現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 出せばバカ売れ必至! それでもトヨタが軽自動車を作らないワケ

ここから本文です

出せばバカ売れ必至! それでもトヨタが軽自動車を作らないワケ

掲載 更新 16
出せばバカ売れ必至! それでもトヨタが軽自動車を作らないワケ

 トヨタが扱う軽自動車はダイハツからのOEM

 いまだに「トヨタは軽自動車規格を潰したいと考えている」と主張する人もいる。あれだけ大きな組織だけに、軽自動車というカテゴリーを不要と考えている人は存在しているだろうが、トヨタ自身も「ピクシス」というブランドで数々の軽自動車を販売している。

しょせん軽……なんてバカにする時代は終わった! 新東名の120km/h区間を余裕で走れる軽自動車6選

 実際、2020年度でのピクシス・ブランドの販売台数は2万539台(全軽自協調べ)となっている。業界シェアは1.5%ほどなので、トヨタで扱っていることを考えればたしかに微々たるものではあるが、少なくとも国内販売においてトヨタは軽自動車を扱っているし、その必要性は認めているといえる。ピクシス・ブランド以外でもGRブランドでコペンのスポーツコンバージョンを作り上げ、トヨタ、ダイハツ両方の販売網で扱っているのも知られていることだろう。

 とはいえ、ご存じのようにトヨタの扱う軽自動車は子会社であるダイハツからのOEMだ。グループ内リソーセスの最適化を考えると、軽自動車の開発・製造についてはダイハツが専念しておくのが吉というのは当たり前の判断だ。

 では、もしトヨタが軽自動車を開発するとどのようなことになるのだろうか。

 たとえば日産と三菱自動車の関係でいえば、両社が共同出資したNMKVで軽自動車の開発を行ない、製造は三菱の水島製作所(岡山県)で行なっている。そして現行デイズやルークスについてはNMKVで主導権を持ったのは日産だった。そのためエンジンも完全に新しくなり、プロパイロットと呼ばれる先進運転支援技術も搭載できた。

 同様にトヨタが主導となって軽自動車の開発をすると、ぐっとレベルアップしそうな気もしないではないが……。なぜトヨタは軽自動車開発には携わらないのだろうか。

 結論をいえば、いまさらトヨタ主導で軽自動車の開発をするインセンティブがないということになる。

 トヨタもダイハツも企業理念として「良品廉価」を掲げている。いいものを作るだけでなく、安く届けるということが重要というわけだ。たしかにレクサスの開発で得た知見を軽自動車に投入すれば「いいもの」は作れるかもしれないが、廉価に提供できないことは自明。

 軽自動車の開発においては、とくにかくコストを下げることが重要で、そのために開発から製造までシンプル・スリム・コンパクトにすること、ダイハツがいうところのSSC化を進めることが重要だ。

 では、売れに売れているトヨタのコンパクトカーのノウハウは軽自動車に活かすことはできないのか。

 リッターカーの開発もダイハツ主導で行なっている

 通称名別でいえば日本一売れているヤリスはトヨタの開発によるもので、そこで得た知見は軽自動車にも応用できそうな気もするが、そもそもヤリス以外のリッタークラスのコンパクトカーはダイハツ主導で開発している。

 スライドドアの「ルーミー」しかり、コンパクトSUVの「ライズ」しかり。リッターカーの「パッソ」もダイハツによって生産されているのは知られているだろう。トヨタ・グループにおいては、軽自動車だけでなく、コンパクトカーの分野においてもダイハツ主導で行なう方針となっている。

 実際、ダイハツのアーキテクチャであるDNGAは軽自動車からリッターカーまでをカバーするものであり、トヨタ・グループのなかでそうしたカテゴリーをダイハツが担当するということが決まっているからこそ、アーキテクチャの開発費をかけることができたという面もある。いまさらトヨタが出張ってきたとすると、そうした開発費は無駄になってしまう。

 というわけで、トヨタが登録車開発で得た多くのノウハウを軽自動車に注ぎ込んだときに素晴らしいモデルが生まれる可能性は否定しないが、多くの人が手の届き、満足できる商品であるという「良品廉価」のコンセプトが重要であると考えれば、軽自動車の開発経験がほとんどないトヨタが開発をするメリットもなければ、意味もないというのが現実だ。

 ちなみに、トヨタがオリジナルの軽自動車を販売した実績はある。1990年代の後半、2人乗りの電気自動車「e-com」を開発している。コミューターとして生まれたe-comを使ったシェアリングサービス「Crayon(クレヨン)」の実証実験なども行なわれ、実際に黄色ナンバーをつけて走る姿を見ることができた。

 また、ナンバーはついてない状態だったが、お台場にあるメガウェブでは館内のコースを自動運転機能付きのe-comに乗るというアトラクションも存在していたので、車両を見た記憶があるという人も多いかもしれない。

 その意味では、今後登場が予測されているコミューター的な電気自動車においてはトヨタが開発した軽自動車が生まれてくる可能性は否定できないのも、また事実だ。

こんな記事も読まれています

プラウディア/ディグニティは1年1カ月という超短命車! センチュリー/プレジデント対抗の三菱グループ重役専用車はいくらで買える?
プラウディア/ディグニティは1年1カ月という超短命車! センチュリー/プレジデント対抗の三菱グループ重役専用車はいくらで買える?
ベストカーWeb
【MotoGP】期待のしすぎは禁物! アコスタ、スペインGPはKTMにとって「現実の再確認になった」
【MotoGP】期待のしすぎは禁物! アコスタ、スペインGPはKTMにとって「現実の再確認になった」
motorsport.com 日本版
極端なEV普及の目標は次々と修正! それでも国産メーカーのEVラインアップを増やすべき理由
極端なEV普及の目標は次々と修正! それでも国産メーカーのEVラインアップを増やすべき理由
WEB CARTOP
26年ぶり復活に!? ホンダ「新型CR-X!?」が超カッコイイ! 現代風デザインまとった「ライトウェイトスポーツ」の予想CGがスゴイ
26年ぶり復活に!? ホンダ「新型CR-X!?」が超カッコイイ! 現代風デザインまとった「ライトウェイトスポーツ」の予想CGがスゴイ
くるまのニュース
アストンマーティンF1、マイアミGPに持ち込んだ”新仕様”リヤウイングを結局使わず「タイヤがスライドしすぎてしまっていた」
アストンマーティンF1、マイアミGPに持ち込んだ”新仕様”リヤウイングを結局使わず「タイヤがスライドしすぎてしまっていた」
motorsport.com 日本版
新潟の「巨大化したバイパス」いよいよ変貌へ!? “隣の道路と一体化”→“上にも道路” 24年度に上部工事はじまる
新潟の「巨大化したバイパス」いよいよ変貌へ!? “隣の道路と一体化”→“上にも道路” 24年度に上部工事はじまる
乗りものニュース
【MotoGP】バニャイヤ「チームメイトにマルケスが嫌だなんて、デタラメ」相手が誰であれ“倒す”王者メンタル
【MotoGP】バニャイヤ「チームメイトにマルケスが嫌だなんて、デタラメ」相手が誰であれ“倒す”王者メンタル
motorsport.com 日本版
レクサス、上級ミニバン「LM」に6人乗り3列シート仕様を追加 価格は1500万円
レクサス、上級ミニバン「LM」に6人乗り3列シート仕様を追加 価格は1500万円
日刊自動車新聞
1000馬力の“4.1L V6”搭載!? 新「R36GT-R」まもなく登場!? レトロなデザイン採用した「和製スーパーカー」 どんなクルマ?
1000馬力の“4.1L V6”搭載!? 新「R36GT-R」まもなく登場!? レトロなデザイン採用した「和製スーパーカー」 どんなクルマ?
くるまのニュース
日本でも使いやすそう!? 全長4.4mのCセグメント・コンパクトSUV ルノー新型「シンビオズ」世界初公開
日本でも使いやすそう!? 全長4.4mのCセグメント・コンパクトSUV ルノー新型「シンビオズ」世界初公開
VAGUE
見た目に騙されないで! ホンダ「CRF250L」はオフロードじゃなくても楽しめるモトクロッサー レーシングライダー石塚健の市販車インプレッション
見た目に騙されないで! ホンダ「CRF250L」はオフロードじゃなくても楽しめるモトクロッサー レーシングライダー石塚健の市販車インプレッション
バイクのニュース
オーストラリアと中国でのペナルティ裁定に不満のアロンソ。FIAのスペイン人に対する偏見を非難
オーストラリアと中国でのペナルティ裁定に不満のアロンソ。FIAのスペイン人に対する偏見を非難
AUTOSPORT web
【799万円~】ジープから新型ラングラーが発売!よりタフで快適な走りに
【799万円~】ジープから新型ラングラーが発売!よりタフで快適な走りに
月刊自家用車WEB
日産新型「キックス」が北米に投入! 日本導入が待ち遠しい、安全性と快適性が進化したコンパクトSUVとは
日産新型「キックス」が北米に投入! 日本導入が待ち遠しい、安全性と快適性が進化したコンパクトSUVとは
Auto Messe Web
新型フリードに死角が見当たらない! 見た目もシートもラゲッジもアクセサリーまで詳細リポート
新型フリードに死角が見当たらない! 見た目もシートもラゲッジもアクセサリーまで詳細リポート
WEB CARTOP
【クシタニ】が「EXPLORER CAMP MEETING」を開催!6月15日~16日、ONTAKE EXPLORER PARKにて!レンタルのオフ車もある!  
【クシタニ】が「EXPLORER CAMP MEETING」を開催!6月15日~16日、ONTAKE EXPLORER PARKにて!レンタルのオフ車もある!  
モーサイ
開発者に聞いたホンダ新型ホーネットの魅力「スチール製ツインスパーフレームはダウンドラフトを活かすため」
開発者に聞いたホンダ新型ホーネットの魅力「スチール製ツインスパーフレームはダウンドラフトを活かすため」
モーサイ
メッシュ素材の涼しいキャンピングチェアがコールマンから登場!【車に積みたいアウトドアアイテム】
メッシュ素材の涼しいキャンピングチェアがコールマンから登場!【車に積みたいアウトドアアイテム】
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

16件
  • EVのC+Podはトヨタが作っているはずだが、これは軽未満ということかな。
  • トヨタが軽を作る?ダイハツの存在意義がなくなるよ。
    トヨタの子会社として役割分担が出来ているものをわざわざ形を崩すようなことはしないさ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

155.7192.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.5274.0万円

中古車を検索
ルーミーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

155.7192.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

45.5274.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村