■注目の「軽クロスオーバー」ジャンルにまた新たなモデルが現れる
1980年代にクロスオーバースタイルを確立するなど、時代の先端を走り続ける三菱の老舗ブランド「デリカ」を名乗る新たな軽クロスオーバーモデル「デリカミニ」が2023年に発売されます。
デリカの歴史を振り返るとともに、新型軽の概要を紹介します。
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近年の乗用車販売のなかでも4割近いシェアを誇り、特に好調な売れ行きを占めているのが軽自動車です。
一般社団法人 全国軽自動車協会連合会(全軽自協)調べによる2022年11月の軽乗用車販売ランキングでは、1位がホンダ「N-BOX」、2位がダイハツ「タント」、3位がダイハツ「ムーヴキャンバス」、そして4位がスズキ「スペーシア」が並んでおり、ムーブキャンバス以外は軽スーパーハイトワゴンのカテゴリーに属します。
3車種のうち、タントには販売比率で約25%を占める「タント ファンクロス」、スペーシアには約20%の比率で売れている「スペーシア ギア」というクロスオーバーSUV仕様が用意されており、キャンプやアウトドアブームの広がりに合わせ、スーパーハイトワゴン+SUVモデルの人気が上がっていることがわかります。
また上記ランキングには、軽クロスオーバーSUVの先駆者のひとつであるスズキ「ハスラー」と、ライバルのダイハツ「タフト」も、それぞれ5位と10位に入っています。
そのため各メーカーとも軽SUVのラインナップ強化は必須。トップに君臨するホンダも、王者N-BOXにSUV仕様を追加するのでは、と噂されているほど。
なかでもSUVに力を入れている三菱としては、こうしたトレンドの流れに追随したいのはいうまでもありません。
そこで2022年秋、三菱は「デリカミニ」の販売を2023年初夏より開始するとアナウンスし、ティザー(事前紹介)サイトを開設するとともに、まず外観写真を公開。2023年1月の東京オートサロンでは、実車の展示もおこなわれる予定です。
公開されているボディ後部の形状は、現行型の軽クロスオーバー型スーパーハイトワゴン「eKクロススペース」同様であることから、同車をベースにしたマイナーチェンジモデルとみられます。
フロントまわりでは、半円形のヘッドライトに、三菱SUV の共通アイコンである「ダイナミックシールド」をモチーフにしたバンパー装飾などを特徴としています。
ボディサイドには、オーバーフェンダー風処理、そして車体の前後左右下部には、アンダーガード風のデザインが施されており、ライバルのタント ファンクロスやスペーシア ギアよりも、一層SUVらしい力強さを醸し出すことに成功しています。
どことなくかわいく、それでいてタフさも感じられるデザインが共感を呼び、そして何よりもデリカミニという車名がSUVらしさを強く連想させることから、発売前にも関わらずSNSなどでも大いに注目されているようです。
■「デリカ」ブランドの始まりは55年前の1968年から
2023年でデビュー55周年を迎える「デリカ」の名は、まず1968年に商用車として誕生。翌年には乗用ワゴンモデル「デリカコーチ」が誕生しています。
1979年にモデルチェンジした2代目からはコーチは「デリカ スターワゴン」と呼ばれるようになり、1982年には4WDを追加しています。
単なる駆動方式の違いというだけではなく、最低地上高を上げ車体装飾も加えるなど、1BOX車とSUV(当時はRVやクロスカントリーカーと称した)を組み合わせた、まさにクロスオーバーモデルのはしりといえるクルマでした。
3代目デリカの登場は1986年。高い悪路走破性を初代から引き継いだデリカ スターワゴンはさらに存在感を増し「デリカといえばスターワゴン」というイメージを作りました。
1994年にはフロントにノーズ部を持つミニバンスタイルのボディにフルモデルチェンジ。4WDモデルは「デリカ スペースギア」に名称が変更されただけでなく、パジェロのラダーフレームとモノコックボディを一体化した「ビルトインラダーフレーム」構造を採用。
ミニバンとしては格段に高いパジェロ譲りの高い悪路走破性を誇りました。
2007年には、後継の「デリカD:5」が登場。SUVモデルの「アウトランダー」用をベースにした電子制御4WDを搭載し、多人数乗りのミニバンなのに悪路も走れる、というデリカスペースギアが持っていた唯一無二の性格をしっかり継承しています。
2019年にはデビュー12年目にして大幅マイナーチェンジを実施。基本ボディはそのままに、ダイナミックシールドを取り入れたフロントデザインによって、SUVらしい迫力ある姿に発展しました。
※ ※ ※
前出の通り、2022年12月末の段階で三菱は新型デリカミニについての詳細情報をほとんど明らかにしていません。
最低地上高が大きく取ったり、本格的な4WDシステムを新採用することで、極めて悪路走破性が高く仕上げられた、などの性能訴求はとくにされていないようです。
その点でいえば、デリカミニはライバルのタント ファンクロスや、スペーシア ギアと立ち位置は同じとみられます。
なおそのスタイリングを実際に見比べてみると、フロントデザインは現行型デリカD:5とあまり似ていません。
むしろ現行型eKクロススペースのほうが「兄弟」といったイメージが強く、新型デリカミニはむしろ2019年のマイナーチェンジ前のデザインに近い印象です。
ともあれ新型デリカミニは、老舗ブランドであるデリカの名をもらったことで、アクティブさや力強さ、SUVとしての魅力が大いに高まっていることは間違いないでしょう。
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