ダイナミックサスペンション)は、驚くほどフワッとした乗り心地だが、コーナーではしっかり粘る。走りを忘れられないけれど、快適性も捨てられない中高年にとっては、最高に近い足回りだ。
インテリジェント ダイナミックサスペンションは、快適性と走る楽しさをうまく両立させた
ただ、1760kgという車両重量はどうにもならない。かつてのスカイラインとは比べようもないほど重いが、ドイツのスポーツセダンも同レベルにあり、時代を考えると、それを責めることはできない。
「5ナンバーのスカイラインが復活したら買うよ」と言うファンもいるかもしれないが、いまあえて小型FRセダンを開発するなんて、ドイツ勢含めどんなメーカーにも不可能だ。
つまり、現行スカイラインの、特に400Rに関しては、日産は国内市場のためにベストを尽くしたと評価するしかない。
それで販売は上向いたかというと、マイチェン直後の2019年9月は、久しぶりに月販1000台を超え(1066台)、前年同月比602%をマークしたが、以後すぐにほぼ元のペースに戻り、今年は10月までの累計で3397台と、前年割れしている。
むしろ、そんなわずかな台数のために(?)、かなりの投資をした日産に対して、申し訳ない気持ちさえ沸いてくる。
“俺たちの”スカイライン復活の道は?
今後、スカイラインが復活する道はあるのだろうか?
繰り返すが、クラウンですらSUV化されるかもしれない時代だ。スカイラインが国内専用セダンへ回帰するのは不可能。
トヨタクラウンがSUV化するのではという話も出ており、セダン離れは深刻な状況である。インフィニティ、そしてスカイラインにおいても例外ではない
インフィニティブランドの中型セダンをベースに、スカイラインの車名を冠する現在のカタチ以外、存続の道はないし、それすら危ういほど、世界のセダン離れは激しい。
デザインに関しては、インフィニティがベースにならざるを得ないから、日本人の好みを反映させるのは無理。ただ、インフィニティのデザインそのものが変わる可能性はある。
現在のインフィニティデザインは、主力市場の北米や中国でも、時代遅れになっている。世界の趨勢は、ああいったくどいデザインとは正反対のシンプル路線。日産もそれに追従する動きはある。
アリアや新型フェアレディZプロトを見ると、以前に比べてはっきりシンプル指向がうかがえる。
2020年9月に発表した新型フェアレディZ プロトタイプ。同年7月に発表されたアリアと同様にシンプルなデザインになっている
次期型のインフィニティQ50がどんなデザインになるか、現時点ではまったくわからないが、少なくとも現行よりは、シンプルでスッキリした形になるのではないか……と期待したい。あくまで期待ですが。
それをベースに、ディテールを和風(?)に変更し、400RのV6ターボが載れば、ドイツ勢に対抗し得る数少ない国産スポーツセダンになることは間違いない! と思いたい。
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みんなのコメント
その中の1つがGTRなのにそちらに脚光が浴びるようになったからおかしくなっただけ
スカイラインとGTRを分けたのは正解
R34は大人気だと言うが、あの売上で大人気など笑わせるな。
この記事を書いた清水や口先ばかりで金は出さない自称スカイラインファンがR型を終わらせたと言うことが未だに理解できないらしい。